2015年も残り僅か。皆様もいかがお過ごしでしょうか。
2013年に見切り発車してから3年目の年でありましたが、まだ生きてますので大丈夫のようです。
今年はYahoo!ニュース個人月間MVA貰ったり、書籍の仕事が入ったり、初海外仕事貰ったらよりにもよってシベリアだったりと、駆け出しの人間にしては恵まれていたんじゃないかにゃーと思います。
その一方で、やりたいことが多すぎて、あちこち手を広げてはどれも中途半端な状態で転がっているのをなんとかしたいです。書籍の山がひどい。
さて、2016年ですが、幸運な事に面白い事が早々にやれそうです。正月明けにでも一発目かます予定ですので、期待せずに生暖かく見守って下されば幸いです。
皆様の2016年も良い年でありますように。
2015年12月31日木曜日
2015年12月21日月曜日
新聞の軽減税率適用はどれだけ報じられたか
2017年4月に10%に上がる消費税率について、8%のまま据え置かれる軽減税率の導入が決まったことは、ご存じの方も多いと思います。
その軽減税率の適用対象となる物品については、外食を除く食料品、そして一定の条件を満たした新聞を対象にすると報じられています。食料品の適用対象を巡っては、与党内で生鮮食料品までとか、いや加工食品を含めるべきだといった論争があった事は報じられています。それに対し、新聞への軽減税率適用は、突然湧き出てきた感がありました。
そう感じたのは私だけでもないようで、新聞への軽減税率適用については、元毎日新聞記者の佐々木俊尚氏が「新聞がまったく報じない」とTwitterに書き込んでいました。そこに朝日新聞の現役記者が「「まったく報じない」とデマを言われるのはちょっと…」と反論する一コマもありました。(やりとりは下記togetterまとめで)
togetter:新聞の軽減税率対象に佐々木俊尚さん「新聞がまったく報じない」→朝日新聞記者「デマを言われるのはちょっと…」
このまとめで佐々木氏は朝日新聞記事のデータベース検索結果を示し、新聞への軽減税率適用を巡る記事は希少だとしています。しかしながら、現役記者の方の反論の通り、過去に小さくとも報じられているのもまた事実で、新聞への軽減税率適用の記事が食料品のそれと、どれだけ報じ方に違いがあったのか、具体的な数量比較が無いので分かりません。
そこで今回は、2015年の新聞記事の中から、どのくらい新聞の軽減税率適用が報じられたかを数字で見てみたいと思います。佐々木氏が行ったようにデータベース検索を利用し、2015年の1月1日から12月17日までの間、朝日新聞と読売新聞の2紙で軽減税率について、食品や新聞といった対象が、どれだけ報じられていたかを調べてみました。
検索ワードは「軽減税率」、「軽減税率 食品」、「軽減税率 新聞」としましたが、「軽減税率 新聞」の検索結果には「◯◯新聞が行った軽減税率についての世論調査~」といった、新聞への軽減税率適用と関係ない記事が多数見られたため、そのような記事は除外しています。すると、下記のような検索結果となりました。
「軽減税率」:朝日279、読売437
「軽減税率」+「食品」:朝日88、読売231
「軽減税率」+「新聞」:朝日39(除外12)、読売70(除外18)
結果からすると、軽減税率に関する記事の中でも、新聞を扱ったものは食品と比べて少ないのは間違い無さそうです。
新聞業界からすれば、「新聞の軽減税率も報じている」とポジショントークを主張するのは当然とは思いますが、食品と新聞の2つしか適用対象がないにも関わらず、食品と扱いに大きな差があるのを見てしまうと、そう言われてもなあ……という気分になります。
新聞や出版物への軽減税率を導入している国は、世界でも少なくありません。ただ、莫大な発行部数を誇る大新聞社が強い日本の新聞業界に、経営体力の弱い少部数の地域新聞社が主流の欧米の事例を当てはめるのもどうかと思いますし、重要な政策ほど「国民的議論を」と主張する新聞が、国民的議論も無しに自分たちが軽減税率対象となるのは当然という態度なのも素直に納得は出来ません。
2%の差に過ぎませんが、新聞業界にとって、高くつく2%になりそうな気がするのは思い過ごしでしょうか。
その軽減税率の適用対象となる物品については、外食を除く食料品、そして一定の条件を満たした新聞を対象にすると報じられています。食料品の適用対象を巡っては、与党内で生鮮食料品までとか、いや加工食品を含めるべきだといった論争があった事は報じられています。それに対し、新聞への軽減税率適用は、突然湧き出てきた感がありました。
そう感じたのは私だけでもないようで、新聞への軽減税率適用については、元毎日新聞記者の佐々木俊尚氏が「新聞がまったく報じない」とTwitterに書き込んでいました。そこに朝日新聞の現役記者が「「まったく報じない」とデマを言われるのはちょっと…」と反論する一コマもありました。(やりとりは下記togetterまとめで)
togetter:新聞の軽減税率対象に佐々木俊尚さん「新聞がまったく報じない」→朝日新聞記者「デマを言われるのはちょっと…」
このまとめで佐々木氏は朝日新聞記事のデータベース検索結果を示し、新聞への軽減税率適用を巡る記事は希少だとしています。しかしながら、現役記者の方の反論の通り、過去に小さくとも報じられているのもまた事実で、新聞への軽減税率適用の記事が食料品のそれと、どれだけ報じ方に違いがあったのか、具体的な数量比較が無いので分かりません。
そこで今回は、2015年の新聞記事の中から、どのくらい新聞の軽減税率適用が報じられたかを数字で見てみたいと思います。佐々木氏が行ったようにデータベース検索を利用し、2015年の1月1日から12月17日までの間、朝日新聞と読売新聞の2紙で軽減税率について、食品や新聞といった対象が、どれだけ報じられていたかを調べてみました。
検索ワードは「軽減税率」、「軽減税率 食品」、「軽減税率 新聞」としましたが、「軽減税率 新聞」の検索結果には「◯◯新聞が行った軽減税率についての世論調査~」といった、新聞への軽減税率適用と関係ない記事が多数見られたため、そのような記事は除外しています。すると、下記のような検索結果となりました。
「軽減税率」:朝日279、読売437
「軽減税率」+「食品」:朝日88、読売231
「軽減税率」+「新聞」:朝日39(除外12)、読売70(除外18)
朝日新聞、読売新聞の軽減税率関連記事数比較 |
結果からすると、軽減税率に関する記事の中でも、新聞を扱ったものは食品と比べて少ないのは間違い無さそうです。
新聞業界からすれば、「新聞の軽減税率も報じている」とポジショントークを主張するのは当然とは思いますが、食品と新聞の2つしか適用対象がないにも関わらず、食品と扱いに大きな差があるのを見てしまうと、そう言われてもなあ……という気分になります。
新聞や出版物への軽減税率を導入している国は、世界でも少なくありません。ただ、莫大な発行部数を誇る大新聞社が強い日本の新聞業界に、経営体力の弱い少部数の地域新聞社が主流の欧米の事例を当てはめるのもどうかと思いますし、重要な政策ほど「国民的議論を」と主張する新聞が、国民的議論も無しに自分たちが軽減税率対象となるのは当然という態度なのも素直に納得は出来ません。
2%の差に過ぎませんが、新聞業界にとって、高くつく2%になりそうな気がするのは思い過ごしでしょうか。
2015年11月30日月曜日
グラフを変えて見る「過去最高の防衛費」
報道によると、防衛費が初の5兆円台の大台に乗り、過去最高になるそうです。
今までも概算要求で5兆円超えだった事はありましたが、当初予算で5兆円超えは今回が初めてになりそうです。
記事中では防衛費が4年連続増加していること、社会保障費を除く各経費が横ばいの中での「例外枠」になっている事を指摘しており、防衛費増に否定的な方からは批判の声が上がると思われます。
一般的に防衛費は、国外の情勢に応じて増減されます。周辺国と緊張状態にある時は上昇圧力が働きますし、逆に周辺国と関係が安定すれば大規模な削減も可能です。厳しい財政状況の中、日本が防衛費を増額するのは、活発化する中国の海洋進出を睨んでの事と各紙は指摘しています。日本の周辺情勢が怪しくなってきた、ということですね。
日本の周辺情勢が怪しいとなると、周辺国の防衛費はどうなっているのでしょうか。かつて、日本が防衛費世界2位の時期もありましたが、現在はどうなのでしょう?
