2014年1月31日金曜日

【書評】井上孝司「軍事とIT 空の巻」

ツイッターの方で既に呟いていますが、テクニカルライターの井上孝司氏がマイナビニュースに連載している「軍事とIT」が、空関係の記事をまとめて電子書籍化されました。




ところが、Amazonで初っ端からトンチンカンな星1レビューが付いており、これは酷い風評被害だと私の方でレビューを書きました。その転載です。


<以下転載>

著者の井上氏は元日本マイクロソフトのITエンジニアで、現在はテクニカルライターとして、OSからネットワーク、仮想化等の幅広いIT領域についての著述活動をされている。近年の兵器開発では特に電子装備において、商用の既成品を用いる所謂”COTS"が行われるようになり、軍事技術と民生用ITの境界が曖昧になりつつあるが、そのような軍事技術とITの切っても切れない関係を、ITに造詣の深い井上氏が解説するのだから、これ以上の人選は無いだろう。


本書はマイナビニュースに連載されていた記事のうち、空関係の記事をまとめた電子書籍で、F-35戦闘機、イージス艦によるミサイル防衛、無人機の3章で構成されている。これらの兵器システムにITがどのように関与し、従来兵器からどのように進歩したかがわかりやすく解説されており、また全ての章で要となるネットワークの解説にも多くを割いている点も見逃せない。兵器単体だけでなく、それがネットワークの中でどのような意味を持つのか、ネットワークをどう利用するのかといった事は、現代戦の勝敗を決定づける重要な要素だが、ネットワークの専門家でもある著者だけに、そこもしっかりとカバーされていて安心して読める。


軍事とITはややこしい分野で理解が難しいが、初学者向けのIT関連テキストも数多く執筆されている著者だけあって、初心者が躓くワードに対しては噛み砕いた解説を行うなどの気配りが行き届いている。逆に言えば、ある程度軍事やITに詳しい人には冗長にも思えるかもしれないが、改めて平易な言葉で解説されると、自分が知っていたつもりになっていた事柄が、とんでもない誤解をしていたと気付かされる事もある。変化のスピードが早い領域なだけに、知識のリフレッシュを図る上でも目を通したい。


日本に軍事関連雑誌は多々あるが、そこで連載されているコラムや解説記事は、雑誌掲載されただけで単行本化される事はほとんど無かった。今回のように、連載が電子書籍化という形で低コストでまとめて読めるのは大変嬉しいし、この流れが軍事雑誌界隈にも浸透する事を望みたい。著者にとっても、出版社にとっても、なにより読者にとってもメリットは大きいと思うのだけど……。


<転載終わり>


これはぜひ読んで頂きたいですね。マイナビニュースでまだ読めるけど、社会人ならマストバイ。安いし、場所取らないんだから。