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2014年10月25日土曜日

世界36位のスパコンを見に行くの巻

東京大学の柏キャンパスで毎年恒例のオープンキャンパスに寄ってみたら、世界スーパーコンピュータランキング36位(現在)のOakleaf-FXが公開されてたので見てきました。

計算ノード
Oakleaf-FXは東京大学柏キャンパスに設置されているスーパーコンピュータで、文部省のスーパーコンピュータ計画で開発された「京」を商用化した、富士通のPRIMEHPC FX10が製品としての名前です。

計算ノード
2014年5月に発表されたスーパーコンピュータ世界ランキングトップ500によれば、世界36位の計算能力を持つそうで、2012年6月に最初にランクインした時は18位でした。これは世界で日々強力なスーパーコンピュータが稼働を始めているからで、来月発表の最新トップ500では、また何位か順位が落ちるだろうという話です。

ストレージ部
これはストレージ部の写真ですが、データの保存に使うのではなく、二次記憶装置として一時的にデータが置かれる装置だそうです。新しく計算始める度にまっさらにして始めますが、それでも全体で1PBの容量を超えています。一般的なパソコンの容量の、およそ1000倍の容量。

共有ファイルシステム
ちょっと記憶が曖昧ですが、他大学等の外部とファイルを共有するためのストレージ部。筐体の上にシートがかかってますが、普段はこれを出入口に垂らして冷却効率を上げます。下の金網のところからガンガン冷気が来ています。

IBM テープ装置
IBMのテープ装置です。あまり頻繁に使われないデータは、テープに記録して長期保存されます。テープ1本あたり4TBの記憶容量があり、それがペタバイト分、内部にカートリッジがあります。

テープ装置内部
テープ装置内部の写真です。中にテープカセットが何本も保存されており、逐次データを記録していきます。テープ交換のたびに中をカセットが動く様が見れるそうですが、この時は見れませんでした。

UPS
ストレージ・システム用の無停電電源装置(UPS)です。大型の冷蔵庫並の大きさが有ります。中身はバッテリーで、停電時に共有ファイルを置くストレージを駆動させ続け、データを退避・保存させるだけの時間を稼ぎます。計算ノードにはUPSが無いので、停電したら計算は止まります。

ラックの中
ラックの中を見ると意外とスッキリまとまってますが、右の黒いパイプに注目。

水冷用のパイプ
冷却用の水の循環パイプです。計算に伴う熱を水で冷まします。

計算ノードの基板
計算ノードの基板です。1枚の基板に16コアCPUが4つ、メモリスロットが32本あり、1つのCPUに対して32GBのメモリが充てがわれます。銅色で巡るパイプは、これも冷却用の水パイプです。

冷却部
冷却部を拡大すると、この銅パイプが銅製ヒートシンクにハンダ付けされているのが分かります。一箇所一箇所手作業なので、これはえらい手間です。


冷却水の熱交換器のパイプ
装置の大部分は液冷ですので、冷却水を冷やす熱交換器が必要になります。この熱交換器は水温7度で水を送り、各機器を冷却して水が戻ってくると19度にまで上がっているそうです。最大で毎分3,200リットルの水量が流れます。この他、空冷の機器もあるので大型空調が何台も設置されており、計算室はガンガンに冷えています。

Oakleaf-FXは年間2億円の電気代がかかるため、外部への計算ノードの貸出にあたっては電気代を払ってもらうそうです。システム本体の価格については、契約上レンタルの形式を取っているので、正確な所は分からないそうです。

一番リソースを使用している研究は何かと質問したところ、即答は出来ないそうですが、概ね宇宙線関係、大気、海洋、気象といった規模の大きいモノに対する計算をする研究室がもっと計算ノードを必要としているところだそうです。システムの利用率も80%を超えているそうで、世界36位の計算能力でもギリギリまで使っているとか。メーカーの富士通では、FX10の後継機を開発しており、JAXA向けが今月稼働の予定でしたが、納期が遅れているそうです。

普段なかなか見れない物を見れて、大変おもしろかったです(小並感


その他、オープンキャンパスで見聞きしたもの等。

邪悪
邪悪な陰謀の臭いがする。

だって偶蹄類だもの

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> だって偶蹄類だもの <
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森林化で生物相が貧弱になるという話でしたが、間伐して光が入るようにしても、間伐した森にシカが大量にいると逆に生物相が貧弱になり、土壌が流出したりするという悪い影響があるという話はへ~となりました。