そこで、今回はこの20年間の防衛費の推移について、トップグループの中で日本がどの程度の位置にあり、それがどう推移したのかをグラフィカルに見ていくことで、「過去最高の防衛費」がどういった意味を持つのかについて考えてみましょう。
例えば、イギリスでは沿岸警備隊はもっぱら救助活動を行う組織で、領海の警備活動は海軍が行うのに対し、日本やアメリカでは海上保安庁や沿岸警備隊のような専門組織が領海での警察活動を行っています。そのため、イギリスと日本の国防費を厳密に比較する場合、海上保安庁の予算も防衛費に含める必要があるかもしれません。
また、公表されている中国の国防費には、装備品の輸入にかかる費用や、装備の研究開発費などの様々な軍事関係経費が含まれておらず、実質的な国防費は公表値の倍近くあるのではないかという推計もあります(中国の国防費については、拙稿 「日本の防衛費過去最高を記録。近隣国は?」を参照ください)。
このような各国の軍事組織や制度の違いから、公表される防衛費を比較するだけでは不十分な事が分かると思います。しかし、比較のための修正は、修正方針の一貫性や修正者の思想まで問題が及ぶため、信頼性と中立性を担保するのは簡単ではありません。
そこで比較には、国際的に定評のあるスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が集計・公表している、各国の軍事支出データベース(SIPRI Military Expenditure Database)のデータを利用したいと思います。SIPRIでは様々な要素を勘案して各国防衛費を集計し、その国の通貨ベースの防衛費や、為替変動を考慮したドル換算の防衛費など、増減に影響を与える様々な条件下でのデータを公表しており、中立性の面でも信頼性が高いとされます。
そこで今回は視認性を重視して、全体に占める面積で数値の大きさを表すツリーマップ表現を用いてみたいと思います(本来のツリーマップは階層構造を表現するものですが……)。トップ15の中で、どの国がどれだけ防衛費を使っているかがよく分かると思います。
2014年はアメリカが大きく他を引き離して1位。次いで中国、ロシア、サウジアラビアの2~4位組がトップグループを形成しています。フランス、イギリス、インド、ドイツと来て、9位に日本。10位以降は韓国、ブラジル、イタリア、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコの順で、この15カ国が現在の世界の軍事支出トップ15になります。
この15カ国の防衛費について、20年間の推移を見ていきましょう。
20年前の1995年はどうでしょうか。この頃は日本がアメリカに次いで防衛費2位でした。ソ連崩壊以後の混乱でロシアが大きく順位を落としており、イタリアや韓国よりも低いのは時代を感じさせます。なお。SIPRIのデータベースでUAEの防衛費が集計されるのは1997年以降で、この頃はまだ載っていません。
2000年の状況はどうでしょうか。この年もアメリカに次いで日本という傾向は変わりませんが、全体に占めるアメリカの割合が増大しているのが分かります。アメリカ一強です。
2005年はアメリカ一強がさらに強まります。2001年の米国同時多発テロ以降、アメリカが戦争状態になったために防衛費が増大したためです。また、日本の順位は5位となり、この年初めて中国(4位)に抜かれる形になっています。
2010年になると、アメリカ一強の状況ではあるものの、中国が存在感を見せてきます。2005年よりアメリカの防衛費は増えているのですが、それでもトップ15に占めるアメリカの割合が低下しているのは、中国が金額ベースで倍以上の伸びを見せているためです。2007年以降、アメリカ1位、中国2位という状況が固定化されており、3位以下に大きな差を付けるようになります。一方、日本は安保理常任理事国の下という形になり、この傾向が今に続いています。
もう一度2014年に戻りましょう。アメリカ一強であるものの、中国の存在感が年を追うごとに大きくなっています。日本はインドよりも下の順位です。日本は4年連続で防衛費を増額していると言っても、その上昇額が僅か過ぎて、他国の伸びには追いついてない状況です。このペースですと、日本の防衛費が韓国に抜かれるのも時間の問題と思われます。
防衛費が抑制的である事は誇って良いと思いますが、その結果として、周辺国との軍事バランスが不均衡が生じるのは良い事ではありません。ですが、現実的に周辺国(特に中国)の増加ペースに合わせた防衛費の増額は不可能と言っていいでしょう。
防衛費の飛躍的な増額が見込めない中、軍事力の不均衡を防ぐにはどうすればいいでしょうか。その1つの答えとして、強い軍事力を持った国との協力関係を強固にする方法があります。つまり、同盟関係の強化です。日本政府が日米同盟の強化を推し進め、集団的自衛権保持についての解釈変更も辞さなかったのには、こういう背景もあるのでしょう。
同じデータでも、グラフを変えてみると、相対的な関係がより分かりやすくなったのではないでしょうか。今回は防衛費がネタでしたが、違った分野でも様々な視点・切り口で見ることで、面白い結果が出るかもしれませんね。
※本記事中では画像ファイルとしてツリーマップを掲載しておりますが、下記URLではツリーマップ画像を生成したJava Scriptによるアニメーションを公開してありますので、興味のある方は御覧ください。
http://dragoner.heteml.jp/index.html
政府は2016年度当初予算編成で、防衛関係費を今年度(4兆9801億円)より増額し、過去最高の5兆円台とする方向で調整に入った。沖縄の基地負担軽減や、海洋進出を活発化させる中国を念頭に置いた離島防衛力強化に充てる予算を増やすため。防衛費の増加は4年連続。安倍晋三政権の発足以降、一貫して増えている。防衛費が5兆円を超えるのは初めて
<防衛費>初の5兆円台…沖縄基地負担軽減 来年度予算案
今までも概算要求で5兆円超えだった事はありましたが、当初予算で5兆円超えは今回が初めてになりそうです。
記事中では防衛費が4年連続増加していること、社会保障費を除く各経費が横ばいの中での「例外枠」になっている事を指摘しており、防衛費増に否定的な方からは批判の声が上がると思われます。
一般的に防衛費は、国外の情勢に応じて増減されます。周辺国と緊張状態にある時は上昇圧力が働きますし、逆に周辺国と関係が安定すれば大規模な削減も可能です。厳しい財政状況の中、日本が防衛費を増額するのは、活発化する中国の海洋進出を睨んでの事と各紙は指摘しています。日本の周辺情勢が怪しくなってきた、ということですね。
日本の周辺情勢が怪しいとなると、周辺国の防衛費はどうなっているのでしょうか。かつて、日本が防衛費世界2位の時期もありましたが、現在はどうなのでしょう?
そこで、今回はこの20年間の防衛費の推移について、トップグループの中で日本がどの程度の位置にあり、それがどう推移したのかをグラフィカルに見ていくことで、「過去最高の防衛費」がどういった意味を持つのかについて考えてみましょう。
単純な比較が難しい防衛費
防衛費は世界の様々な国で計上されていますが、国によってその内容は大きく異なっています。例えば、イギリスでは沿岸警備隊はもっぱら救助活動を行う組織で、領海の警備活動は海軍が行うのに対し、日本やアメリカでは海上保安庁や沿岸警備隊のような専門組織が領海での警察活動を行っています。そのため、イギリスと日本の国防費を厳密に比較する場合、海上保安庁の予算も防衛費に含める必要があるかもしれません。
また、公表されている中国の国防費には、装備品の輸入にかかる費用や、装備の研究開発費などの様々な軍事関係経費が含まれておらず、実質的な国防費は公表値の倍近くあるのではないかという推計もあります(中国の国防費については、拙稿 「日本の防衛費過去最高を記録。近隣国は?」を参照ください)。
このような各国の軍事組織や制度の違いから、公表される防衛費を比較するだけでは不十分な事が分かると思います。しかし、比較のための修正は、修正方針の一貫性や修正者の思想まで問題が及ぶため、信頼性と中立性を担保するのは簡単ではありません。
そこで比較には、国際的に定評のあるスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が集計・公表している、各国の軍事支出データベース(SIPRI Military Expenditure Database)のデータを利用したいと思います。SIPRIでは様々な要素を勘案して各国防衛費を集計し、その国の通貨ベースの防衛費や、為替変動を考慮したドル換算の防衛費など、増減に影響を与える様々な条件下でのデータを公表しており、中立性の面でも信頼性が高いとされます。
ツリーマップによる各国防衛費の比較
それでは、現在集計・公表が済んでいる2014年の防衛費トップ15を見てみましょう。一般的に防衛費の推移は、折れ線グラフを用いて表現される事が多いです。しかし、1位が圧倒的で2位以下が近い額で固まっている防衛費を折れ線グラフで表すと、下のグラフのように線が密集して比較しづらい問題がありました。防衛費トップ15国の防衛費の20年間の推移 |
そこで今回は視認性を重視して、全体に占める面積で数値の大きさを表すツリーマップ表現を用いてみたいと思います(本来のツリーマップは階層構造を表現するものですが……)。トップ15の中で、どの国がどれだけ防衛費を使っているかがよく分かると思います。
2014年の防衛費トップ15国(出典:SIPRI Military expenditure(current US$)) |
