一方、圏内に入ってきた不審機にスクランブルをかける戦闘機はというと、最新の「F-15K」は機体の安定を保つピッチトリムコントローラーなどの部品不足で共食い整備が常態化しているうえ、運用面でも問題が山積。07年には有名な「マンホール撃墜事件」も起きている。
機体修理のため滑走路から整備場へ移動させていたF-15Kがマンホールに左主脚を突っ込み、左主翼が破損、大破したという事件だ。
誘導路から外れてわざわざマンホールの上を通過させる運用も問題だが、現地報道でこのマンホールの工事が手抜きだったことも判明。周囲の隙間をセメントで充填(じゅうてん)しなければならないのに、適当に板を張って上にセメントを塗っただけだったのだ。そこへ重さ約15トンの戦闘機が乗ったのだから、陥没するのも当然。普通の道路でも大問題だが、こんな手抜き工事を空軍基地で施工するのが韓国水準だ。
2007年に韓国空軍のF-15Kが基地内を移動中にマンホールに脚を突っ込んだ事故です。これは韓国軍のお粗末な状況を示す例としてよくネットで挙げられています。ところが、この記事中にある「事故を起こしたF-15」の写真ですが、これはどう見ても韓国軍が持っているF-15Kでありません。
この写真は米空軍が保有するF-15の脚がトラブった写真なのですが……。韓国を馬鹿にする記事で、まさかのアメリカを馬鹿にする記事。天下の産経新聞が、ネットで見つけた韓国話に付いてた写真を裏取りもせずに紙面に載せるほどお粗末だとも思えないので、実は韓国軍をバカにするつもりで米軍をコケにしたいという、岡田敏彦記者の高度な深謀遠慮が働いているのかもしれません。
韓国軍のF-15K戦闘機 |
さて、産経新聞の仰るとおり、韓国空軍が高価な戦闘機の脚をマンホールに突っ込ませたのは、実にお粗末な事故です。ただ、機体の損傷は軽微なレベルで、事故としての程度は重大なものではありません。ここで、ここ20年間に起きた、お粗末な原因による航空機の重大事故を振り返ってみましょう。
- 1995年。訓練中、僚機のF-15を撃墜。全世界のF-15で、唯一の公式被撃墜記録。
- 1996年。環太平洋合同演習(リムパック)中、標的を曳航していた米海軍のA-6曳航機を誤って撃墜。
- 2007年。F-2支援戦闘機の配線を逆に挿したため、離陸直後に墜落、炎上。
いずれも死者が出なかったのが不幸中の幸いでしたが、機体は修復不可能なまでに破壊された重大事故です。問題はこれ、全て日本がやらかした重大事故なんですが……。
韓国の軽微な事故を嗤っていると、日本はもっと重大な事故を複数回起こしている事でブーメラン喰らいますよ? F-15が1972年に初飛行してから2014年の今日に至るまで、「世界唯一のF-15撃墜国(ただし味方の)」が日本だという事実の重大さを、少しは冷静になって考えてみる必要があるでしょう。
世界で唯一「撃墜」されたF-15。千葉のゲーセンに転がっている(提供:MASDF) |
さて、ここまでコケにする調子で書いてきましたが、真の問題は無関係の写真を載せたことでも、実は日本の方が重大事故起こしている事でもありません。産経新聞は盛んに日本を「平和ボケ」とする論調の記事を出し、安全保障についての危機意識を国民に喚起しており、安全保障について一言ある新聞のはずです。
昨年末、我が国の安全保障政策の基本となる「国家安全保障戦略」が策定されました。この中で、アメリカとの関係強化に続き、韓国との軍事的協調関係を築くことが下記の通り強調されております。
隣国であり、地政学的にも我が国の安全保障にとって極めて重要な韓国と緊密に連携することは、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応を始めとする地域の平和と安定にとって大きな意義がある。このため、未来志向で重層的な日韓関係を構築し、安全保障強力基盤の強化を図る。
このように、現状の日本の防衛政策は、韓国が味方か、最低でも敵対しない関係にある事が大前提になっています。しかし、現実には日韓関係は冷えきっており、首脳会談の見通しすら立っておらず、日本が韓国を味方であると一方的に決め付けている状況です。中国の影響力増大により、「韓国は味方」と言う前提が崩れるかもしれないと近年言われている中で、韓国軍を嘲笑する記事を日本の新聞社が書く事を「平和ボケ」と言わないのならば、何を平和ボケと言うのでしょうか。こちらが味方だと見做している国の軍隊に対し、軽微の事故をあげつらう産経新聞の姿勢はあまりに無節操です。
韓国をバカにするネタを出す一方で、日本唯一の韓流エンタメ新聞"韓Fun”を発刊し、好韓嫌韓双方から
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