生協にて

「生協の白石さん」以降、この手の無理難題増えたような気がする昨今。


海洋研究棟の前には魚が大量に。サメがたくさんです。この棟には寿司屋も入っている。

他の棟でも都市型ハクビシンの研究の話を聴けたのが面白かったですね。ハクビシンは見つかってもすぐに駆除されるので、詳しい生態がよく分かっていないそうです。配管のある屋内に普通に暮らしている様子のビデオや写真などが面白かったです。

そして、千葉県北西部のタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマの生息状況に詳しくなったので猟期に使えると思いましたが、考えてみれば今年は千葉県で罠猟申請取ってなかったので捕れない事に今気付いた。唯一、網で獲っても良い哺乳類であるノウサギが柏キャンパスの農園や花壇を荒らして何も植えられない花壇もあるそうなので、人助けとウサギ網でも仕掛けようか……。

オープンキャンパスは24、25日で終わりでしたので、次の機会はまた来年。今回はあまり見れなかったので、次回はもっと早く来たいですね。




2014年9月30日火曜日

登山その前に。登山計画書の提出を

御嶽山噴火の報道が連日続いていますね。噴火当初は噴火映像のインパクトに圧倒されましたが、心肺停止で発見される遭難者の数が時を経るに従って増えていくのに痛ましい想いです。

今回の噴火による遭難者の数ですが、報道によると噴火から3日経った今でも正確な数は分かっていないそうです。


29日午前8時から長野県庁で開かれた非常災害現地対策本部会議後、陸自松本駐屯地の広報担当者は、「安否不明者は41人に上る」と明らかにした。連絡が取れない人や周辺の駐車場に放置された乗用車の所有者などを基に集計。山中に取り残されている人の数は正確につかめていない。



発表されている遭難者の総数は連絡が取れない人や、駐車場に放置された自動車から割り出しているようですが、公共交通機関の利用者や単身登山者が多く含まれていた場合、実際の遭難者はもっと増えるかもしれません。

焼岳。常時観測対象の火山の1つ(筆者撮影)

未だに遭難者の総数が分からない理由として、登山者の登山計画書未提出が挙げられます。登山計画書(登山届)とは、登山の日程、ルート、参加者等の情報を記入した書類の事で、主要な山の登山口には投函するポストが用意されています。投函された計画書は回収され、いざ遭難が発生した際、救助のための重要な参考情報となります。

登山計画書様式例(長野県)

今回の遭難に限らず、仮に登山計画書が100%提出されていれば、遭難者の名前から人数まで遭難発覚から短時間で分かりますが、登山者の8割が計画書を提出しないと言われています。御嶽山は3000メートル級の高山ですが、七合目までロープウェイも整備されており、コースによっては日帰り登山が可能な事から、”お手軽な山”という認識もあります。その事も計画書の未提出に繋がったのかもしれません。



計画書未提出で遭難から救助まで14日を要した例

今回は噴火という大災害でしたから、直ちに登山者の遭難の事実が知れ渡ったため、不明者の総数が分からない程度で済んでいます。しかし、登山計画書未提出で遭難した場合、遭難そのものに気付かれずに救助活動が始まるのが遅れる、あるいはどこで遭難したのかすら分からない可能性があります。

山と渓谷社から出版されている、羽根田治「ドキュメント単独行遭難」では、そのような遭難事例が数多く紹介されています。その中から1つ紹介すると、2010年の埼玉県秩父山地の両神山で登山者の男性が40メートル滑落して骨折し、身動きが取れない状態になりましたが、男性は計画書の投函ポストを見落として未提出のまま登山していた上、行き先を告げた家族が山の名前を覚えていなかった等の悪条件が重なり、救助まで14日を要した例があります。この例では、男性が登ったのは両神山だと警察が特定したものの、どのルートを使ったが最後まで分からず、救助隊は広範囲の捜索を強いられる事になりました。遭難14日目で男性が発見されたのは沢で、あと数十分発見が遅れていたら大雨による増水に流されていたという、ギリギリの状況での救助でした。