2014年はアメリカが大きく他を引き離して1位。次いで中国、ロシア、サウジアラビアの2~4位組がトップグループを形成しています。フランス、イギリス、インド、ドイツと来て、9位に日本。10位以降は韓国、ブラジル、イタリア、オーストラリア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコの順で、この15カ国が現在の世界の軍事支出トップ15になります。
この15カ国の防衛費について、20年間の推移を見ていきましょう。
20年前の1995年はどうでしょうか。この頃は日本がアメリカに次いで防衛費2位でした。ソ連崩壊以後の混乱でロシアが大きく順位を落としており、イタリアや韓国よりも低いのは時代を感じさせます。なお。SIPRIのデータベースでUAEの防衛費が集計されるのは1997年以降で、この頃はまだ載っていません。
現在の防衛費トップ15国の1995年時点の防衛費比較 |
現在の防衛費トップ15国の2000年時点の防衛費比較 |
2005年はアメリカ一強がさらに強まります。2001年の米国同時多発テロ以降、アメリカが戦争状態になったために防衛費が増大したためです。また、日本の順位は5位となり、この年初めて中国(4位)に抜かれる形になっています。
現在の防衛費トップ15国の2005年時点の防衛費比較 |
2010年になると、アメリカ一強の状況ではあるものの、中国が存在感を見せてきます。2005年よりアメリカの防衛費は増えているのですが、それでもトップ15に占めるアメリカの割合が低下しているのは、中国が金額ベースで倍以上の伸びを見せているためです。2007年以降、アメリカ1位、中国2位という状況が固定化されており、3位以下に大きな差を付けるようになります。一方、日本は安保理常任理事国の下という形になり、この傾向が今に続いています。
現在の防衛費トップ15国の2010年時点の防衛費比較 |
もう一度2014年に戻りましょう。アメリカ一強であるものの、中国の存在感が年を追うごとに大きくなっています。日本はインドよりも下の順位です。日本は4年連続で防衛費を増額していると言っても、その上昇額が僅か過ぎて、他国の伸びには追いついてない状況です。このペースですと、日本の防衛費が韓国に抜かれるのも時間の問題と思われます。
控えめな「過去最高」
さて、ここ20年の防衛費の推移を見ると、相対的に日本は減少傾向にあり、絶対的な額でも周辺国から突出したものではない事が分かります。防衛費が過去最大となる事をして「軍拡」と批判する向きも見られますが、周辺国とのバランスを見れば僅かな上昇に過ぎず、むしろ抑制的なレベルと言えるでしょう。「過去最高」でも、周辺と比べて突出して高い訳ではありません。防衛費が抑制的である事は誇って良いと思いますが、その結果として、周辺国との軍事バランスが不均衡が生じるのは良い事ではありません。ですが、現実的に周辺国(特に中国)の増加ペースに合わせた防衛費の増額は不可能と言っていいでしょう。
防衛費の飛躍的な増額が見込めない中、軍事力の不均衡を防ぐにはどうすればいいでしょうか。その1つの答えとして、強い軍事力を持った国との協力関係を強固にする方法があります。つまり、同盟関係の強化です。日本政府が日米同盟の強化を推し進め、集団的自衛権保持についての解釈変更も辞さなかったのには、こういう背景もあるのでしょう。
同じデータでも、グラフを変えてみると、相対的な関係がより分かりやすくなったのではないでしょうか。今回は防衛費がネタでしたが、違った分野でも様々な視点・切り口で見ることで、面白い結果が出るかもしれませんね。
※本記事中では画像ファイルとしてツリーマップを掲載しておりますが、下記URLではツリーマップ画像を生成したJava Scriptによるアニメーションを公開してありますので、興味のある方は御覧ください。
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2015年11月25日水曜日
2014年時点の防衛費トップ15国家の防衛費推移をツリーマップで表現してみた。
JS(女子小学生ではない)の勉強のため、色々データ弄って遊んでました。
SIPRIのデータ(Military expenditure by country, in current US$)を元に、2014年時点で防衛費トップ10の国家(アメリカ、中国、ロシア、サウジアラビア、フランス、イギリス、インド、ドイツ、日本、韓国、ブラジル、イタリア、オーストラリア、UAE、トルコ)が、軍事費を(相対的に)どう変化させていったのか、ツリーマップ形式で表現しました。
Bloggerにスクリプト載せるのが出来ないので、借りたサーバに載っけます。
http://dragoner.heteml.jp/
画面下にある再生ボタンで順次変遷、年代ボタンで任意の年代データが見れます。マウスを国に合わせると、「◯◯K」と表示されますが、百万ドル単位なのに注意。
しかし、20年で随分変わりましたね。アメリカ1強なのは変わりませんが、それ以下の変わりっぷりが激しいです。
SIPRIのデータ(Military expenditure by country, in current US$)を元に、2014年時点で防衛費トップ10の国家(アメリカ、中国、ロシア、サウジアラビア、フランス、イギリス、インド、ドイツ、日本、韓国、ブラジル、イタリア、オーストラリア、UAE、トルコ)が、軍事費を(相対的に)どう変化させていったのか、ツリーマップ形式で表現しました。
Bloggerにスクリプト載せるのが出来ないので、借りたサーバに載っけます。
http://dragoner.heteml.jp/
こんな感じで表示されます |
しかし、20年で随分変わりましたね。アメリカ1強なのは変わりませんが、それ以下の変わりっぷりが激しいです。
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2015年11月17日火曜日
防衛技術シンポジウム改め防衛装備庁技術シンポジウム2015年レポ(陸上編)
間が空いてしまいましたが、空、海に続いて今回は陸上の研究開発について。
従来品と比して、下記の特徴を有しています。
各機能はユニット化されており、水タンクと薬剤タンクを備えた共通ユニットを基本に、除染ユニット、人員除染ユニット、排水処理ユニット等が構成により付加されます。
普通科連隊の本部管理中隊等、一般部隊用に装備される新除染セットは、中型トラックに共通ユニットと人員・装備除染ユニット、廃液処理ユニットから構成されています。除染後に出る廃液を処理出来るのが新除染セットのウリですが、一般部隊用は廃液を保管する機能にとどまっています。
機能が限定される一般部隊向けと異なり、各師団の化学科部隊に配備される新除染セットは、大型トラックに共通ユニット、人員・装備除染ユニットに加え、処理機能を備えた廃液処理ユニット、液体による除染が出来ない精密機器をガス除染する精密機材除染ユニットから構成されています。
新除染ユニットの新機能である精密機材除染ユニットは、2種類のガス(オゾンと過酸化水素)を戦闘車両等の密閉空間内部に流し、強力な酸化作用により生物剤・化学剤を無害化するものです。ガスで除染することで、液体による除染が難しかった精密機器のある空間の除染が可能になります。
このガス除染については、以前の防衛技術シンポジウムで実証研究結果が展示されていましたが、ついに新除染セットの1ユニットとして装備化されることになりました。研究の展示から装備化に至った例になりますね。わりと短時間で装備化されたと思いますが、需要が高いせいでしょうか。
新除染セットは空輸性が考慮されており、各ユニットの空輸が可能です。ユニットとして積載し、降ろした先でトラックに積み込む他、発電機が備えられているのでユニット単体でも動作可能で、車載でなくても地面に直置きでも大丈夫とのこと。
ハイブリッド車両と言うと、今は自動車でも珍しくはありませんが、様々な方式があります。この研究では、エンジンの出力を全て電気に変換してモーターを駆動させるシリーズハイブリット方式を取っており、数あるハイブリッドでもシンプルな方式です。
戦闘車両をハイブリッド化することで、燃費効率の向上や、エンジンを切ってバッテリーに蓄えられた電力のみで駆動する静音走行、部隊宿営地の電源としての活用などがポスターでは謳われていますが、車軸が無いことによる設計自由度の向上という利点もあります。
しかし、戦闘車両のハイブリッド化は昔から試みてきたものの、バッテリー等の重量が増加するため、かえって燃費が悪くなったり、信頼性が低下する等の問題がありました。その点について気になったので、果たして目論見通りに燃費向上はするのかと質問すると、回生エネルギーを回収することで、かなりの向上が見込めたとのことです。戦闘車両は一定の速度で機動することはそうありませんので、減速が発生する事が多く、そこで減速分の回生エネルギーを回収すれば燃費向上に繋がるという判断のようです。
試験車両として、73式装甲車クラス(73式そのものではない)の装軌車両を三菱重工で製造し、各種試験に供しているとのこと。映像も公開されていましたが、通常動力の装軌車両と遜色のない動きをしておりました。
それと、日本が装軌式とアメリカが装輪式を研究することで、効率的に研究するという日米共同研究が謳われていますが、以前からハイブリッド車両研究はあったものの、日米共同に言及されたのは初めてだったと思います。この点について、ハイブリッド車両研究を始めた当初から分担が決まっていたのか?と質問したところ、たまたま日本が装軌式、アメリカが装輪式を研究していたので、そこから共同研究に至ったのではないか、という話でした(答えた方は共同研究締結時に別部署だったので、おそらくとのこと)。
新除染セット
CBRN(化学・生物・放射性物質・核)による人員・装備・施設への汚染を除染するための新除染セットです。従来品と比して、下記の特徴を有しています。
