ところで、このユーロサトリについて報道各社はどのように報道しているでしょうか。まずはユーロサトリを各社はどう呼んでいるかについて、比べてみましょう。
【パリ=三井美奈】パリ郊外で16日開幕した世界最大規模の陸上兵器・防衛装備品の展示会「ユーロサトリ」に、初めて日本ブースが設けられた。
パリで16日に始まった陸上兵器の国際展示会「ユーロサトリ」に、日本が初めてブースを設け、防衛産業を担う13社が参加している。
【パリ宮川裕章】世界最大規模の陸上兵器展示会「ユーロサトリ」が16日、パリ郊外で開幕し、日本企業13社が出展した。
世界最大規模の防衛装備品やセキュリティー製品の国際展示会「ユーロサトリ」が16日、パリ郊外で開幕した。
十六日からパリで開かれる世界最大規模の武器の国際展示会に参加する日本企業の詳細が本紙の調べで明らかになった。
【パリ共同】兵器や防衛装備品、災害対策設備などの国際展示会「ユーロサトリ」が16日、パリ郊外で開幕、日本の12社が出品した。
フランスのパリ近郊で、各国の武器や警察向けの装備などを集めた世界最大規模の見本市が始まり、この春の武器輸出三原則の見直しを受け、日本の防衛産業が初めて参加しました。
読売、朝日、毎日、産経の全国紙に東京新聞、共同通信とNHKの呼称を調べてみると、それぞれ微妙に異なります。
読売:陸上兵器・防衛装備品の展示会
朝日:陸上兵器の国際展示会
毎日:陸上兵器展示会
産経:防衛装備品やセキュリティー製品の国際展示会
東京:兵器や防衛装備品などの国際展示会
共同:兵器や防衛装備品、災害対策設備などの国際展示会
NHK:各国の武器や警察向けの装備などを集めた世界最大規模の見本市
呼び方を大別すると2グループに分かれ、読売、朝日、毎日、東京が兵器関連の展示会と説明しているのに対し、産経、共同、NHKは兵器に加えて、セキュリティや警察、災害対策設備の展示会である事を書いており、呼び方から受ける印象が大きく異なります。特に、東京新聞は記事からも明らかに否定的な文脈がにじみ出ており、出展は先に行われた武器輸出三原則改正を受けたものだと強調しています。
この東京新聞の報道に対し、ユーロサトリの日本総代理店のクライシスインテリジェンスが事実と異なると抗議しています。
東京新聞(平成26年6月12日付)において、「三原則変更で積極輸出へ 武器国際展示会に13社」と題する記事が掲載されています。
当該報道に関しては、記事の記載内容について
①武器国際展示会
②新原則発表後に各社出展を決めた
この二点において、明らかに事実と異なる点等が認められます。
まず、①武器国際展示会と表記されている件ですが、ユーロサトリはセキュリティー・ディフェンスの展示会であり、武器を主軸にして展示しているわけではありません。特に近年は民間防衛(防犯・防災)や対テロを中心とした展示会となっております。
東京新聞の報道は武器を強調した恣意的なものです。
また、②弊社は今回の新三原則が発表となった2014年4月より以前、2013年11月より本展示会への募集を行っておりました。そのため、
参加企業からのユーロサトリ申し込みに関して、2014年4月以前に出展申し込みをいただいていており、新三原則発表後に申し込まれたわけではありません。このことについて東京新聞社に対し弊社より説明していたにも関わらず今回の報道をされたことに憤りを感じております。
セキュリティー・ディフェンスの展示会なのに「武器」を強調された点、そして新しい武器輸出三原則が発表される前から出展企業を募集しているので新 三原則を受けての出展ではないということです。特に後者については、事前に東京新聞に説明していたにも関わらず、意図的に誤った報道をされたと非難しています。
東京新聞の記事の該当部を見てみると、明らかに武器輸出三原則改正を受けての出展とされています。
従来の武器輸出三原則による禁輸政策の下、国際展示会への出品も控えてきた日本企業だが、政府が武器輸出を原則認めたことで参加を決めた。
しかし、現実には11月から募集されており、改正があろうが無かろうが日本企業は出展していたでしょう。東京新聞以外にも、読売、朝日、毎日、産経、NHKも今回の日本企業の出展が4月の改正を受けたものだとしており、ほとんどの報道機関が誤報を流している事になります。
更に言うなら、毎日、東京、NHKは「日本企業の参加は初」と報じていますがこれも誤報で、過去のユーロサトリには日系企業も多く参加しており、前回の2012年には帝人、パナソニック、富士フィルムといった日本企業の現地法人が参加しています。少なくとも、「武器輸出三原則改正を受けて、日本企業が初めて参加した」という事実はありません。初めて設けられたのは日本ブースで、過去に日本企業が参加していなかった訳ではないのです。
今回の報道はあまりに各社とも杜撰で、一部に至っては自社のカラーを反映して意図的に誤報を流している節があります。せめて、最低限正確な事実を伝えてから、批判するなり賛同するなりをして欲しいものです。
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