ネットでも可能な登山計画書の提出

登山計画書提出の有無で、生死を分ける事になるかもしれないとお分かり頂けたと思います。1~2枚の紙を書く数分間の手間で、生存の可能性を上げる事が出来るなら、それは有効な投資ではないでしょうか。

しかし、どうしても書くのが億劫な方もいるかもしれませんし、先の例のように投函ポストを見落とす可能性もあります。近年はネットでも計画書を受け入れている自治体があります。現在問題になっている御嶽山は岐阜・長野両県に跨る山ですが、岐阜県はメールによる計画書提出が可能で、長野県ではメールフォームによる提出の他、公益社団法人日本山岳ガイド協会が運営する登山SNS「コンパス」と提携し、SNS上から提出する事も出来ます。この他の自治体、警察でも、ネットでの計画書受付を行っている所がありますので、登山の際は事前にチェックしてみるとよいでしょう。



岐阜・長野県の登山届提出先リンク


岐阜県警察「登山届」

長野県:「登山計画書」

コンパス:「長野県警察」×「コンパス登山計画」の取り組みについて



今は遭難しても携帯電話で救助を呼べる、と考える方もいるかもしれませんが、携帯が圏外で助けに呼べなかった遭難例は数多くあります。そもそも、山は人間の生活空間ではなく、突発的な災害・怪我等のリスクは数多く存在し、ちょっとした事から誰もが遭難者になり得ます。ほんの少しの手間でリスクが減らせるのなら、手間を惜しむ理由は無いのではないでしょうか。



【関連】


羽根田治「ドキュメント単独行遭難」

記事内で引用した書籍。単独登山での遭難は、遭難場所の特定が困難な事がある上、救助当局が遭難を察知するのが遅れるケースが多い。そういった単独行での遭難に絞り、遭難者の行動、救助側の視点双方交えたドキュメンタリーだが、この数年間で発生した単独行遭難だけでも、一冊の本が出来てしまう事に戦慄する。それだけ遭難は身近に起きている。


羽根田治「ドキュメント生還-山岳遭難からの救出: 5 (ヤマケイ文庫)」

前掲書と同じ著者による遭難ドキュメンタリー。高山から低山までの遭難事例とその生還を追う。低山、あるいは初心者向けであっても、遭難する可能性は至る所にある。



「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)」

記憶に新しいトムラウシ山での集団遭難。夏登山にも関わらず、低体温症による9名が亡くなる大事故となる。正規の登山道を進んでいたが、厳しい気象により増水した川を渡る羽目になり、低体温症が一行の判断力を奪い、精神錯乱を引き起こしていく様は、新田次郎「八甲田山死の彷徨」と似通っており、背筋に寒いものが走る。

なお、トムラウシ遭難事故については、事故調査委員会による報告書がネットで読める。これだけでも凄い読み応え。

トムラウシ山遭難事故調査特別委員会「トムラウシ山遭難事故調査報告書」






2014年8月29日金曜日

デング熱より危険で身近な感染症が見過ごされている件

デング熱が日本に再上陸したと騒ぎになっていますね。代々木公園の蚊に刺された事による発症疑いが報じられています。

厚生労働省は、国内でデング熱に感染した人が、27日に発表した女性に加え、さらに2人確認されたと発表した。3人は同級生で、東京の代々木公園でデングウイルスを保有する蚊に刺されて感染した可能性があるという。


都では代々木公園を一部立入禁止にし、蚊の駆除を行う模様です。



最も人を殺した生物は?

デング熱のような蚊が媒介する感染症は、世界的な問題になっています。マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏は、今年の4月に自身のブログの”The Deadliest Animal in the World”と題した記事の中で、「年間で最も人を殺している生物」のランキングを発表しています。記事によると、2位の人間自身(年間475,000人殺害)を抑え、トップは蚊(年間725,000人殺害)でした。

説明を追加


蚊が最も人を殺しているという話に驚かれるかもしれませんが、蚊が媒介するマラリアによって、年間2億人の発症者と60万人の死者が出ている事実をビル・ゲイツ氏は指摘しています。蚊はマラリアの他にも、日本脳炎、西ナイル熱、そしてデング熱等、数多くの感染症を媒介し、人類を死に至らしめています。このような蚊が媒介する感染症の脅威について、ビル・ゲイツ氏はブログでモスキート・ウィークと題し、集中的に記事を投稿する事で警鈴を鳴らしていました。(下動画:ビル・ゲイツ氏によるモスキートウィーク動画)