- 機能のユニット化
- 処理能力の向上
- 空輸可能
- 除染廃液の処理(化学科部隊用のみ)
- ガスによる精密機器の除染
各機能はユニット化されており、水タンクと薬剤タンクを備えた共通ユニットを基本に、除染ユニット、人員除染ユニット、排水処理ユニット等が構成により付加されます。
共通ユニット部の模型 |
新除染セット(一般部隊用)の模型 |
機能が限定される一般部隊向けと異なり、各師団の化学科部隊に配備される新除染セットは、大型トラックに共通ユニット、人員・装備除染ユニットに加え、処理機能を備えた廃液処理ユニット、液体による除染が出来ない精密機器をガス除染する精密機材除染ユニットから構成されています。
新除染セット(化学科部隊用)の模型 |
廃液処理ユニット(左)と精密機材処理ユニット(右) |
新除染セットは空輸性が考慮されており、各ユニットの空輸が可能です。ユニットとして積載し、降ろした先でトラックに積み込む他、発電機が備えられているのでユニット単体でも動作可能で、車載でなくても地面に直置きでも大丈夫とのこと。
ハイブリッド動力システム
エンジンにより発電を行い、モーター駆動により機動させるハイブリッド動力システムの研究です。ハイブリッド車両と言うと、今は自動車でも珍しくはありませんが、様々な方式があります。この研究では、エンジンの出力を全て電気に変換してモーターを駆動させるシリーズハイブリット方式を取っており、数あるハイブリッドでもシンプルな方式です。
戦闘車両をハイブリッド化することで、燃費効率の向上や、エンジンを切ってバッテリーに蓄えられた電力のみで駆動する静音走行、部隊宿営地の電源としての活用などがポスターでは謳われていますが、車軸が無いことによる設計自由度の向上という利点もあります。
しかし、戦闘車両のハイブリッド化は昔から試みてきたものの、バッテリー等の重量が増加するため、かえって燃費が悪くなったり、信頼性が低下する等の問題がありました。その点について気になったので、果たして目論見通りに燃費向上はするのかと質問すると、回生エネルギーを回収することで、かなりの向上が見込めたとのことです。戦闘車両は一定の速度で機動することはそうありませんので、減速が発生する事が多く、そこで減速分の回生エネルギーを回収すれば燃費向上に繋がるという判断のようです。
試験車両として、73式装甲車クラス(73式そのものではない)の装軌車両を三菱重工で製造し、各種試験に供しているとのこと。映像も公開されていましたが、通常動力の装軌車両と遜色のない動きをしておりました。
それと、日本が装軌式とアメリカが装輪式を研究することで、効率的に研究するという日米共同研究が謳われていますが、以前からハイブリッド車両研究はあったものの、日米共同に言及されたのは初めてだったと思います。この点について、ハイブリッド車両研究を始めた当初から分担が決まっていたのか?と質問したところ、たまたま日本が装軌式、アメリカが装輪式を研究していたので、そこから共同研究に至ったのではないか、という話でした(答えた方は共同研究締結時に別部署だったので、おそらくとのこと)。
2015年11月16日月曜日
パリ銃撃テロとパンドラの箱を開けた日本人テロリスト
13日に発生したパリでの同時多発テロが、世界に衝撃を与えていますね。
事件の詳細については、各メディアが詳細に伝えていますが、こんな報道がありました。
パリでの事件を「kamikaze」と呼ぶ欧米メディアに対して、日本のネットユーザーが困惑しているというニュースです。日本が第二次大戦末期に行った自殺攻撃の中でも、神風特攻隊は「カミカゼ」として自殺攻撃の代名詞になっていますが、神風は「基本的に艦船や兵士を標的」とした一方、「自爆テロは一般人を含めて無差別攻撃」であるから、全く同じではないという記者のコメントも入っています。
神風特攻隊が軍事目標を標的にしていたのは事実です。このことを強調し、欧米メディアを正したい気持ちも理解できなくはありません。しかし、今回のテロ事件に関しては、そういう行動は控えた方がいいかもしれません。なぜなら、一般市民への無差別銃撃を最初にテロ手法として実行し、世界中のテロリストに広めるキッカケを作ったのは、他でもない日本人だったのですから。
このテルアビブ空港乱射事件が衝撃的だったのは、それまでの政治的テロが要人、団体や施設といったテロリストの政治目的に関連した、限定された目標に対する攻撃だったのに対し、単にテルアビブ空港にいただけの市民を無差別に殺傷したことにあります。ハワイ大学のパトリシア・スタインホフ助教授(当時)は、実行犯唯一の生き残りである岡本公三に無差別に殺された市民について尋ねており、岡本はその問いにこう答えています。
このような「敵」と「罪無き傍観者」(市民)の間に区別が無いとする岡本らの思想と行動は、その後のテロリズムに大きな影響を与えます。銃や爆発物を使った市民に対する無差別テロが当然のように行われるようになり、それが自殺攻撃と結びつくことで、近年著しい被害をもたらしている自爆テロとなります。日本人テロリストが行ったテロが、世界のテロを変えてしまったのです。
ここで改めて、テルアビブ空港乱射事件における国籍関係を整理してみましょう。'''アラブーイスラエル間のパレスチナ問題'''に対して、'''無関係の日本人テロリスト'''が'''イスラエルの空港'''で乱射テロを起こしました。その結果、'''パレスチナ問題と無関係のプエルトリコ人が最も多く殺されました'''。これを見ても分かるように、加害者である側のテロリストも、犠牲者の側の一般市民も、テロの政治的要因と国籍にまるで関係が無いのです。
本来、地域的であったはずのテロリズムが、その対象を全世界にまで拡大し、世界中のどこにでもテロが起こりうるようになりました。国際テロ集団はこの一点のみで、国籍・思想・人種を問わず、全人類にとっての脅威であることが分かると思います。ですから、「テロとの戦い」の方法に異論はあれど、テロリストでない市民は必然的にテロリストと対峙する側につかざるを得ず、テロとは無関係でいられないのです。
まして、神風特攻隊などの組織的な自殺攻撃に加えて、市民への無差別攻撃というパンドラの箱を開いたのが日本人である事実は、現代世界で問題となっているテロ攻撃の大半がその組み合わせである事を踏まえると、「神風と全く同じではない」という抗議にはある種の虚しさすらあります。下手に神風の話を出して、「そうだね。でも、無差別攻撃はオカモトたちが始めたことだよね?」と返されるのは、あまりスマートではありません。
パスポートを焼いて国を捨てたISに対し、テルアビブ空港乱射事件の日本人実行犯は、所持していた日本のパスポートの自分の顔写真だけを破り捨て、岡本以外の2名は自分の顔を破壊するように手榴弾で自殺したとされます。この意図についてスタインホフ助教授が岡本に尋ねると、顔を破壊する目的は個人性の破壊であり、「日本人としてのアイデンティティを破壊するつもりはなかった」と答えています。
地域的なテロリズムを、無差別かつ全世界に拡大した岡本たちが、日本人である事を棄てなかった事実は興味深いです。戦闘員に国籍・民族的アイデンティティを棄てさせるISが、個人的アイデンティティを棄て去っても日本人であり続けようとしたテロリストの手法を模倣しているというのは、同じテロリストとはいえ皮肉な現象と言えるかもしれません。
事件の詳細については、各メディアが詳細に伝えていますが、こんな報道がありました。
フランス・パリ中心部で起こった同時多発テロをめぐり、欧米メディアが自爆テロを「kamikaze」と表現していることに、日本国内で困惑の声が上がっている。
(中略)
「kamikaze」とは、太平洋戦争時における日本軍の「特別攻撃」に由来する言葉だ。ただ、「特別攻撃」は基本的に艦船や兵士を標的とした一方、自爆テロは一般人を含めて無差別攻撃とされ、全く同じものとは言えない。また、いつ、どのような過程で「kamikaze」が「自爆テロ」の意味で使われるようになったのかも不明だ。
欧米メディア、仏自爆テロを「kamikaze」と表現 日本では「なんだか複雑」「悲しいこと」と困惑
パリでの事件を「kamikaze」と呼ぶ欧米メディアに対して、日本のネットユーザーが困惑しているというニュースです。日本が第二次大戦末期に行った自殺攻撃の中でも、神風特攻隊は「カミカゼ」として自殺攻撃の代名詞になっていますが、神風は「基本的に艦船や兵士を標的」とした一方、「自爆テロは一般人を含めて無差別攻撃」であるから、全く同じではないという記者のコメントも入っています。
戦艦ミズーリに突入寸前の特攻機 |
神風特攻隊が軍事目標を標的にしていたのは事実です。このことを強調し、欧米メディアを正したい気持ちも理解できなくはありません。しかし、今回のテロ事件に関しては、そういう行動は控えた方がいいかもしれません。なぜなら、一般市民への無差別銃撃を最初にテロ手法として実行し、世界中のテロリストに広めるキッカケを作ったのは、他でもない日本人だったのですから。
一般市民を標的にしたテロのはじまり
1972年5月30日、テルアビブ・ロッド国際空港(現ベン・グリオン国際空港)において、日本の極左過激派集団のメンバー3名が自動小銃を乱射するテロ事件が起こしました(テルアビブ空港乱射事件)。「日本赤軍」の名前で犯行声明が出されたこのテロでは26名が死亡し、また実行犯3名のうち2名が死亡、1名が逮捕されています。|2003年時点のベン・グリオン空港ターミナル(VOrash撮影) |
このテルアビブ空港乱射事件が衝撃的だったのは、それまでの政治的テロが要人、団体や施設といったテロリストの政治目的に関連した、限定された目標に対する攻撃だったのに対し、単にテルアビブ空港にいただけの市民を無差別に殺傷したことにあります。ハワイ大学のパトリシア・スタインホフ助教授(当時)は、実行犯唯一の生き残りである岡本公三に無差別に殺された市民について尋ねており、岡本はその問いにこう答えています。
