2009年2月21日土曜日

今さらだけど、「内張り装甲」の定義



 もう旬が過ぎてしまった感があるネタなれど、「内張り装甲」の定義について、未だにネット界隈(おまけに雑誌でも)で見かけるので、いい加減定義論争に止めを刺したいと思います。


 もう散々色々なところで書かれたことですので事の経緯は省きます。週刊オブイェクトさんの「内張り装甲とは結構、分厚いもの」や、本ブログの「ガラパゴス化しているのは彼なのか?」を読んで頂いた方が確実ですが、要約すると軍事ジャーナリストの清谷信一氏が内張り装甲の存在を知らず、見当外れなことを書いたことに対し、週刊オブイェクトのブログ主であるJSF氏が突っ込んだ訳です。


 ところが、この突っ込みを受けてか「軍事研究」2009年3月号の清谷氏の記事に以下の一文が。






「車体は鋼鉄製で、レーダー反射率を下げるため車体の角は丸められており、全周的に七・六二mm弾や砲弾破片に耐えられる。また内部には跳弾や装甲の剥離を防ぐためにスポール・ライナーが張られている(スポールライナーと内部装甲はよく混同されるが、別物である)。」 by 清谷氏






 これを受けてJSF氏は「「見た事が無い」のに「別物である」と断言」と突っ込み記事を出します。






「つい最近、内部に取り付ける装甲について「見た事が無い」と告白した人なのですから、「内部装甲って何ですか」と問われて説明出来る筈がないですし、「内部装甲の定義を言ってください」と問われて答える事も出来ないでしょう。つまり清谷氏の言う「別物である」という断言は、何の根拠も無い思い込みであると言えます。思い込みではない、ハッタリじゃないと仰られるなら、内部装甲とは何か、定義の説明をお願いします。」 by JSF氏






 まさに正論だと思います。ただ、JSF氏の判断は以下の様な若干の推測が混じっております。






「なお私が技本発表会で展示された「内面取付型付加装甲」をスポールライナーであると判断したのは、材質がFRPであると説明ボードに書いてあったからです。これはスポールライナーに使われる素材と同じです。」 by JSF氏






 以上の様に、以前当ブログで掲載した技本発表会の写真の内容から判断された様です。


 ただ、定義論争に終止符を打つ最良の方法は定義を示すこと。それさえすれば終わりです。では、「内張り装甲」の定義は存在するのでしょうか?





答え



 内張り装甲


 内張り装甲とは、装甲裏面に内張りしたアラミド繊維(ケブラーなど)とプラスチックの複合材などである。装甲裏面からの剥離物を受け止める耐弾性向上効果(スポールライナー)のほかに、図1.5.2-12に示すように破片の飛散角度を小さくするといった残存性向上効果(スプラッシュライナー)が存在する。


― 弾道学研究会編「火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)」財団法人防衛技術協会刊 ―






 「火器弾薬技術ハンドブック」は、「戦後わが国の火器弾薬の専門知識を集約した唯一の資料」を謳っており、日本の火器弾薬技術の基礎技術向上を目的とする弾道学研究会により編纂された、わが国における火器弾薬技術の集大成と言える本です。少なくとも日本において、これ以外の定義は無いと言っても過言ではないと思うのですが、これでも清谷氏は別物と言い張るのでしょうか。ミスや勘違いなど、誰にでもあるのだから、潔く訂正するのが最良でしょう。


 それとも、この定義も「ガラパゴス化」した日本の定義と主張するのか、はたまた定義を自分で作ってしまうのでしょうか。「定義を変える程度の能力」って、神にも等しいと思うのですが、どうでしょう?


 以上で論争に終止符は打たれたと思います。今後、このネタを当ブログで取り上げることはないでしょうし、日本上から論争が消滅することを望みます。