2012年6月7日木曜日

インド海軍艦艇公開レポート

6月5日から9日にかけて、親善目的でインド海軍の艦艇4隻が横須賀に来航しています。7日に一般公開がなされましたので、お邪魔してきました。

 来航した艦艇は以下の4隻です。


駆逐艦「ラナ」(INS RANA D52) 
艦長 海軍大佐 ケー・エー・ボパンナ(CAPT K A BOPANNA)

旧ソ連で建造されたラージプート級駆逐艦の2番艦です。(Wikipediaページ)


 むせ返るほどのソ連臭がする艦です。冷戦まっただ中の80年代に建造された艦ですので、ソ連海軍のエッセンスがこれでもかというほど濃縮されています。


  さらに近づくともっとスゴイ。もうこの電子の要塞というか、悪魔の城というか、これでもかというゴテゴテ感が昨今のスッキリした艦に慣れてしまった身にはソ連リアリティショックに襲われますね。


後部もゴテゴテ感がスゴイ。


艦上のインド軍警備。




補給艦「シャクティ」(INS SHAKTI A57)
艦長 海軍大佐 ラヴィ・マルホトラ(CAPT RAVI MALHOTRA)

イタリアで建造されたディーパク級補給艦の2番艦で、昨年就役したばかりの新鋭艦です。今回の一般公開で乗船可能な2隻のうちの1隻です。(Wikipediaページ)




むせ返るソ連臭のラナとは打って変わって、メイド・イン・イタリーの新鋭補給艦シャクティです。艦内の撮影は禁止されているので様子はお届けできませんが、新鋭艦だけあって設備も充実しており、特に医療区画は病院のそれと同じで大変衛生的で、医療区画のX線室には、富士フィルム製のX線診断装置のFCR XL-2が置いてありました。歯科治療室も普通の歯医者の設備と全く同じで、兵站能力に力を入れていることが分かります。

ブリッジは今まで見てきた軍艦の中で最も広く、設備も真新しいものばかりでした。インド海軍らしく、積んでいる機器の国籍は様々で、艦内電話にはパナソニックのデジタルコードレスホンや、Cisco7940G等様々な機種があり、航海機器の中には日本無線のナブテックス受信機のNCR-733がありました。色々な機器を見ると、かなりWindowsベースのものが入っており、COTS化が進んでいる印象でした。

艦内の撮影は禁止でしたが、珍しいものがいくつかあり、許可を得て撮影させて頂きました。


機微情報の取り扱いには注意、というポスター。



「インド人を右に」



甲板(撮影OK)にあった機関銃。相当古い型式の機関銃みたいですけど、詳細不明。


フリゲート「シヴァリク」(INS SHIVALIK F47)
艦長 海軍大佐 ラジェシュ・ペンハルカル(CAPT RAJESH PENDHARKAR)


シヴァリク級フリーゲートの1番艦で、これもまた2010年就役の新しいフネです。一般公開で乗船可能な2隻のうちのもう1隻です。(Wikipediaページ)


シヴァリク(右)。左は先のラナ。比較すると、シヴァリクの方が西側ナイズされた外観であることはよく分かります。インド国産の対艦ミサイルに、ロシアの艦対空ミサイル、イタリアの砲と武装が多国籍すぎて、どうやってインテグレートしたのか不思議なフネです。


艤装を見ると、とにかく多国籍です。


   ヘリ格納庫です。2機搭載可能ですが、閉まっていて搭載ヘリは確認できませんでした。


   ヘリ格納庫前で配っていたお菓子を貰う。普通に美味しかったです。


シヴァリク艦上で警備にあたっているインド軍兵士。持っている小銃は、AK-47をベースにインドが開発したINSAS(Indian Small Arms System) 。AKだけでなく、色んな銃の影響を受けている様子が感じられました。

コルベット「カルムク」(INS KARMUK P64)
艦長 海軍中佐 ヴィヴェク・ダヒヤ(CDR VIVEK DAHIYA)

コーラ級コルベットの4番艦です。(Wikipediaページ)


これだけは離れたところにあったのでズーム撮影。


今回の一般公開では、とにかく多種多様なフネが特徴のインド海軍を味合うにはうってつけでした。旧ソ連製からイタリア製まで、近年のインド海軍の変遷過程を見ているようで、なかなか日本では味わえません。昔、デリー級駆逐艦は見たことがあるのですが、装備がだんだんとヨーロッパ。もしくは国産よりにシフトしつつあるように感じました。
訪日最終日の6月9日には日印共同訓練も実施されることになっており、インドに売り込みが予定されているUS-2救難飛行艇も参加する予定です。売れるといいなあ。