2013年6月2日日曜日

近年の自衛隊誘致運動をした自治体事例をまとめてみた

ツイッターでは告知したんですが、このブログとは別に、軍事関連ニュースのまとめサイトを作ってみまちた。

んで、 そこで先日取り上げたニュース2件。

室蘭市、自衛隊施設誘致を要望
室蘭港防災拠点目指し自衛隊施設誘致をきょう中央要望 室蘭民報ニュース
 室蘭港の防災輸送拠点化を目指す室蘭地域自衛隊施設等誘致期成会(栗林和徳会長)はきょう30日、自民党国会議員への要望活動を行う。市と市議会、期成会の連名で要望書を提出し、災害時の輸送力強化を訴える。

奄美大島南端、瀬戸内町で自衛隊誘致運動
奄美・瀬戸内町が自衛隊誘致 島嶼防衛強化方針受け - MSN産経ニュース

鹿児島県の奄美大島南端に位置する瀬戸内町の房克臣(ふさ・かつおみ)町長らは31日、防衛省で佐藤正久防衛政務官と会談し、同町への陸上自衛隊誘致と、既存の海上自衛隊奄美基地分遣隊の拡充を要請した。
北海道の室蘭市、鹿児島の瀬戸内町と立て続けに自衛隊誘致要請が防衛省に行われました。
ここのところ、自衛隊の誘致を目指す自治体が多いようですが、その数や内容いまいち把握できてなかったので、2000年以降にあった地方自治体の自衛隊誘致運動をまとめてみました。



6市町村が誘致合戦した普通科連隊駐屯地

2000年前後以降に自衛隊誘致活動を行った自治体事例(与那国除く)


まず、近年で一番大きな誘致運動が繰り広げられたのは、四国における第14旅団編成時の誘致運動が挙げられます。これは、それまで四国に配置さ れていた陸上自衛隊第2混成団が、第14旅団として改編されるのに伴うもので、駐屯地の新設も含めた大規模な公共事業と、計2000名の駐留が想定されてい たために、四国の各自治体がこぞって誘致合戦を繰り広げました。

誘致合戦の結果として、普通科連隊は高知県香我美町(現・香南市)、また施設部隊の駐屯先は徳島県那賀川町(現・阿南市)に決定し、それぞれ高知駐屯地(香我美町にあった旧高知駐屯地から移設・拡張)、徳島駐屯地が新設されることとなりました。

しかし、この駐屯地誘致は、あくまで防衛庁(当時)・自衛隊の方針として、既に自衛隊の再編が決まっている中での誘致でした。
中には、防衛省・自衛隊の意向とは関係なしに、地元側から自衛隊に誘致を働きかけている例が見受けられます。



ヤンデレ的自衛隊誘致

少子化と雇用難の時代、地方はどこも厳しいのか、自衛隊誘致の話がどんどん増えてます。

沖縄県伊良部町での下地島空港は、元々民航パイロットの訓練用だったのですが、コストカットなどの要因からその用途に使われなくなった空港で、自衛隊や在日米軍利用の話が浮かんでは消える空港です。
今現在、伊良部町は宮古島市に合併されましたが、伊良部町は自衛隊誘致で宮古島市への吸収を回避しようとしていたり、普天間移設での候補に上がったりと、政治の舞台になることが多いです。

また、財政破綻した夕張市では、夕張商議所が自衛隊訓練施設を誘致しようとしていましたが、これも自衛隊の意向は抜きで、とにかく現地振興策になるように手当たり次第提言していた感があります。

