2015年11月10日火曜日

防衛技術シンポジウム改め防衛装備庁技術シンポジウム2015年レポ(航空編)

毎年、この時期は防衛省技術研究本部主宰の防衛技術シンポジウムのレポを公開しておりましたが、今回は防衛装備庁発足により、防衛装備庁技術シンポジウムと名称が変更になりました。以下は公式サイト。

防衛装備庁技術シンポジウム2015

長いタイトルになって面倒くさいので、引き続き防衛技術シンポジウムで通したいところですが、とりあえず正しい表記で行きたいと思います。が、いつか間違える可能性大。

今回見て回った中のめぼしい研究について、写真を質疑を交えて紹介。



将来光波誘導弾のドーム風洞モデル(3Dプリンタ製作)

将来光波誘導弾ドームの風洞モデル
航空装備研究所ブースに展示されていた、将来光波誘導弾のドーム部分の風洞モデルです。

高空を高速で飛翔するミサイルは、先端部に高い熱を帯びることになり、衝撃も発生するため、内部のセンサーを守らなければなりません。そのために先端部のドームには、高い耐熱性と強度が求められます。これを達成するため、高温に耐えるインコネル718で出来たドームを、3Dプリンタを用いて製作したのが上の写真です。

研究時の風洞試験に使われる研究試作品は、量産品と違って生産数は僅かです。そのため、コストのかかる金型は製作せず、削りだしによる製造に頼っていました。従来の削りだしでは、製造に3ヶ月かかっていたところ、金属3Dプリンタでは5日で製造されたため、大幅な時間短縮を成し得たとのこと。



新無人標的機

新無人標的機
無人標的機チャカⅢの後継として開発された、国産無人標的機です。地対空または空対空戦闘訓練における標的として用いられます。発射台からロケットモーターで発進後、ジェットエンジンにて飛行します。

チャカⅢはアメリカで開発したものをライセンス生産する形を取っていたため、1機あたり1~2億円する高価なものでした。新しく開発されたものは完全国産化され、1機あたり5,000万円と大幅なコストダウンをしています。機体・エンジンの製作は川崎重工です。

新無人標的機 後ろから
コスト低減の他、最大速度もチャカⅢのマッハ0.7に対し、マッハ0.8に向上。また3G旋回も可能で、より高度な訓練も可能になります。

最後尾に回収用のパラシュートを格納
チャカⅢが5回使用で廃棄されるのに対し、こちらは使い捨て設計です。5回使用と使い捨てでは、使い捨ての方が高いように思われますが、高価なトランスポンダ(翼の付け根上部付近)は回収・再利用されるので、トータルで見てもチャカⅢよりコストが抑えられる事がウリになっています。

エンジン排気口
左右2つにエンジン排気口がありますが、搭載しているエンジンは川崎重工のKJ14ジェットエンジンが1基だけです。

機体・エンジンは川崎重工、地上の指揮装置等はNECの製造です。

チャカⅢというと、海上自衛隊の訓練支援艦くろべ等からの発射のイメージが強かったのですが、この新無人標的機は今のところ陸上自衛隊と航空自衛隊への配備が決まっただけで、海上自衛隊のフネで運用する予定は無いという話でした。そこだけ不可解。



次期機上電波測定装置(C-2EB?) 

次期機上電波測定装置(と搭載母機のC-2)のパネル
次期機上電波測定装置がパネルと模型で説明されていました。現在、開発が行われているC-2輸送機の試作2号機に搭載し、YS-11EB電波測定機の後継機として運用される予定だそうです。配備されたらC-2EBとでも呼ばれるのでしょうか。

次期機上電波測定装置の説明パネル
機上電波測定装置とは、航空機に搭載して、平時から電波を定常的に観測・収集するELINT(Electronic intelligence:電子情報収集)活動のための装置で、これを搭載してその任務に就く航空機を電波測定機、ELINT機、電子情報収集機などと呼び、現代戦では非常に重要な地位を占める装置・機体です。

上の図に運用構想図が出ていますが、「右で地上施設とやりとりしているのナンデ? 緊急性・即応性が求められるわけではない電波観測に地上伝送なんて必要なんですか?」 と質問したところ、確かに必要性は薄いが入れてみたとのことで、実際には収集データも膨大になるため、機上から伝送せずに記録メディアでやり取りした方が良いだろうとのことでした。

搭載母機のC-2輸送機模型
従来のYS-11EBと比べ、C-2は機内容積に余裕があるため、搭載する機材のサイズや、オペレーターを増やすことも出来るという話です。

開発は平成16年(2004年)からスタートして、各種機器も製作されましたが、搭載母機のC-2輸送機の開発が遅れに遅れたため、未だに機上試験に至っていない状況にあるようです。しかし、前述のとおり、C-2試作2号機への搭載が決まり、もうすぐ引き渡しになりそうだという話でした。

YS-11EBは新造だったらしいですが、今回は試作機の改造ということで、試作品の流用というのは今後増えていくのではないかとも。


続く