……彼(※注:岡本のこと)は全員の死に対し、まったく無感情だった。彼らは生命をもつ一個の人間というよりは、大きな目的のための象徴あるいは必要な犠牲者のように思えた。
(中略)武力革命という、より大きな目的のためには、人々の死は避けがたい必然である。革命は全体的なもののはずだから、敵と罪なき傍観者のあいだには、はっきりとした区別がない。あらゆる人間がともかくも革命に巻き込まれるだろう。……
このような「敵」と「罪無き傍観者」(市民)の間に区別が無いとする岡本らの思想と行動は、その後のテロリズムに大きな影響を与えます。銃や爆発物を使った市民に対する無差別テロが当然のように行われるようになり、それが自殺攻撃と結びつくことで、近年著しい被害をもたらしている自爆テロとなります。日本人テロリストが行ったテロが、世界のテロを変えてしまったのです。
テロリストと犠牲者に国籍は意味を持たない
テルアビブ空港乱射事件は、一般市民を無差別に狙ったテロという点も衝撃的でしたが、もう一点、世界に衝撃を与えたものがあります。それは、テロの実行犯であるテロリスト、そして犠牲者の国籍が、政治的目的となんの関係性も無いという、テロリズムの全世界化が行われたことです。ここで改めて、テルアビブ空港乱射事件における国籍関係を整理してみましょう。'''アラブーイスラエル間のパレスチナ問題'''に対して、'''無関係の日本人テロリスト'''が'''イスラエルの空港'''で乱射テロを起こしました。その結果、'''パレスチナ問題と無関係のプエルトリコ人が最も多く殺されました'''。これを見ても分かるように、加害者である側のテロリストも、犠牲者の側の一般市民も、テロの政治的要因と国籍にまるで関係が無いのです。
本来、地域的であったはずのテロリズムが、その対象を全世界にまで拡大し、世界中のどこにでもテロが起こりうるようになりました。国際テロ集団はこの一点のみで、国籍・思想・人種を問わず、全人類にとっての脅威であることが分かると思います。ですから、「テロとの戦い」の方法に異論はあれど、テロリストでない市民は必然的にテロリストと対峙する側につかざるを得ず、テロとは無関係でいられないのです。
パンドラの箱を開いた日本人
組織的かつ大規模な自殺攻撃に先鞭をつけたのが日本の神風特攻隊である事に疑いの余地はなく、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の際も「kamikaze」と呼ぶメディアは多くありました。自殺攻撃の代表例として、[https://en.wikipedia.org/wiki/Suicide_attack 英語版Wikipedia(en:Suicide attack)]でも神風特攻隊が筆頭に挙げられています。過去に誰かが思いついたかもしれないが実行しなかった事を、大々的に実行した衝撃は計り知れないものがありました。まして、神風特攻隊などの組織的な自殺攻撃に加えて、市民への無差別攻撃というパンドラの箱を開いたのが日本人である事実は、現代世界で問題となっているテロ攻撃の大半がその組み合わせである事を踏まえると、「神風と全く同じではない」という抗議にはある種の虚しさすらあります。下手に神風の話を出して、「そうだね。でも、無差別攻撃はオカモトたちが始めたことだよね?」と返されるのは、あまりスマートではありません。
パスポートを焼いたIS、顔だけ破いた日本赤軍
パリでの同時多発テロを実行したとみられるISでは、新たに加わった外国人メンバーが自分のパスポートを焼き捨てる儀式が行われています。出身国を棄て、ISの戦士となったことを象徴づける儀式です。パスポートを焼くISの儀式(IS系メディアより) |
パスポートを焼いて国を捨てたISに対し、テルアビブ空港乱射事件の日本人実行犯は、所持していた日本のパスポートの自分の顔写真だけを破り捨て、岡本以外の2名は自分の顔を破壊するように手榴弾で自殺したとされます。この意図についてスタインホフ助教授が岡本に尋ねると、顔を破壊する目的は個人性の破壊であり、「日本人としてのアイデンティティを破壊するつもりはなかった」と答えています。
地域的なテロリズムを、無差別かつ全世界に拡大した岡本たちが、日本人である事を棄てなかった事実は興味深いです。戦闘員に国籍・民族的アイデンティティを棄てさせるISが、個人的アイデンティティを棄て去っても日本人であり続けようとしたテロリストの手法を模倣しているというのは、同じテロリストとはいえ皮肉な現象と言えるかもしれません。
【関連】
文中でも触れた「死へのイデオロギー―日本赤軍派― (岩波現代文庫―社会)」は、外国人による日本のテロリズムとその精神性についての分析でオススメ。
2015年11月13日金曜日
各都道府県別ハンターマップがGoogle Mapでも利用出来るようになっていたのでお知らせ
もうすぐ猟期ですね。防衛技術シンポジウムのレポの最中だけど、ちょっとこの話を。
3年以上前に作ったGoogleEarth版各都道府県鳥獣保護区図(ネット版ハンターマップ)ですが、Google Earthだけじゃなくて、Google Mapでも利用出来るようになりました。Google Earthで使うより、かなり便利になったはずです。下みたいに表示されます(長野県の例)。
私は特に何もしていません。3年前はGoogle Mapの仕様が厳しすぎて、一度に表示できるオブジェクトが少なすぎたために抜け道としてGoogle Earthで作りましたが、気づいたらGoogle Mapの仕様が緩くなったのか、普通に使えるようになってました。
調子こいて全国版作ろうとしましたが、3,4県分まとめたところで仕様に引っかかりアウトだったので、都道府県版のまんまです。
なお、データは平成21年度のまんま&銃猟禁止区などは未掲載ですので注意。僕がサボったせいではなく、公開されているデータがそれしかないからなので、政府自治体に文句言ってください。
下記リンク先記事にある各都道府県別リンクをクリックして、お気に入り登録すれば、スマホ上のGoogle Mapアプリでもマイプレイスから表示できるはずです。
http://dragoner-jp.blogspot.jp/2013/02/googleearth.html
各都道府県のデータを見返してみると、どの都道府県も数百回の閲覧回数があり、それなりに需要があるのだなーと思いました。環境省その他も狩猟推進するつもりだったら、もっと地図データ開示してよ。
それでは、事故の無い、良い猟期でありますように。
3年以上前に作ったGoogleEarth版各都道府県鳥獣保護区図(ネット版ハンターマップ)ですが、Google Earthだけじゃなくて、Google Mapでも利用出来るようになりました。Google Earthで使うより、かなり便利になったはずです。下みたいに表示されます(長野県の例)。
私は特に何もしていません。3年前はGoogle Mapの仕様が厳しすぎて、一度に表示できるオブジェクトが少なすぎたために抜け道としてGoogle Earthで作りましたが、気づいたらGoogle Mapの仕様が緩くなったのか、普通に使えるようになってました。
調子こいて全国版作ろうとしましたが、3,4県分まとめたところで仕様に引っかかりアウトだったので、都道府県版のまんまです。
なお、データは平成21年度のまんま&銃猟禁止区などは未掲載ですので注意。僕がサボったせいではなく、公開されているデータがそれしかないからなので、政府自治体に文句言ってください。
下記リンク先記事にある各都道府県別リンクをクリックして、お気に入り登録すれば、スマホ上のGoogle Mapアプリでもマイプレイスから表示できるはずです。
http://dragoner-jp.blogspot.jp/2013/02/googleearth.html
各都道府県のデータを見返してみると、どの都道府県も数百回の閲覧回数があり、それなりに需要があるのだなーと思いました。環境省その他も狩猟推進するつもりだったら、もっと地図データ開示してよ。
それでは、事故の無い、良い猟期でありますように。
2015年11月11日水曜日
防衛技術シンポジウム改め防衛装備庁技術シンポジウム2015年レポ(海上編)
前回に続いて、気になったものの海上編を。
トリマラン船体の研究
艦艇装備研究所が研究している高速多胴船で、将来三胴船(トリマラン)船体の水槽試験モデルです。
船体が細長い方が艦艇の高速化に有利ですが、単胴船では甲板面積とトレードオフの関係になっています。しかし、主船体とその両脇の副船体を上部で結合した三胴船では、主船体を細長くする事による高速性と、広い甲板面積の確保を両立出来ます。
「高速多胴船の最適化」として日米で共同研究となり、軽量化のためのアルミ船体の設計技術の確立、波から受ける荷重の影響確認が行われました。本研究は2018年まで続けられますが、現時点での日本側成果として、以下のコンセプトモデルが作られています。
コンセプトモデル |
このコンセプトモデルは哨戒・掃海活動に重きを置いたもので、水線長80メートル、基準排水量1160トンという小さな船体でありながら、全長150メートル、基準排水量5050トンのあきづき型護衛艦と同じ規模のヘリ甲板を備えています。以下は発表にあった概略です。
三胴船コンセプトモデル
- 水線長:80メートル
- 基準排水量:1160トン(満載1400トン)
- 最高速力:35ノット
- ヘリ1機と無人機を格納可能
- あきづき型とほぼ同等のヘリ甲板面積
- 武装:76ミリ砲1基、CIWS1基
