防衛装備庁技術シンポジウム2015
今回見て回った中のめぼしい研究について、写真を質疑を交えて紹介。
将来光波誘導弾のドーム風洞モデル(3Dプリンタ製作)
将来光波誘導弾ドームの風洞モデル |
高空を高速で飛翔するミサイルは、先端部に高い熱を帯びることになり、衝撃も発生するため、内部のセンサーを守らなければなりません。そのために先端部のドームには、高い耐熱性と強度が求められます。これを達成するため、高温に耐えるインコネル718で出来たドームを、3Dプリンタを用いて製作したのが上の写真です。
研究時の風洞試験に使われる研究試作品は、量産品と違って生産数は僅かです。そのため、コストのかかる金型は製作せず、削りだしによる製造に頼っていました。従来の削りだしでは、製造に3ヶ月かかっていたところ、金属3Dプリンタでは5日で製造されたため、大幅な時間短縮を成し得たとのこと。
新無人標的機
新無人標的機 |
チャカⅢはアメリカで開発したものをライセンス生産する形を取っていたため、1機あたり1~2億円する高価なものでした。新しく開発されたものは完全国産化され、1機あたり5,000万円と大幅なコストダウンをしています。機体・エンジンの製作は川崎重工です。
新無人標的機 後ろから |
最後尾に回収用のパラシュートを格納 |
エンジン排気口 |
機体・エンジンは川崎重工、地上の指揮装置等はNECの製造です。
チャカⅢというと、海上自衛隊の訓練支援艦くろべ等からの発射のイメージが強かったのですが、この新無人標的機は今のところ陸上自衛隊と航空自衛隊への配備が決まっただけで、海上自衛隊のフネで運用する予定は無いという話でした。そこだけ不可解。
次期機上電波測定装置(C-2EB?)
次期機上電波測定装置(と搭載母機のC-2)のパネル |
次期機上電波測定装置の説明パネル |
上の図に運用構想図が出ていますが、「右で地上施設とやりとりしているのナンデ? 緊急性・即応性が求められるわけではない電波観測に地上伝送なんて必要なんですか?」 と質問したところ、確かに必要性は薄いが入れてみたとのことで、実際には収集データも膨大になるため、機上から伝送せずに記録メディアでやり取りした方が良いだろうとのことでした。
搭載母機のC-2輸送機模型 |
開発は平成16年(2004年)からスタートして、各種機器も製作されましたが、搭載母機のC-2輸送機の開発が遅れに遅れたため、未だに機上試験に至っていない状況にあるようです。しかし、前述のとおり、C-2試作2号機への搭載が決まり、もうすぐ引き渡しになりそうだという話でした。
YS-11EBは新造だったらしいですが、今回は試作機の改造ということで、試作品の流用というのは今後増えていくのではないかとも。
続く
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