では、蚊が媒介するデング熱も恐ろしい病気なのでしょうか。答えは、必ずしもそうとは言えません。



治療すれば致死率は低いデング熱

デング熱は蚊によって媒介されるデングウィルスに感染する事で発症します。国立感染症研究所によれば、1年間に世界で1億人がデング熱を発症しますが、ほとんどの場合、後遺症も無く治癒します。この1億人のデング熱感染者のうち、25万人が適切な治療をしないと死に至るデング出血熱と呼ばれる重症例を起こしますが、致死率は数パーセントから1パーセントほどです。デング熱発症者の400分の1が重症化し、重症者の中の数パーセントが亡くなっていると考えると、致死率は必ずしも高い感染症ではない事が分かります。デング熱が問題になるのは適切な治療を受けられない国で、そのような国は公衆衛生も未発達ですから、蚊による感染症リスクは高いのです。先のゲイツ氏も貧困問題と絡めて、蚊の問題を提起しています。



致死率20%以上の見過ごされている感染症

致死率の高くないデング熱が騒がれている反面、昨年2013年に国内で初の死者が確認されて以降、20名以上の死者を出している感染症の事はあまり知られていません。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウィルスと呼ばれる感染症がそれで、発症すると発熱と消化器系の症状が見られ、重症化すると死の危険が伴います。国立感染症研究所によれば、2014年7月30日の段階で、国内で85名の感染例が報告され、うち26名が亡くなっており、致死率は20%台とかなり高い感染症です。発症は西日本に集中していますが、それ以外の地域でもSFTSウィルスの遺伝子が検出されたダニが発見されており、日本国内に広くSFTSウィルスに感染したダニが分布していると考えられています。

SFTS症例の発生(感染)地域(国立感染症研究所サイトより

このSFTSも動物によって媒介される病気ですが、媒介するのは蚊ではなくダニの仲間のマダニです。ダニと言っても、住宅のじゅうたん等に潜むダニとは違い、野外に生息するダニで都市部の公園の緑地にも見られます。蚊は幼虫が発生する水溜りを無くせば駆除できますが、ダニは土と植物のある所にはどこにいもいますので駆除が難しいという問題があります。

SFTSに対しては、マダニに噛まれないよう予防するのが第一と厚生労働省は薦めています。野山へ出かける際は、長袖・長ズボン等で肌の露出を抑え、ディートと呼ばれる成分を含む虫除け剤を用いる事で、より効果的にマダニを防げます。そして、もしマダニに噛まれて発熱を起こしたら、医師にマダニに噛まれた事を伝える事も重要です。吸血虫のマダニを無理に取ったり、潰したりすると、マダニの刺し口が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液が皮膚内に逆流してしまう可能性もあるので、可能ならば皮膚医による処置を受けましょう。

夏季休暇シーズンも間もなく終わりますが、続く9月の連休でも野外へ出かけられる方も多いかと思います。いくぶん涼しくなったのですから、可能な限り長袖等で予防を心がけましょう。



【関連】

虫除けグッズは数あれど、実績と信頼性でDEET(ディート)に優るものは無いでしょう。ディートは戦後にアメリカ陸軍で開発された虫よけ剤で、蚊からダニ、さらにはヒルまで優れた忌避効果を発揮します。だいたいの蚊よけスプレーはディートが主成分です。

ところが、マダニに対してはある程度ディートが高濃度である事が求めれていて、おおよそディート配合率10%以上の製品がマダニ対応を謳っています。なお、国内では12%が認められた最高濃度です。

マダニ効果を謳っている、国内のディート高濃度製品はこちら。


フマキラー スキンベープミスト 200mL 【HTRC3】

【第2類医薬品】ムヒの虫よけ ムシペールPS 200mL


ムヒのムシペールは国内最高の12%配合なので良いかも。スキンベープミストも10%なのでマダニ効果謳っている。





自分はちょっと心配なので、P&Gがアメリカで売っている25%濃度の防虫スプレ―使っていますが、国内でもディート高濃度製品は買える事は買えます。この3M製の防虫剤はディート34.34%。


軍人テスト済み 強力虫除け12時間 3M ウルトラソン(ULTRATHON)スポンジ付 虫刺されから守る 約42.5g (1.5oz)



