2013年4月5日金曜日

10式戦車の装甲のお話(その2)

その1からの続き。

10式戦車の重量説について


 さて、その1では10式戦車の装甲の種類に触れ、文献によって混同されがちなモジュール装甲と付加装甲が、10式戦車では両者は違う種類の装甲であることに触れました。
では、10式戦車に関する雑誌記事で見られたもう一つの混乱、装甲取り付け時の重量についてはどうでしょうか。
結論から言うと、重量は最大48.1トン以内に収める、というのが正しいです。これは、10式戦車の拡張性対応装置諸元に明記されており付加装甲の装着にあたっては車体質量が48.1トン以下の範囲で行われるとのことです。分かり難い記述ですが、「全付加装甲装着時48.1トン」という表記を使わなかったのは、付加装甲を任務に応じて選択できる自由度の幅が広いためではないかと推測します。
しかし、どのような形態の時に重量が何トンあるのかについては、外見上判断する手段が事実上ありません。その理由について、次節で説明します。



外見から分からない10式戦車の重量


上の写真は、我々がよく知る形の10式戦車です。10式戦車この形態が付加装甲装着時であるとされる記述が雑誌やネットなどでもよく見られます。



しかし、寄ってよく見ると「付加装甲」とされているものは、小さな少数のボルトで留めているだけだと分かります。つまり、外見で分かる「付加装甲らしきモノ」は小さいボルトで留められるくらい重量が軽いのです。
実はこの「付加装甲が装着されている」外見は、あくまで「装甲カバー」を装着したものであって、本当に付加装甲を着けたかどうかは外見から判別できないようになっているのです。 90式戦車も砲塔正面はキャンパス地に覆われ、中の構造がどうなっているかは分かりませんでしたが、10式は砲塔から車体に至るまでカバーで覆われ、本当にその車両が付加装甲を装着しているのか、外見からは分からないのです(上面付加装甲とかは分かるかも)。



この装甲カバーに与えられている役割は、どの装甲を着けているかの秘匿の他に、装甲の取り付け方式の秘匿があります。また、カバーに大量に付いているフックは偽装網取り付け用で、ここに擬装用の網を引っ掛けることになります。取っ掛かりがない74式や90式に比べ、偽装網取り付けに関しては、かなり利便性が高まったのではないかと思われます。
また、カバーが金属製であるのも、なんらかの防護上の意味合いが存在するでしょう。小口径弾や歩兵携行の対戦車火器に関しては、薄い金属板でも効果が望めますし、単純にそれに留まらない機能的意味もあるのかもしれませんが、そこは想像するしかないでしょう。

以上。