2009年11月12日木曜日

防衛技術シンポジウム2009 「中距離多目的誘導弾」



 昨日に続き、防衛技術シンポジウムにおける展示物の紹介です。


中距離多目的誘導弾


 中距離多目的誘導弾は79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾双方の後継の誘導弾で、レーザーセミアクティブ・赤外線画像誘導の2つの誘導方式を採用しております。


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 中距離多目的誘導弾について、説明担当の方への質問とその回答を以下にまとめてみました。





質問「弾頭下部に突起がありますが、これはなんでしょうか?」



回答「この誘導弾は2つのシーカーを持っていますが、径内に2つを収めると制約が出る為に一つのシーカーを突起部にも納めています。この誘導弾は長距離に飛ばすことは目的にしていませんので、多少の空気抵抗の増加は無視できます。また、このような形の誘導弾を飛ばせることができるのも一つの技術です。」






質問「それぞれ別個にシーカーを積んでいるのですね。突起部のシーカーはなんでしょうか?」



回答「レーザーセミアクティブか赤外線画像誘導のどちらかです(微笑)」






質問「96式多目的誘導弾ではシステム全体が大規模なものになっておりました。中距離多目的誘導弾は搭載車両のみで射撃可能でしょうか?」



回答「96式多目的誘導弾のシステムが大きいものであるという声は我々も認識しておりました。中距離多目的誘導弾では1両で照準・射撃が可能です。」






質問「照準についてですが、赤外線画像誘導は撃ちっ放し性がありますが、レーザーは発射車両から照射するのでしょうか?」



回答「レーザーを照射するのは発射車両だけとは限りません。」



質問「87式中距離誘導弾の様に別個のレーザー照準でも照準可能ということですか?」



回答「はい、その通りです。」






質問「ネットワーク化も謳われていたとも伺っております。(注:後で気づきましたが、現在研究中の将来ネットワーク型多目的誘導弾システムと混同しておりました)」



回答「ネットワークという言葉自体はこの誘導弾のコンセプトにはありません。システム連接性という言葉で表現されています。ReCSへの連接による情報を得て、射撃が可能です。」









質問「79式対舟艇対戦車誘導弾の後継とのことですが、同じく79式の後継である96式多目的誘導弾との住み分けはあるのでしょうか?」



回答「96式多目的誘導弾は79式対舟艇対戦車誘導弾の後継ではありません。



質問「えっ、96式は79式の後継ではないのですか?」



回答「はい。96式は全く新しいカテゴリの装備になります。中距離多目的誘導弾が79式の後継となります。」






質問「失礼しました。では、79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾双方の後継ということは、重MAT・中MATのカテゴリが統合されるということでしょうか。」



回答「はい、その通りです。双方共に時間も経過しておりますので、統合の上更新されます。」









 以上が主な質問とその回答となります。ご丁寧に答えて頂いたご担当者様、誠にありがとうございました。





1 件のコメント:

  1. ノースマン2010年6月6日 20:40

    厳密には導入当初96多目的は79重MATの後継という扱いでしたが、調達数が年間1個小隊規模が限界(価格の関係)もあり、96式は方面直轄若しくは師団直轄として重要な部隊に配備(北方直轄対舟艇対戦、西方第4対舟艇対戦、5旅団対舟艇対戦中→5対戦は廃止の方向で2対舟艇対戦に編成替え予定あり)されています。

    また、同じ普通科連隊でも2個(厳密には3個)対戦車部隊が存在するのも非効率との声が一部で上がっていたのもあるでしょう。

    それらの意見を集約し検討した結果、師団・旅団直轄の対戦車(中)隊及び普通科連隊対戦車中隊を廃止の方向で各普通科中隊直轄の対戦車部隊(小隊規模・現状は装備・人員は分隊規模のみ)を増強する方向に移行しつつあるそうです。

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