- ヘリ格納庫下にテニスコート3面分の無人機格納庫(UUV12機+2機のSSV、または36機のUUV、またはコンテナ)
35ノットの高速性を備えながら、テニスコート3面分の広い格納庫もあるなど、無人機母艦としての能力も備えています。
話を聞くと、沿岸域での活動を主として想定しているとのことで、米海軍のLCS計画の影響を感じさせますが、戦闘艦ではなく、無人機運用能力を備えた哨戒・掃海艦という性格がより現代風のコンセプトになっていると思います。
水中音響通信ネットワーク
続いては、潜水艦や無人潜水機(UUV)に関連する水中通信技術です。
水中での通信は音響信号を用いて通信していますが、一部は未だにアナログで、通信速度や伝達距離に制限が多いものです。この音響通信をデジタル化するとともに、現在の携帯電話、WiFiで使われている変調方式や誤り補正を応用。そして、無線LANのように、通信ノードを海中に複数設置することで、広範囲かつ通信速度に優れた水中音響通信ネットワークを構築するという研究です。
この研究では、ソナーデータの送受信に必要な通信速度10kbpsを、通信距離3kmで達成する効果を目指しているそうです(3kmの伝送はまだ実験していない)。従来の水中通信には大きな制限がありましたが、このネットワークが実現したなら、より高度な情報共有が水中航走体間、あるいは水中航走体と水上・航空部隊との間でも可能となります。
しかし、この研究では鍵となる通信ノードのバッテリー寿命は数日の使い捨て方式になるとのことで、ネットワークは一時的なものに留まります。通信ノードも哨戒機からソノブイみたいに投下出来ればいいかなと思っていましたが、この通信ノードは2メートル四方ほどの大きさで船からの設置を想定しているということでした。先のトリマランのような搭載力と高速性に優れた船とセットで、迅速に設置する運用が良いのかもしれません。
陸上車両の簡易消磁
海上に何故か陸上車両が入っていますが、これは実は艦艇装備研究所による研究です。なんでも、磁気に関する事は艦艇装備研究所の所管となっており、これは陸上車両にコイルを巻いて磁気を小さくするという技術です。
もっとも、この技術自体はかなり古くからあり、磁気感応型機雷が現れた第一次大戦後に、各国海軍で艦艇に消磁コイルを巻いて、磁気を消すことで機雷に引っかからないような研究され、実用化されています。
なんで艦艇の世界で7、80年前に実用化された技術を、今になって陸上車両でやるのかと尋ねたところ、導入される水陸両用車の関係で車両の消磁技術研究を始めたということでした。水陸両用車は上陸時に水際機雷(地雷)源に入る可能性があり、水際機雷は磁気感応式だからそうです。なるほど。
でも、水陸両用車って基本アルミ合金だから磁気は帯びませんよね?と続けたところ、エンジンの消磁は必要という話でした。その場合は、エンジンだけコイルを巻いても良いとのこと。掃海艇用に非磁性エンジンもありますが、大きくて出力も低いため、車両に搭載するのは無理だそうです。
磁気にもXYZの三方向の軸がありますが、この研究では最も大きく効果のある垂直方向(Z軸)の磁気低減を行うため、地面に水平にコイルを巻いています。艦艇では3軸全てにコイルを巻いたりもしますが、この研究の目的は簡易的な方法で効果を得ることだそうで、実際にそれだけで7割の磁気を消磁することが出来たそうです。
水陸両用車はひとまずアメリカ製のAAV7が導入され、その後に新開発の国産に切り替えると言われていますが、消磁についてもあらかじめコイルが車体やエンジンに巻きやすい構造であるなら良いという話でした。
つづく
2015年11月10日火曜日
防衛技術シンポジウム改め防衛装備庁技術シンポジウム2015年レポ(航空編)
毎年、この時期は防衛省技術研究本部主宰の防衛技術シンポジウムのレポを公開しておりましたが、今回は防衛装備庁発足により、防衛装備庁技術シンポジウムと名称が変更になりました。以下は公式サイト。
防衛装備庁技術シンポジウム2015
長いタイトルになって面倒くさいので、引き続き防衛技術シンポジウムで通したいところですが、とりあえず正しい表記で行きたいと思います。が、いつか間違える可能性大。
今回見て回った中のめぼしい研究について、写真を質疑を交えて紹介。
航空装備研究所ブースに展示されていた、将来光波誘導弾のドーム部分の風洞モデルです。
高空を高速で飛翔するミサイルは、先端部に高い熱を帯びることになり、衝撃も発生するため、内部のセンサーを守らなければなりません。そのために先端部のドームには、高い耐熱性と強度が求められます。これを達成するため、高温に耐えるインコネル718で出来たドームを、3Dプリンタを用いて製作したのが上の写真です。
研究時の風洞試験に使われる研究試作品は、量産品と違って生産数は僅かです。そのため、コストのかかる金型は製作せず、削りだしによる製造に頼っていました。従来の削りだしでは、製造に3ヶ月かかっていたところ、金属3Dプリンタでは5日で製造されたため、大幅な時間短縮を成し得たとのこと。
無人標的機チャカⅢの後継として開発された、国産無人標的機です。地対空または空対空戦闘訓練における標的として用いられます。発射台からロケットモーターで発進後、ジェットエンジンにて飛行します。
チャカⅢはアメリカで開発したものをライセンス生産する形を取っていたため、1機あたり1~2億円する高価なものでした。新しく開発されたものは完全国産化され、1機あたり5,000万円と大幅なコストダウンをしています。機体・エンジンの製作は川崎重工です。
コスト低減の他、最大速度もチャカⅢのマッハ0.7に対し、マッハ0.8に向上。また3G旋回も可能で、より高度な訓練も可能になります。
チャカⅢが5回使用で廃棄されるのに対し、こちらは使い捨て設計です。5回使用と使い捨てでは、使い捨ての方が高いように思われますが、高価なトランスポンダ(翼の付け根上部付近)は回収・再利用されるので、トータルで見てもチャカⅢよりコストが抑えられる事がウリになっています。
左右2つにエンジン排気口がありますが、搭載しているエンジンは川崎重工のKJ14ジェットエンジンが1基だけです。
機体・エンジンは川崎重工、地上の指揮装置等はNECの製造です。
チャカⅢというと、海上自衛隊の訓練支援艦くろべ等からの発射のイメージが強かったのですが、この新無人標的機は今のところ陸上自衛隊と航空自衛隊への配備が決まっただけで、海上自衛隊のフネで運用する予定は無いという話でした。そこだけ不可解。
次期機上電波測定装置がパネルと模型で説明されていました。現在、開発が行われているC-2輸送機の試作2号機に搭載し、YS-11EB電波測定機の後継機として運用される予定だそうです。配備されたらC-2EBとでも呼ばれるのでしょうか。
機上電波測定装置とは、航空機に搭載して、平時から電波を定常的に観測・収集するELINT(Electronic intelligence:電子情報収集)活動のための装置で、これを搭載してその任務に就く航空機を電波測定機、ELINT機、電子情報収集機などと呼び、現代戦では非常に重要な地位を占める装置・機体です。
上の図に運用構想図が出ていますが、「右で地上施設とやりとりしているのナンデ? 緊急性・即応性が求められるわけではない電波観測に地上伝送なんて必要なんですか?」 と質問したところ、確かに必要性は薄いが入れてみたとのことで、実際には収集データも膨大になるため、機上から伝送せずに記録メディアでやり取りした方が良いだろうとのことでした。
従来のYS-11EBと比べ、C-2は機内容積に余裕があるため、搭載する機材のサイズや、オペレーターを増やすことも出来るという話です。
開発は平成16年(2004年)からスタートして、各種機器も製作されましたが、搭載母機のC-2輸送機の開発が遅れに遅れたため、未だに機上試験に至っていない状況にあるようです。しかし、前述のとおり、C-2試作2号機への搭載が決まり、もうすぐ引き渡しになりそうだという話でした。
YS-11EBは新造だったらしいですが、今回は試作機の改造ということで、試作品の流用というのは今後増えていくのではないかとも。
続く
防衛装備庁技術シンポジウム2015
今回見て回った中のめぼしい研究について、写真を質疑を交えて紹介。
将来光波誘導弾のドーム風洞モデル(3Dプリンタ製作)
将来光波誘導弾ドームの風洞モデル |
高空を高速で飛翔するミサイルは、先端部に高い熱を帯びることになり、衝撃も発生するため、内部のセンサーを守らなければなりません。そのために先端部のドームには、高い耐熱性と強度が求められます。これを達成するため、高温に耐えるインコネル718で出来たドームを、3Dプリンタを用いて製作したのが上の写真です。
研究時の風洞試験に使われる研究試作品は、量産品と違って生産数は僅かです。そのため、コストのかかる金型は製作せず、削りだしによる製造に頼っていました。従来の削りだしでは、製造に3ヶ月かかっていたところ、金属3Dプリンタでは5日で製造されたため、大幅な時間短縮を成し得たとのこと。
新無人標的機
新無人標的機 |
チャカⅢはアメリカで開発したものをライセンス生産する形を取っていたため、1機あたり1~2億円する高価なものでした。新しく開発されたものは完全国産化され、1機あたり5,000万円と大幅なコストダウンをしています。機体・エンジンの製作は川崎重工です。
新無人標的機 後ろから |
最後尾に回収用のパラシュートを格納 |
エンジン排気口 |
機体・エンジンは川崎重工、地上の指揮装置等はNECの製造です。
チャカⅢというと、海上自衛隊の訓練支援艦くろべ等からの発射のイメージが強かったのですが、この新無人標的機は今のところ陸上自衛隊と航空自衛隊への配備が決まっただけで、海上自衛隊のフネで運用する予定は無いという話でした。そこだけ不可解。
次期機上電波測定装置(C-2EB?)
