2013年5月20日月曜日

韓国軍とマイクロソフトのライセンス妥結は、割れやOS代の事じゃないんだってば

韓国軍とマイクロソフトの揉め事とその妥結について、2chまとめサイトのタイトルが相変わらず酷い煽りになっていた。

U-1速報:「違法OS代金を踏み倒した韓国軍が超高額でOSを強制購入」 MSに完全譲歩させた韓国軍に待ち受ける落とし穴

この2chまとめの元ネタは、2013年5月17日の朝鮮日報の以下の報道だ。


韓国軍:ソフト違法使用問題で軍とMS社が歩み寄り 約2000億ウォン(約183億円)と推定されるソフトウエアやサーバーの使用料をめぐって1年以上も続いていた韓国国防部(省に相当)とマイクロソフト社の争いが、16日に妥結した。


昨年の春から、マイクロソフトが韓国軍に要求していた「使用料」について、両者の間で妥結したと言うニュースだ。
このニュースについて、韓国で未だ申告な問題であるソフトウェア資産の違法コピー(割れ)問題に絡めたのか、「違法OS代金」というタイトルをまとめサイトでは付けている。

だが、この「使用料」とはなんなのか、まともな理解をしているコメントはほとんど無い。どう読んでも、違法にコピーしたサーバーOSの代金の事だと思い込んでいるコメントばかりだ。

しかし、この「使用料」問題は、実は日本でも頻繁に起きている。
「使用料」がなんなのか理解しないまま、2chスレに「違法コピー」「違法ソフト」だのというコメント書いた連中が社会人だとしたら、韓国軍と同じようにMSに正規の料金を払っていないのかもしれない。
同じ穴のムジナというか、目くそ鼻くそを笑うレベルの滑稽な話だ。

朝鮮日報の記事にも書いてあるが、MSが特に問題にしているのは「クライアント・アクセス・ライセンス」(CAL)の事だ。
このCAL、実はとても厄介な概念なのだ。
日本でも企業とMSの間で支払いに関するトラブルが起きたとしたら、それはCALの支払いに関係するものがほとんどではないかと思う。

CALを一言で表すと「サーバーに接続する権利(ライセンス)」の事だ。ソフトウェアではない
1ライセンスにつき、数千円程度(日本の場合)する。

今や、どこの企業でもサーバーを業務で使用しているし、多くの社員は日常的に自身のPCから、社内サーバーへアクセスしている。もし、そのサーバーがWindows OSで動いていたら、企業はCAL料金をMSに払わなければならない。OSのソフトウェア代金とは全く別に、だ。

CALはサーバーに接続する全ユーザー、又は全クライアントに課せられる。
今、PCを使わない職場なんて無いだろうから、原則的には全従業員、又は会社の全てのデバイス分のCAL代金が請求される

CALの料金の基本的な考え方として、ユーザーCALとデバイスCALの2つある。

ユーザーCALは、サーバーに接続するユーザーの数に基づいた料金が請求される。

ユーザーCAL(マイクロソフト ライセンス情報より)

デバイスCALはサーバーに接続するデバイス(パソコンから携帯電話、タブレットまで含まれる)の数に基づいた料金が請求される。

デバイスCAL(マイクロソフト ライセンス情報より)

企業は自社の運用状況を考慮して、2つのCALのどちらかを選択して購入する。1人の社員が何台もデバイスを使っている企業ならユーザーCALを買うと得で、交代勤務制で1台のパソコンを複数人の社員が利用する場合はデバイスCALが得になる。

一見すると、企業が自社に有利な料金体系を選択できる。でも、これが落とし穴。

企業の社員数や所有デバイスなんて頻繁に変わる上、企業が購入時点で安いCALを買ったせいでユーザーCALとデバイスCALが混在していたりすると、一体どのようなライセンスが紐付けられているのか把握が困難になる。大企業や大組織であるほど、CALの管理は混迷していく。

その結果、企業とMSの間で、ライセンス数について認識の差が生じ、トラブルになる。
たいていの場合、MS・代理店と企業の担当者同士が協議し合い、価格の現実的な落とし所が妥結される。ところが、現実的な落とし所を見出だせずに、ゴタゴタが続く例もしばしばあるのだ。




話を韓国軍に戻そう。

少なくとも、まとめサイトが根拠にしている唯一のソースである朝鮮日報を読む限り、MSの請求の焦点はCALの未払いにある。また、韓国軍は違法ソフトウェアを使用していないとの結論が出たとされており、今回のMSとの妥結はCAL問題についてとみられる。
この記事を元にして「不正コピーだ!」と叩いたのならば、CALを理解していないか、日本語記事の読解力が無いかのどちらかだ。

ただ、解せない点もある。
1年前にMSが韓国軍に料金を請求した際、21万クライアントで2100億ウォン(現在のレートで約192億円)という請求内容だったという報道がなされた(記事リンクは消失してますので、ソース確認したい方は検索をお願いします)。ということは、1クライアントにつき、約9万円。 あれ? 日本のCALの10倍以上の値段じゃね? いくら韓国でのMS製品価格の設定が高くても、これはちょっと高すぎるんじゃないか。

現在の報道でも、MSの被害額が年間約2000億ウォンとされていて、1年前の報道とほぼ同じ額だ。ただ、今回韓国軍とMSが合意した金額は公表されていない。
恐らく、MSが当初要求した2100億ウォンはCALと違法ソフトウェア代金の合算で、違法ソフトウェアが無いとされた現在でも、報道が1年前の金額を使っているだけな感じがする。
断言はできないけど、そんなところが妥当だなと思う。

今回、どのくらい韓国軍がCALを誤魔化していたのか、その詳細は報道からは分からない。
ただ、 今までMSと韓国軍の間で、CAL数について話し合ったことは一度も無いとの報道もあったので、韓国軍もかなりテキトーなことを、意図的にしていた可能性が高いと思う。
韓国軍の管理が杜撰で、違法な状況にあった事は非難されて当然だろう。

でもね、今回の件はCALに関する合意であって、「違法OS」ではない。
その区別も付かずに「違法OS!」とか騒いでる人の会社って、CAL代どうしてんだろうか気になるところです。
多分、韓国軍と同じ状況になっているかもね。


Big Gates is watching you.
(ゲイツ様がみてる)