秋田県男鹿市では振興策としての基地誘致の意志が顕著で、誘致を報じた新聞記事にはこんあこと書いてあります。

「海自誘致、仕事を」男鹿の住民ら署名活動、市議も大半賛同 街の活性化期待/秋田県

 (前略)船川港は、ジャパンエナジーの旧船川製油所が97年に原油処理を停止し、貨物取扱量が激減。頼みの公共事業も減るばかり。男鹿に呼べるものと考え、海上自衛隊の基地しか思いつかなかった。
 さっそく、各町内会長や知人を訪ね歩き、署名集めを始めた。男鹿市だけでなく、潟上市、秋田市など、4年かけて集めた署名は2千人を超えた。
 高橋さんは父親を、戦争で失っている。京谷さんも、秋田市の土崎空襲で焼夷弾が燃え上がるのを防空壕から見たのを覚えている。
 でも、「自衛隊を呼ぶほか思いつかない」と口をそろえる。具体的な基地像があるわけではないが、港の浚渫(しゅんせつ)工事や官舎の建設をはじめ、隊員や家族分の人口増や消費拡大に期待を寄せる。(中略)
 しかし、防衛省は朝日新聞の取材に「現在、船川港に海自基地を新設する計画は有していない」。国も財政状況が厳しく、基地の統廃合、縮小が求められる状況で、基地の新設は厳しい。日本海側では、青森・大湊、京都・舞鶴、長崎・佐世保に基地があり、新設の必要性が低い、という。
 佐藤一誠市長は「市としても情報収集はした。皆さんが男鹿を思う気持ちで動いてくださっているのだと思うが、計画が無いのでどうしようもない」と話す。
 おこし会では「計画は無くても、男鹿には基地が必要だ。運動を続けていく」(後略)。
朝日新聞 2008年5月6日 朝刊(秋田版)

気の毒だけど、これはアカン。絶対来るわけ無いやろ。

突然、目の前に、魅力に欠ける異性が現れて一方的に求婚してきても、逃げるっしょ? コワイっしょ? ヤンデレやん。 
一方的な愛が重い。

こんな感じで、市長が思いつきで言っただけだろ的な誘致や、この表に記載してないけど一市議が訴えているだけのものまで、かなり多く見られます。自衛隊を金蔓としか見做してねー。ありがた迷惑。

一方、長崎県佐世保市は長らく自衛隊や米軍との付き合いもあるせいか、自衛隊の事情を見る目があるようです。自衛隊の潜水艦増勢の方針を見越して、潜水艦拠点として米軍LCAC駐機場跡地を利用できないかとアピールかけてます。自衛隊側はまだなんとも言ってないようですが、ひょっとしたら、誘致が実現するかもしれません。

佐世保市を見習って、自衛隊誘致したい自治体はマーケティングきちんとした方がええですよ、マジで。



沖縄復帰時点から自衛隊誘致してた与那国島

さて、最近「迷惑料10億円」騒動でも話題になった与那国島です。

この与那国島、昨今の急激な過疎により自衛隊誘致をする、みたいな報道がなされていますが、実は1973年の沖縄の日本復帰の年に、自衛隊誘致を町議会で決議していて、誘致は最近始まったことじゃないのです。

時勢もあり、誘致から40年を経て自衛隊も腰を上げることになりましたが、2015年までに配備を終えたいようですが、島内の対立や用地交渉等で当面揉めそうで、これからも一波乱ありそうです。

それと、「迷惑料」は撤回しましたが、さすがに40年前から誘致しといて迷惑料要求すんのって、いくら財政が苦しいからってどうなんでしょうね。
与那国が揉めたら、他の島が手を上げそうだけど、どうなるやら。



実は昔からあった自衛隊誘致

さて、少子化や雇用難で自衛隊誘致したい自治体が増えていると書きましたが、実は結構昔から自衛隊誘致運動を行った自治体は多く、実現した駐屯地も存在します。

富山県砺波市にある富山駐屯地は、地元の誘致活動の末に実現した例の一つです。

いまでこそ砺波市は富山県でも有数の自治体ですが、1950年代には特に産業もなく、冬季は雪に閉ざされる地域があるような辺鄙な場所でした。
砺波市は地域振興のため、1955年から誘致活動を始め、中央での陳情と日本海側の防衛の不備を中央で説いてまわったことが実り、1961年に施設部隊駐屯が決まりました。

当初あった反対の声も、記録的な積雪となった1963年の三八豪雪において、施設部隊が除雪活動に尽力したことによって少なくなったそうです。
また、2004年まで施設部隊が地域の工事事業に協力するなどの活動もあり、その後の地域発展に貢献するなど、自治体による自衛隊誘致の成功例と言えるでしょう。

富山県が自衛隊配備の空白地域だったこと、ソ連の侵攻予想地点の一つだった日本海側だったこと、砺波市が富山市などの市街地に近い位置だった点などから、自衛隊も駐屯を決めたのだと思いますが、この点を理解して中央に陳情し続けた砺波市側の誘致活動が秀逸だったと言えるでしょう。

ちなみに、誘致活動を行った市企画室職員(後に市長)は、旧日本軍で工兵だったそうで、そういった点でも施設部隊誘致が地域に利することを理解していたのだと思います。


先ほど挙げた佐世保市の事例もそうですが、自衛隊誘致を考えている自治体は、一方的に自衛隊に病んだラブコール送るより、自衛隊が何を考えているかを理解して、自衛隊が魅力的に思う点を訴えていかないと来るわけねえべさ。