次期機上電波測定装置(と搭載母機のC-2)のパネル |
次期機上電波測定装置の説明パネル |
上の図に運用構想図が出ていますが、「右で地上施設とやりとりしているのナンデ? 緊急性・即応性が求められるわけではない電波観測に地上伝送なんて必要なんですか?」 と質問したところ、確かに必要性は薄いが入れてみたとのことで、実際には収集データも膨大になるため、機上から伝送せずに記録メディアでやり取りした方が良いだろうとのことでした。
搭載母機のC-2輸送機模型 |
開発は平成16年(2004年)からスタートして、各種機器も製作されましたが、搭載母機のC-2輸送機の開発が遅れに遅れたため、未だに機上試験に至っていない状況にあるようです。しかし、前述のとおり、C-2試作2号機への搭載が決まり、もうすぐ引き渡しになりそうだという話でした。
YS-11EBは新造だったらしいですが、今回は試作機の改造ということで、試作品の流用というのは今後増えていくのではないかとも。
続く
2015年11月3日火曜日
やり返されたら困る攻撃をして、相手にやり返されてしまった顛末
なんか色々ややこしい事態になっているようです。今回は個人情報が絡むだけに、直接的なリンクや名前の表記は避けたいと思います。
シリアの内戦と難民問題が世界的課題になっている中、日本の漫画家が難民の少女を中傷する絵をフェイスブック上にアップしました。これには非難が殺到し、国際的にも報じられています。
この絵自体は批判を受けて作者が削除したものの、以降もSNS上でくすぶり続けていました。
そんな中、ある市民団体に所属するツイッターアカウントが、問題の漫画家の絵を評価するフェイスブックアカウント337人の名前、プロフィールURL、居住地、出身校、勤務先のリストを作成し、公開すると表明し、実際に多数が閲覧出来る環境でリストが公開されました。
で、このような攻撃手法ですけども、「公開情報だからそれを公開することは問題ない」と思われるかもしれませんが、'''実は限りなくブラックです'''。というのも、公開されている電話帳の電話番号をパソコン通信の掲示板に転載した行為が、プライバシー侵害に当たると裁判所が認定した判例があるのです(掲示板プライバシー侵害事件(平成11年6月23日神戸地裁判決))。今回の行為も、かなり際どいとこだと思います。
さて、漫画家の絵や表現に批判はあれども、さすがに賛同する人間のプライバシーまで暴き立てて晒すというのはどうなんでしょうか。その行動についてはやはり批判を受けましたが、それからすぐに『報復』も受けました。同じことをやられたんですね。
問題のリストを作成・公開したアカウントが、SNS上の断片情報から本名・勤め先を暴かれました。そして、その勤め先が現在整備が進んでいるマイナンバーのセキュリティを官公庁向けにも提供するセキュリティ企業だったことから、個人情報を保護する企業の人間が個人情報の暴露に積極的に関わるってどうなのかと大批判を受け、ネットの炎上事案となりました。
リスト公開アカウントは今は削除されておりますが、会社にも騒動が伝わっているのは確実で、休暇明けになんらかの対応が取られるのではないかと思われます。
プライバシーの暴露に対し、同じ暴露でやり返すのもアウトですけども、やはり最初にやったという既成事実と口実を相手に与えてしまったのはいかにも悪手だったと言わざるを得ません。「やったら相手が困る」攻撃というのは、「やられたらこっちも困る」攻撃であることが多いのですが、それを考えずに社会的地位にある人間がやらかしてしまうのはなあ……と少々呆れ気味でもあります。
「やられたら困る攻撃法をしてしまう」事例は、人類の歴史を振り返れば、様々なところで見られました。特に国民国家が成立する前、傭兵や戦士階級による戦争が主だった時代は戦争をコントロールする権力が弱かったため、悲惨な結果となることもありました。強力な国民国家の出現と、国家・多国間の協定によって「やってはいけないこと」のルールが作られ、際限無い破壊に一定の歯止めが効くようになったのは19世紀後半から20世紀に入ってのことです(戦争のルールについては以前の記事にて)。そういう意味で、ネットというのはまだ権力による統治の行き届いていないフィールドなのかもしれません。
米共和党のトランプ大統領候補も、対立候補の電話番号暴露攻撃を行っていましたが、最近はそういう過激路線にも冷ややかな目が向けられるようになったか、支持率2位に転落してしまいました(共和党支持率トップ争い、神経外科医vs不動産王)。これだけが支持率低下の理由ではないとはいえ、プライバシー暴露はマジョリティーの目にも良い印象を与えない例、なのかもしれません。
しかし、こういう実名制SNSの嫌なとこが如実に出た炎上です。実名制だから炎上し難いという話も某社様から言われてたりしたんですが、フタを開けると炎上の宝庫ですね。フェイスブックのこういう騒動がイヤなので、「氏名:dragoner」、「通っていた学校:金正日政治軍事大学」のような無茶苦茶なプロフィールでも、心よく受け入れてくれるGoogle+がぼくは大好きです。
シリアの内戦と難民問題が世界的課題になっている中、日本の漫画家が難民の少女を中傷する絵をフェイスブック上にアップしました。これには非難が殺到し、国際的にも報じられています。
シリア難民の6歳少女を撮影した写真をもとに、日本人の右派漫画家がフェイスブックに掲載した上のイラストが、インターネットで強く批判され、議論になっている。
この絵自体は批判を受けて作者が削除したものの、以降もSNS上でくすぶり続けていました。
そんな中、ある市民団体に所属するツイッターアカウントが、問題の漫画家の絵を評価するフェイスブックアカウント337人の名前、プロフィールURL、居住地、出身校、勤務先のリストを作成し、公開すると表明し、実際に多数が閲覧出来る環境でリストが公開されました。
で、このような攻撃手法ですけども、「公開情報だからそれを公開することは問題ない」と思われるかもしれませんが、'''実は限りなくブラックです'''。というのも、公開されている電話帳の電話番号をパソコン通信の掲示板に転載した行為が、プライバシー侵害に当たると裁判所が認定した判例があるのです(掲示板プライバシー侵害事件(平成11年6月23日神戸地裁判決))。今回の行為も、かなり際どいとこだと思います。
さて、漫画家の絵や表現に批判はあれども、さすがに賛同する人間のプライバシーまで暴き立てて晒すというのはどうなんでしょうか。その行動についてはやはり批判を受けましたが、それからすぐに『報復』も受けました。同じことをやられたんですね。
問題のリストを作成・公開したアカウントが、SNS上の断片情報から本名・勤め先を暴かれました。そして、その勤め先が現在整備が進んでいるマイナンバーのセキュリティを官公庁向けにも提供するセキュリティ企業だったことから、個人情報を保護する企業の人間が個人情報の暴露に積極的に関わるってどうなのかと大批判を受け、ネットの炎上事案となりました。
リスト公開アカウントは今は削除されておりますが、会社にも騒動が伝わっているのは確実で、休暇明けになんらかの対応が取られるのではないかと思われます。
プライバシーの暴露に対し、同じ暴露でやり返すのもアウトですけども、やはり最初にやったという既成事実と口実を相手に与えてしまったのはいかにも悪手だったと言わざるを得ません。「やったら相手が困る」攻撃というのは、「やられたらこっちも困る」攻撃であることが多いのですが、それを考えずに社会的地位にある人間がやらかしてしまうのはなあ……と少々呆れ気味でもあります。
「やられたら困る攻撃法をしてしまう」事例は、人類の歴史を振り返れば、様々なところで見られました。特に国民国家が成立する前、傭兵や戦士階級による戦争が主だった時代は戦争をコントロールする権力が弱かったため、悲惨な結果となることもありました。強力な国民国家の出現と、国家・多国間の協定によって「やってはいけないこと」のルールが作られ、際限無い破壊に一定の歯止めが効くようになったのは19世紀後半から20世紀に入ってのことです(戦争のルールについては以前の記事にて)。そういう意味で、ネットというのはまだ権力による統治の行き届いていないフィールドなのかもしれません。
米共和党のトランプ大統領候補も、対立候補の電話番号暴露攻撃を行っていましたが、最近はそういう過激路線にも冷ややかな目が向けられるようになったか、支持率2位に転落してしまいました(共和党支持率トップ争い、神経外科医vs不動産王)。これだけが支持率低下の理由ではないとはいえ、プライバシー暴露はマジョリティーの目にも良い印象を与えない例、なのかもしれません。
しかし、こういう実名制SNSの嫌なとこが如実に出た炎上です。実名制だから炎上し難いという話も某社様から言われてたりしたんですが、フタを開けると炎上の宝庫ですね。フェイスブックのこういう騒動がイヤなので、「氏名:dragoner」、「通っていた学校:金正日政治軍事大学」のような無茶苦茶なプロフィールでも、心よく受け入れてくれるGoogle+がぼくは大好きです。
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2015年11月1日日曜日
Chromebookで利用出来る動画・電子書籍配信まとめとChromeOSの今後
周囲の評判が良かったので、9月にChromeOS搭載ノートPCのASUS Chromebook C200を購入し、使ってみたらその快適さに感動した挙句、勢いで「Chromebookが想像以上に具合が良かった件」なんて記事を書いたところ、予想以上に大きな反響があったことに驚きました。
前回はChromebookの魅力について書いたわけですが、それから一ヶ月ほどChromebookを使ってみて、Chromebookに足りないところ・使えないサービスなど、だいたいは分かってきたかなーという感がありましたので、そこらへんについて書いてみたいと思います。
なお、今回はPCでは使えるけどChromebook使えないこと、出来ないことばっか書きますが、それら欠点を持ってしてもChromebookは魅力的な道具であるということは、あらかじめ強調しておきます。
ブラウザだけ動けばええんや
ついちょっと前まで、青息吐息どころか死体の域に達していたMacのシェアでしたが、今は墓場から飛び出して、オサレな喫茶店からWindowsを駆逐する勢いで、ゾンビとして復活しておりますね。「ゾンビ」で出てくるようなトロい奴じゃなくて、「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28日後」に出てくるようなアクティブで、体がぴょんぴょんするヤツ。
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話がおもいっきしズレましたね。
Mac復権の理由としては、iPhoneの成功や仮想化技術の発展が大きいでしょうが、もう一つ大きな要因としては、クラウド化が進んだのでブラウザが標準技術カバーしていれば、WindowsでもMacでもスマホでもやれる事変わらなくなったせいも大きいと思います。
そこでGoogle様は考えました。PCでやる事のほとんどがブラウザで出来るなら、ブラウザをOSにすれば良くね?