ディート不使用のハーブなんちゃら? 私は信用してません。

2014年6月27日金曜日

可哀想でも……いらぬお世話の誤認保護

先日、ツイッターのタイムラインに可愛い仔タヌキの写真が流れてきました。その愛くるしさに心安らいだのもつかの間、写真を撮影した人の発言を遡ってみると、住宅地で1頭でいた仔タヌキを「保護」したとのことで、一気に暗澹たる気分になりました。本人は純粋に善意で「保護」したつもりなのでしょうが、これは「誤認保護」の恐れが濃厚です。

春の出産期を過ぎた現在、野生鳥獣は子育てのハイシーズンにあたります。このシーズンに相次ぐのが、人間による幼獣の「誤認保護」です。まだ幼い鳥獣が一匹でいるのを見かた人が、親とはぐれたと思い込み「保護」してしまうケースが跡を絶たず、京都市動物園では2013年の5~6月だけで、5頭のニホンジカの幼獣が持ち込まれたそうです。では、何故これらの「保護」は「誤認保護」と呼ばれるのでしょうか。それは動物の子育ての習性にあります。

シカやカモシカ、ウサギ等の動物は、母親が食事に出かけている間、幼獣を草陰に隠していく習性があり、この間幼獣は草陰で母親の帰りを待っています。母親はちゃんと隠した場所を記憶していますので、いずれ幼獣の元に戻ってきます。ところが、幼獣が1頭でいる所を人間に見られた場合、人間が親とはぐれた幼獣だと誤認してしまい、そのまま幼獣を「保護」してしまう事があります。こうなってしまうと、親子は二度と会う事は叶いません。これらの「誤認保護」を、人間による「誘拐」と厳しく批判する専門家もいます。

幼獣が1頭しても、迂闊に保護は禁物(Roberto Ferrari撮影

一度人の手に慣れてしまった幼獣は二度と親と会えないばかりか、自然に返ることも出来ずに動物園に引き取られ、その飼育費用は動物園・行政が負担する事になります。本人は良かれと思って「保護」したとしても、動物にとっても、他人にとっても、ただの迷惑以外の何物でもない行為になります。

また、最近の野生鳥獣は都市化が進んでおり、人間の生活圏に近い所で子育てを行っているのも多くいて、住宅地の側溝等を移動や子育ての場としています。住宅地で仔タヌキ等の幼獣を見かけたとしても、可哀想だからと「保護」せず、そのまま立ち去るのがその動物のためです。

本来、行政の許可無く野生鳥獣を捕獲することは、法令により固く禁じられています(狩猟除く)。目的が野生動物の保護であっても、許可を得ずに保護飼養を続けた場合、鳥獣保護法違反に問われる可能性があります。それにも関わらず、ネット上では許可を取らずに野生鳥獣を飼養していると思しき人を散見しますが、これは違法行為ですので真似してはいけません。

以上を踏まえた上でも、それでも保護が必要と思われる場合は、各都道府県の野生鳥獣保護窓口(担当課は都道府県により異なります)に連絡を取り、対応を仰いでから行動して下さい。「地獄への道は善意で舗装されている」の格言のように、貴方の善意が動物の親子を引き裂いているのかもしれないのですから。


【関連】



2014年2月16日日曜日

大雪が自然環境と人間に与える影響を考える

こんにちは、dragonerです。今、訳あってアメリカにいます。寒いし、乾燥しているし、アメリカからは艦これプレイ出来ないので、ケッコンカッコカリイベント出来ずにフラストレーション溜まっていて憤死寸前になっている間、”歴史的”大雪に日本が見舞われているようですね。

特に甲府・前橋・熊谷では過去120年ほど続く観測の歴史の中で最大の積雪に。「歴史的」と言っても良いほどの記録的な大雪になったのです。

この大雪により、各地で交通機関が麻痺するなど、日常生活に重大な支障が生じていますが、今後も大雪が各地で続くようです。

前線を伴った低気圧が三陸沖を北東へ進んでいて、あす17日にかけて、さらに発達する見込み。北日本ではきょう16日は大雪となり、また、17日にかけて非常に強い風が吹き、海は大しけとなる。大雪や暴風雪、高波に警戒が必要だ。

