2014年8月29日金曜日

デング熱より危険で身近な感染症が見過ごされている件

デング熱が日本に再上陸したと騒ぎになっていますね。代々木公園の蚊に刺された事による発症疑いが報じられています。

厚生労働省は、国内でデング熱に感染した人が、27日に発表した女性に加え、さらに2人確認されたと発表した。3人は同級生で、東京の代々木公園でデングウイルスを保有する蚊に刺されて感染した可能性があるという。


都では代々木公園を一部立入禁止にし、蚊の駆除を行う模様です。



最も人を殺した生物は?

デング熱のような蚊が媒介する感染症は、世界的な問題になっています。マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏は、今年の4月に自身のブログの”The Deadliest Animal in the World”と題した記事の中で、「年間で最も人を殺している生物」のランキングを発表しています。記事によると、2位の人間自身(年間475,000人殺害)を抑え、トップは蚊(年間725,000人殺害)でした。

説明を追加


蚊が最も人を殺しているという話に驚かれるかもしれませんが、蚊が媒介するマラリアによって、年間2億人の発症者と60万人の死者が出ている事実をビル・ゲイツ氏は指摘しています。蚊はマラリアの他にも、日本脳炎、西ナイル熱、そしてデング熱等、数多くの感染症を媒介し、人類を死に至らしめています。このような蚊が媒介する感染症の脅威について、ビル・ゲイツ氏はブログでモスキート・ウィークと題し、集中的に記事を投稿する事で警鈴を鳴らしていました。(下動画:ビル・ゲイツ氏によるモスキートウィーク動画)





では、蚊が媒介するデング熱も恐ろしい病気なのでしょうか。答えは、必ずしもそうとは言えません。



治療すれば致死率は低いデング熱

デング熱は蚊によって媒介されるデングウィルスに感染する事で発症します。国立感染症研究所によれば、1年間に世界で1億人がデング熱を発症しますが、ほとんどの場合、後遺症も無く治癒します。この1億人のデング熱感染者のうち、25万人が適切な治療をしないと死に至るデング出血熱と呼ばれる重症例を起こしますが、致死率は数パーセントから1パーセントほどです。デング熱発症者の400分の1が重症化し、重症者の中の数パーセントが亡くなっていると考えると、致死率は必ずしも高い感染症ではない事が分かります。デング熱が問題になるのは適切な治療を受けられない国で、そのような国は公衆衛生も未発達ですから、蚊による感染症リスクは高いのです。先のゲイツ氏も貧困問題と絡めて、蚊の問題を提起しています。



致死率20%以上の見過ごされている感染症

致死率の高くないデング熱が騒がれている反面、昨年2013年に国内で初の死者が確認されて以降、20名以上の死者を出している感染症の事はあまり知られていません。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウィルスと呼ばれる感染症がそれで、発症すると発熱と消化器系の症状が見られ、重症化すると死の危険が伴います。国立感染症研究所によれば、2014年7月30日の段階で、国内で85名の感染例が報告され、うち26名が亡くなっており、致死率は20%台とかなり高い感染症です。発症は西日本に集中していますが、それ以外の地域でもSFTSウィルスの遺伝子が検出されたダニが発見されており、日本国内に広くSFTSウィルスに感染したダニが分布していると考えられています。

SFTS症例の発生(感染)地域(国立感染症研究所サイトより

このSFTSも動物によって媒介される病気ですが、媒介するのは蚊ではなくダニの仲間のマダニです。ダニと言っても、住宅のじゅうたん等に潜むダニとは違い、野外に生息するダニで都市部の公園の緑地にも見られます。蚊は幼虫が発生する水溜りを無くせば駆除できますが、ダニは土と植物のある所にはどこにいもいますので駆除が難しいという問題があります。

SFTSに対しては、マダニに噛まれないよう予防するのが第一と厚生労働省は薦めています。野山へ出かける際は、長袖・長ズボン等で肌の露出を抑え、ディートと呼ばれる成分を含む虫除け剤を用いる事で、より効果的にマダニを防げます。そして、もしマダニに噛まれて発熱を起こしたら、医師にマダニに噛まれた事を伝える事も重要です。吸血虫のマダニを無理に取ったり、潰したりすると、マダニの刺し口が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液が皮膚内に逆流してしまう可能性もあるので、可能ならば皮膚医による処置を受けましょう。

夏季休暇シーズンも間もなく終わりますが、続く9月の連休でも野外へ出かけられる方も多いかと思います。いくぶん涼しくなったのですから、可能な限り長袖等で予防を心がけましょう。



【関連】

虫除けグッズは数あれど、実績と信頼性でDEET(ディート)に優るものは無いでしょう。ディートは戦後にアメリカ陸軍で開発された虫よけ剤で、蚊からダニ、さらにはヒルまで優れた忌避効果を発揮します。だいたいの蚊よけスプレーはディートが主成分です。

ところが、マダニに対してはある程度ディートが高濃度である事が求めれていて、おおよそディート配合率10%以上の製品がマダニ対応を謳っています。なお、国内では12%が認められた最高濃度です。

マダニ効果を謳っている、国内のディート高濃度製品はこちら。


フマキラー スキンベープミスト 200mL 【HTRC3】

【第2類医薬品】ムヒの虫よけ ムシペールPS 200mL


ムヒのムシペールは国内最高の12%配合なので良いかも。スキンベープミストも10%なのでマダニ効果謳っている。





自分はちょっと心配なので、P&Gがアメリカで売っている25%濃度の防虫スプレ―使っていますが、国内でもディート高濃度製品は買える事は買えます。この3M製の防虫剤はディート34.34%。


軍人テスト済み 強力虫除け12時間 3M ウルトラソン(ULTRATHON)スポンジ付 虫刺されから守る 約42.5g (1.5oz)



ディート不使用のハーブなんちゃら? 私は信用してません。

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