こうしてChromeブラウザだけ動くOS、ChromeOSが誕生しました(多分)。
本体にファイルはほとんど保存出来ず、CPUもメモリも貧弱なPCもどきで何が出来るんだ!? と思った(私含む)のもつかの間。ChromeOS搭載ノートPCは、アメリカの教育や法人ドメインで激売れしました。ちょうどWindows XPの買い替え需要と重なり、更新費用を抑えたい企業の思惑に合致したことや、ノートPCにあれこれインストール・ダウンロード繰り返してセキュリティホール作りまくりのユーザーにキレまくりの管理者など、様々な層からの支持を得た結果でした。ハード的な制約が逆に売れた理由になったんですね。
日本の対応状況
XP買い替えで売れらアメリカに対し、日本でChromeOS搭載機は話題になりませんでしたね。もっともこれ、設定同期などの都合上、ChromeOSは普段使いのブラウザがChromeである人が最大のメリットを享受出来るOSなので、Internet Explorerがシェア1位の日本では、メリットを享受出来る人が少ないのもあるのかもしれません。国別のシェア1位ブラウザ(netimperative.comよりCC4.0ライセンスで引用・抽出) |
このように世界で人気のChromeは、レガシー技術の排除に熱心なブラウザでもあります。先日もNetscape Plugin API(NPAPI)のChromeでのサポートをGoogleは打ち切りました。NPAPIはAdobe Flash PlayerやMS Silverlightなどでも利用されていたので、これらを利用する多くのWebサービスで問題が出る可能性があり、現に出ています。
しかしながら、Chromeが優位なシェアを持つ国では、Chromeに対応する事がWebサービスにとって死活問題になりますので、Chromeの仕様変更にサービスプロバイダー側も迅速に対応してくれるかもしれません。ところが、我が国は前述したように世界でも希少なIEバンザイ国です。とすると、国内向けサービスにはChrome非対応が多いかもしれません。
というわけで、ブラウザやプラグインによる影響を受けやすい、動画配信サービス、電子書籍サービスについて、Chromebookで見られるかどうかをちょっと調べてみました。結果は以下の通り。
基本的に、グローバルに展開している海外企業のサービスは使える可能性が高い、と言えるかもしれない。Amazonビデオなんかは、PC版ブラウザではSilverlightを使っているけど、Chromebookでも問題なく再生できました。その一方で、Silverlightを使っていたdビデオとGYAOでは再生不可でした。
え? XVIDEOSの対応状況はどうって? 自分でChromebook買って調べなさい。
もう一つ、国内で多数のサービスがある電子書籍配信ですが、AmazonはChromebookでも問題なく読めるものの、Amazonに匹敵するらしい配信業者の楽天は、そもそもブラウザで読む仕組みがないので無理でした。hontoもダメ。逆に、スマホ向けにブラウザ配信している携帯向け事業者は、読めるところがある印象。
ハード的にいまいちなところ
これはChromeOSの問題というより、ハードとして製品化するメーカー側の問題になってしまうけども、正直どのメーカーも似たりよったりの製品ばかり出しているので、わりと抱えている問題は同じような気がする。1.充電方法
自分はバッテリー駆動時間の長さからASUS C200を購入したけども、これについては正解だったと思っている。外でもバッテリーが問題になることはまず無かった。問題は充電で、ACアダプタ一体型の専用電源ケーブルが必要。ACアダプタがかなり小型なのが救いなのだけど、携帯にいちいち専用の電源ケーブル持ち歩くのはよろしくない。消費電力も少ないのだから、新型MacBookみたいにUSB3.1から充電する方がケーブルの共用化も出来て嬉しい。今後、USB3.1の普及が進んだら、ぜひ充電にも採用してほしい。
2.メモリは積め
低スペックでも快適に動くのがChromeOSの特徴でもあるけど、それでもメモリ2GBだと支障が出るシーンがいくらか見られた。とかくChromeはメモリを必要とするブラウザだが、これはChromeOSでも変わらない。自分の使い方ではタブを多く開くので、すぐにメモリを使い切ってしまうのか、動作が遅くなる事がある。これは運用やChromeのメモリ管理のアドオンなどを利用する事で改善も可能だけど、私感としては4GBはほしい。逆に開くタブが5以下の人は、それほど神経質にならなくてもいいかも。爆速でChromeが動く事がChromeOSの真価なので、爆速を担保するためのメモリは気をつけよう。
3.安っぽい
これはこの価格帯なので仕方のない面がある一方、日本で容易に入手出来るChromebookはこの価格帯に限られるという事情もある。ASUSのC200、C300は天板表面に指紋が付きやすい点がよく言われるが、実用面に関係しないので自分は致し方ないと許容している。ただ、タッチパッドの出来がよろしくなく、特にブラウザでテキストを選択してコピーするといった作業でミスする率が非常に高い。ブラウジングだけならほぼ問題は無いけども、テキスト書く人間にとってはかなり痛い問題。
4.可能ならIPS液晶で
安いので仕方ない面もあるが、TNではなくIPS液晶で出してほしい。人に見せる際、TNでは見づらいことに加え、互いに見ているモノの見え方が異なる可能性がある。IPS採用による価格上昇は受容出来る。5.iPhoneのUSBテザリングに未対応
これはOS由来のものでしょうが、USB接続でiPhoneからテザリングさせようとしても、USBモデムと認識してくれません。WiFiで接続すればiPhoneでテザリング出来るから実用上問題はないのですが、最近はどこもかしこもWiFiの電波だらけなので、そういうとこで無線電波は使いたくありません(個人の感想です)。とか不満点を書いていましたが、先日ASUSがChromebookの最上位モデルASUS Chromebook Flip C100PAを発表しました。
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かなり質感が向上している他、IPS液晶の採用など、不満点が解消されたかと思いきや、一般向けモデルはメモリ2GBで、CPUはIntelではなくARM系チップなところが不満があります。これがIntelCPU搭載で、メモリ4GB、それで2in1やタッチ液晶はいらんので安くして……という構成だったら良かったのですが……。
ASUSの日本法人はあまりやる気が無いようで、直営サイトでChromebookはC100PAしかなく、他のChromebookはASUS アウトレットのみ販売しております。まあ頻繁に在庫入る上、安いから良いんだけど……。
Chromebookに未来はあるのか?
前の記事を書いて以降、ChromeOSの今後を窺わせる記事はいくつかありましたが、10月末にはChromeOSとAndroidの統合計画が報じられています。WSJが情報筋から得た内容によると、GoogleはChromebookに搭載しているChrome OSを、モバイルOSであるAndroidに統合する計画を持っているとのこと。2つのOSの統合計画はすでに2年近くの歳月をかけて進行中で、2016年のGoogle I/Oでプレビュー版が発表され、2017年に正式版がリリースされる予定とのことです。
この記事の通りなら、ChromeOSに未来は無いのか、という事になるのでしょうか。
しかし、ここで間違えていけないのは、ChromebookなどのChromeOS機は、ハードそのものにはあまり価値は無い、という点です。重要なのはGoogleのサービスであって、ChromeOS搭載機はそれを使うための端末に過ぎないからです。統合されたOSで、Googleのサービスが快適に使えるならば、それはChromeOSであってもなくても関係のない事と言えます。従来はOSを変えるとなると、買い揃えたソフト資産や周辺ハードウェアが無駄になる事も多かったですが、元よりChromeOSにはそういうものがありません。
そういった意味で、Chromebookは失うものが何も無いOSと言えそうです。
そして、Googleの基幹事業がWebサービスである以上、Webサービス中心のOSがGoogleにとり都合が良いのは自明で、Googleがみすみすそれを手放すとも考えにくいです。むしろ、インストールアプリだらけのAndroidが、統合によりWebアプリだらけのChromeOS化する可能性の方が高いのではないかと思います。
最後にちょっと泥臭い話すると、Chromebookに付いてくるGoogleドライブ100GB使用権は2年間なので、事実上2年で使い捨てる使い方がChromebookにはあっています(100GB2年分の使用料だけで約6,000円する)。今Chromebook買ったとしても、新OSリリースの2017年にちょうど買い替えです。
つまり、買うなら今だ!(おわり)
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ASUS Shop
ASUS アウトレット
恐らく、ちゃんと正規の保証のついた新品Chromebookを買うなら、ASUS直営のアウトレットが2万円切っていて一番安いと思います。頻繁に在庫も補充されてます。が、不思議なことに、正規のASUS shopはC100PAしかChromebookを売ってないのナンデ?
それと、ASUSの11インチChromebook C200はメモリ2GBモデルしか無いようなので、11インチ級で4GBほしい人は、C200のアウトレットより1万高いけど、AcerのChromebook CB3-111-H14Mあたりが良いと思います。
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それと、ChromeOSをデスクトップで使いたい場合、ChromeBOXがあります。
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日本では正規で売られているのがこれくらいしか無いのですが、アメリカのAmazonを見ると、かなりモノが出ています。日本で売られているASUSのChromeBoxは、メモリやSSDの増設も自己責任で出来るようなので、超省電力で爆速ブラウジング環境を作るならアリかもしれません。個人的にも導入を検討中。
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