このように人間の生活に大きな影響を与えた今回の”歴史的”大雪ですが、影響を被るのは人間だけに限りません。山野に生息する野生動物にとっては、大雪は生死を左右する死活的問題であり、野生動物に起きた問題は長いスパンを経て、人間社会にも大きなインパクトをもたらします。災害が進行中の現在は、人間への直接の影響・被害報道に重点が置かれていますが、ここでは大雪による自然環境の変化が、人間に与える長期的な影響について、過去の事例から考えたいと思います。


エゾシカの大量死を招いた明治12年の大雪

先ほど引用したニュースの中で、「過去120年ほど続く観測の歴史」とありましたが、気象観測・記録が行われるようになった120年前より以前の明治12年(1879年)に、北海道で豪雪と暴風雨を伴う異常気象があったとされています。この大雪により、数十万頭に及ぶエゾシカの大量死が発生し、十勝川にはエゾシカの死体が溢れたとされます。この死体は気温の上昇とともに腐敗をはじめ、腐敗による臭気で十勝川の水が飲料出来なくなる等、時間を置いて人間生活にも影響を与える事になります。

今回の大雪での積雪は、多いところでは本州内陸でも1メートルを超えています。ホンシュウジカの場合、50cm以上の積雪が30日以上続くと死亡する個体が現われ、50日以上で多発するという研究がなされています。短足のイノシシも豪雪地帯での生存に不向きで、今回の大雪に加え、今後も低温によって雪解けが遅れた場合、これら野生動物の生息頭数に影響を与えるかもしれません。


増えすぎたシカが減ると?

現在、北海道を始め、日本全国でシカを始めとする野生動物による農業・山林被害が増加しており、平成23年度の農業被害額はシカによるものが83億円、イノシシが62億円となっており、年々増加傾向にあります。また、JR北海道管内では、シカによる列車の運行障害が、2004年以降は年間1000件を超えるようになるなど、人間生活への影響も見逃せません。

エゾシカの食害により剥き出しになった樹皮(北海道森林管理局サイトより
このように野生動物と人間社会との間の軋轢が年々増している最大の理由は、野生動物の生息頭数が特にシカ・イノシシで増加している事にあります。このような頭数増加と農業被害を受け、環境省ではこれまでの保護前提の管理政策から、捕獲等による抑制に切り替える方針で、今国会では鳥獣保護法の改正を目指しています。ここで問題になるのが、今回の大雪の影響です。大雪により、過去のように大量死が発生した場合、産業にも影響が出始める恐れがあるのです。


鳥獣保護法の改正に与える影響は

鳥獣保護法改正では、民間業者による駆除の解禁も検討されており、既に法改正後の参入を検討している企業もあり、ビジネスチャンスと捉える向きがありました。しかし、今回の大雪により、仮に一部地域でシカの大量死が発生した場合、その地域でのシカの生息数管理は抜本的見直しを迫られる事になり、民間参入が「無かったこと」にされる可能性もあります。そうなると、参入準備をしていた企業にとっては大損以外のなにものにもならない事態になるでしょう。

異常気象等による野生動物の大量死は珍しくない現象で、過去も度々起きています。ところが、明治に大量死の発生と食肉・毛皮需要の増加があってから、日本の野生動物の生息頭数は適正頭数より低めに推移してきており、少々の異常気象があっても食料を奪い合う同種が少ないため、広範囲での突発的大量死は近年見られませんでした。近年の野生動物の生息数増加は、大量死の可能性も増している事を意味しており、今回の大雪でそうなった場合、ある意味で日本に自然なサイクルが戻ってきたと言えるのかもしれません。

歴史的大雪とは言え、まだ積もってから間もないため、野生動物に今後どう影響するかは現時点では不透明です。しかし、過去の事例から想定されるシナリオに備え、今審議が進んでいる鳥獣保護法改正と、改正後を睨んだ企業の動きに今後注目した方が良いかもしれません。


参考文献
依光良三「シカと日本の森林」
太田猛彦「森林飽和―国土の変貌を考える (NHKブックス No.1193)」
河合 雅雄、林 良博「動物たちの反乱 (PHPサイエンス・ワールド新書)」




これをアップした今、ニューヨークは深夜です。クッソ眠いです。雪で飛行機帰れるか心配です。レベル99は大井だけなのが救いです。