博物館から略奪され、バリケードに使われる大戦中の対戦車砲 |
大統領私邸へと向かう群衆(@Euromaidan PRより) |
発端は昨年、財政危機の最中にあるウクライナの救済を巡り、ヤヌコビッチ政権がEUとの経済調印棚上げし、ロシアから150億ドルの経済支援を得た事です。これに抗議するデモ隊が、昨年末から首都中央の広場を占拠するなどの抗議活動を行い、政府の腐敗一掃を要求する幅広いデモに拡大しました。しかし、政権と野党勢力との話し合いは行き詰まり、20日にはデモ隊と警察の停戦合意が合意後数時間で破られると、首都で大規模な衝突に発展しました。
当局との衝突で亡くなったデモ隊(@Euromaidan PRより) |
また、ウクライナ国会も野党勢力が力を増し、21日にはヤヌコビッチ大統領の政敵で、職権乱用で収監されていたティモシェンコ前首相の釈放を可能にする法案を可決しました。現政権は治安維持から、国会運営を行う能力を既に喪失しているようです。現在、大統領はウクライナ北東部の都市ハルキウ(ハリコフ)にいるとも言われていますが、そのハルキウの治安当局の庁舎でも職員が書類の焼却を行っており、首都キエフ以外にも混乱が波及しています。
書類の焼却を行う治安機関(@Euromaidan PRより) |
旧ソ連から独立したウクライナは、ウクライナ語話者とロシア語話者が混在するなど、多様性を持つ国家です。しかし、その多様性から、国内では政治的対立が長らく続いておりました。クリミア半島等のウクライナ各地では、独立をめぐる動きがあることが報道されており、ウクライナ語地域・ロシア語地域で分裂するかのような、国家が分裂する事態に陥る可能性があります。
ロシアによる調停・介入も行われつつありますが、情勢は断片的に伝わって来るのみで、政府に統一した主体が既に存在しない事を示しています。EU・ロシアの中間地帯であり、EU圏へのガスパイプラインの経由地であるウクライナの混乱は、EU・ロシアに大きな影を落としかねないだけに、国際社会による一刻も早い調停が望まれます。
◇ウクライナ情勢理解の為の参考になるサイト
ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版:ウクライナで何が起きているのか―理解のためのクイックガイド
WSJによるクイックガイドは、ウクライナでこの数ヶ月に起きた事を手短にまとめています。
以下はTwitterでの識者、ウォッチャーによるツイートのまとめです。「膠着から一転、急変したウクライナ情勢」は若干長めですが、リアルタイムのツイートですので、悪化の過程が分かると思います。
EUとアメリカの支援条件から見るウクライナ問題
膠着から一転、急変したウクライナ情勢(2014年2月17日~22日)
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