2013年11月4日月曜日

防衛技術シンポジウム2013 画像ジャイロの研究

連休はのんびりしてましたが、まだまだ防衛技術シンポジウムの話は続きます。

今回は、画像ジャイロの研究についてです。



現在、自己位置の測定や航法にGPSが標準的に利用されていますが、出力の低いGPSは妨害に弱く、軍用で使うにはより妨害に強い自己位置測定手段が求められます。
画像ジャイロとは、カメラから得られた情報を、地形・地図情報と照らしあわせて自己位置を測定するシステムです。

このシステムは日米共同研究で行われたもので、アメリカで空撮を行い、取得データを地上で地形と照らし合わせた結果、航法に耐えうる精度の測位が行える事が確認できたとのことです。

全般的な説明はポスターを見ていいただくこととして、この研究について質問したことを、Q&A形式で下記にまとめました。


Q.この研究では、演算装置を陸上に置いているが、航空機等のプラットフォーム上にスタンドアローンで載る事は出来るのか。

A.研究では演算装置を地上に置いたが、将来的にはスタンドアローンでの運用も可能。


Q.画像ジャイロでは地図データが必要だが、どれだけの容量が求められるのか。航空機等に積めるのか。

A.1、2テラバイトほど必要になるが、最近はSSDの高容量化が進んでいるので、機体への搭載も可能。


Q.地図データは事前に測定の必要があるのか?

A.公開情報の地図でも必要な精度が出せる。この研究ではGoogleEarthを利用した。


Q.地上のオブジェクトに特徴が無い地域でも測位可能か?

A.完全な砂砂漠では難しいが、アメリカの岩砂漠では可能。自然環境でも植生等から判断できる。
また、建造物等の特定オブジェクトの配置から測位しているのではなく、地形的に測位している。


Q.地形が変わった、あるいは妨害目的で変えられた場合、測位は可能なのか?

A.測位可能。仮に妨害するとしても、大きな地形変更が必要。
宮城県の被災地で実験を行い、震災前のデータでも現在の地形で測位が可能だった。建物の流出や広範囲の地盤沈下があっても測位できる。


GPGPUを利用はしていますが、この研究で用いられた計算サーバは古いもので、今ではもっと簡素なシステムで演算可能とのこと。
画像処理に用いられる並列計算機技術は、この数年で格段に進歩・省電力化していますので、機上に全部搭載できるようになるのも、そう先の事ではないと思います。

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