産経新聞の2014年W杯特集内の各国代表ニュースにこんな記事がありました。
世界中から多くの観光客が集まるワールドカップ(W杯)。さまざまな経済波及効果を生むが、裏の社会にとっても“稼ぎ時”という。多くの専門家が「W杯期間中、ブラジルでの観光客目当ての売春が急増する」との見方を示している。というのも、ブラジルでは18歳以上であれば、売春は合法だからだ。普段でも海外から売春ツアーにやってくる観光客も多い。W杯ともなれば、一気に活気づく恐れもある。観光客を目当てにするため、多くの売春婦が英会話を学んでいるとの報道まであった。
ブラジルW杯を前にした、ブラジルにおける少女売買春の問題を提起している記事……と一見思わせます。
ところがこの記事、書き手の”視点”が明らかにおかしい。さすがに産経新聞も問題アリと判断したのか、問題の箇所は現在は削除されていますが、本来の記事はどんな内容だったのか、過去のWeb情報をアーカイブしている Internet Archiveで見てみましょう。
ただ、問題なのは、ブラジルでは今、18歳未満の少女による児童買春が横行していることだ。売春に走る少女の多くは貧しく、料金も格安だ。
前段は良いとしても、「格安」という表現は、明らかに買い手から見た表現です。もっとも、この程度なら表現の問題で済むかもしれません。ですが、まだ問題は続きます。
これらの少女と接触するのは意外なほどたやすいという。タクシーの運転手やホテルの従業員らが斡旋するケースが多いが、繁華街ではミニスカートやビキニなど、セクシーな服装に身を包んだ少女自らが声をかけてくるという。ここで使われる「セックス」を意味する隠語が「(引用者削除)」。「ハロー。どう? (引用者削除)」といった具合。体面上、18歳と名乗ってはいても、実際は12~13際という少女も多い。
売春の手口まで具体的に載せるのはさすがにどうかと思います。私もそのまま引用するのは拙いと思い、隠語の部分は削りました。いくら夕刊フジがグループにあるからといって、こういう記事を産経新聞の名前で出すのはどうなんでしょうか。
ですが、実態を伝えるために具体的な手口も記事にした、と抗弁する事も出来るかもしれません。ならなんで産経は削除したんだ、という問題が残りますが。
ところが、最後の締めが色々と決定的でした。
とはいえ、そんなブラジルでも児童虐待は重罪だ。ガードを緩めていると、手痛い目にあうかもしれない。(普)
明らかに書き手の記者の立ち位置が、買春側であると白状してしまっております。天下の産経新聞記者が、署名入りで児童買春側の視点から買春ガイド記事を書くのもどうかしてますが、この記事にOK出してしまった上の感性にも色々と問題がありそうです。
さすがに問題ありと感じたのか、6月4日3時現在、記事中から売春手口の部分や最後の「手痛い目」は無くなり、「少女買春に警察が目を光らせるが……」的な抑えめの記事になっております。ところが、記事の訂正を行った旨の記載はありません。産経は先日も「STAP細胞の再現に成功した」という誤報記事を黙って削除しており、2chまとめサイト並のモラルの無さを全国紙の身でやらかしちゃってます。ネット時代の今、黙って消したところで、ログは残って悪評ばかり増えるのに、こういう対応はどうなんでしょうね。
新聞社もガードを緩めていると、手痛い目にあうかもしれない。(ど)
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