2013年10月30日水曜日

防衛技術シンポジウム2013 軽量戦闘車両システム

展示品は無い、ポスターセッションで紹介されていた研究ですが、なかなか興味深かったのでご紹介します。


軽量戦闘車両システムは、軽量コンパクトかつ多様な事態に対処する戦闘車両シリーズで、下記のような共通特徴があります。
  • 火砲型、耐爆型の2種
  • いずれも重量約15トンで、C-2輸送機に2両搭載可能。
  • インホイールモーター採用で、各タイヤが独立し動作。





火砲型に搭載される低反動砲は来年度から試験を行うようで、面白いのは、直接照準射撃・間接照準射撃の両方が可能ということで、ここらへん気になって色々聞いてみました。

まず、直接射撃/間接射撃の両方を行う火砲が今まで無かった理由について、運用面の問題か、技術的な問題かを尋ねた所、運用の問題からだろうという答えでした。直接照準と間接照準を分けた方が運用の効率が良かったのだろうと。しかし、輸送で制約があるような状況だと、2つの機能を1両にまとめているものも考えられるのではないか、ということでした。

肝心の口径は105ミリということで、機動戦闘車並で驚いたのですが、機動戦闘車の26トン8輪という構成に対し、軽量戦闘車両システムは15トン6輪とかなり重量、車体規模に開きがあります。この問題を解決するために、2重の駐退機(デュアルリコイル)の構成となっており、前方に従来型の駐退機、後方(というよりも基部)にも駐退機能を付けており、仰角を付けて発砲した場合、まず前方の駐退機が砲軸に沿った反動を受け止め、続いて後方・基部の駐退機が後方に下がることで、反動が足回りに行かないようにするそうです。後方に流す感じですね。




この反動を逃すシステムだと、砲塔が旋回出来ないんじゃないかと思って確認したら、360度旋回可能で、側方射撃も出来るとのことでした。砲塔そのものが動くかのようなニュアンスがありまして(この辺、ちょっと確認できませんでした)、この砲塔は完全な無人砲塔だそうです。オーバーヘッド砲塔の登場となるでしょうか。

火砲型の乗員が4名だったので、1名は装填手かと思っていたんですが、無人砲塔である以上、装填手は不要とのこと。この1名は、問題があった場合に対応する要員とのことでしたが、緊急時専属の乗員がいるとは考えにくかったので、この点はどうもよく分かりませんでした。研究品だから、なのかなあ。



つづいて、耐爆型です。こちらは兵員輸送車で、乗員は8名となっています。

いわゆる、V字型の底面をしており、地雷などの爆発の際、車体側面・上方に爆風を逃す仕組みになっていますが、この設計のためにインホイールモーターが採用されたのも大きいとのことです。

モーターが各駆動輪に別個で接続されているインホイールモーターは、機関からの動力伝達の為の軸やギアを必要とせず、設計の自由度が増します。車体底部を通る軸が一掃されたことで、V字型の底面にしやすくなったとのことでした。

また、インホイールモーターは、一つのタイヤが地雷でやられても、各タイヤにモーターがありますので、機動が継続できるという利点があります。地雷で軸ごとやられた場合、最悪動けなくなりますので、インホイールモーターは生存性向上でも利点があります。




これまでにシミュレーションを実施し、耐爆型が被爆時、乗員が天井に頭をぶつけて負傷する結果が出たため、天井高を上げたなどの改良が行われました。実車は平成27年度に制作され、試験されるとのことです。

軽量戦闘車両システムは、直接射撃と間接射撃を両方こなせるという点で、なかなか興味深い車両です。将来の戦闘車両開発に資する点も大きいと思うので、良い成果が残せるといいですね。


【関連書籍】




日本じゃなくて、ドイツ連邦軍の戦車開発ですが、軽量戦闘車両システムと同じ砲塔の実装法である、頭上砲について丸々1章割かれています。




戦車本ですが、これは歴史・機構・運用・現代の状況がコンパクトにまとまっており、戦闘車両そのものへの理解を深める良書だと思います。