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2014年11月2日日曜日

C86頒布「10式戦車データ大全」、アマゾンにて電子版の販売を開始しました

夏コミで出した「10式戦車データ大全」ですが、電子版をリリースするというアナウンスだけ流して早2ヶ月……。お待たせしました、ようやっとAmazonで配信開始致しました。


10式戦車データ大全10式戦車データ大全
dragoner

ドラゴニア
売り上げランキング : 81

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朝方に配信を開始したところ、早くもAmazonの軍事カテゴリの売上ランク1位になりました。やったねタエちゃん! 軍事書籍市場、とても小さいのが分かったよ!

「Kindleダイレクト・パブリッシングのアカウント取ればすぐに本出せるぜ~」と高をくくっていたら、アメリカ様に30%を税金として源泉徴収されるという理不尽仕様だというのを後から知って、徴収回避の為にダンボールの中から必要書類を探しだして手続きし、ようやく配信出来ると思ったらWordからKindleのmobi形式への変換で躓いてと、踏んだり蹴ったりでしたがなんとか配信に漕ぎ着けました……。お待たせて申し訳ありません……。

頒布価格はとらのあな販売分と合わせる為に800円にしていますが、KDPセレクトに登録しているため、Amazonプライム会員Kindle端末をお持ちならば、無料で読める方法もあるので、「お前なんかに金なんかびた一文払わないもんね!」という方にはオススメです。

面倒な手続きや電子化法は分かったので、冬は比較的早く電子化したいところ。その前に原稿完成させないとね……。





2014年8月23日土曜日

「10式戦車データ大全」書店委託と、既刊誤字訂正について

先日は暑い中、コミケのドラゴニアブースまでお越し頂き、誠にありがとうございました。

おかげさまで、10式戦車データ大全は用意した300部が全て完売となり、委託既刊・新刊も全て完売致しました。改めてお礼申し上げます。

都合により会場に来れなかった、ブースに来たら完売していたという方が多く、書店委託についてお問い合わせを頂いておりました。そこで検討の結果、300部を増刷して書店委託する運びとなりました。

とらのあな様で委託させて頂く事になり、28日頃に販売開始される予定です。既に下記リンクにて予約が始まっています。


10式戦車データ大全


書店価格はコミケ頒布より100円上がった800円(税抜)となりますが、書店販売版は誤字訂正と表紙のPP加工を行った第2版になります。

誤字訂正につきましては、下記の通りになります。



正誤一覧

p3「テストヘッド」 → 正:「テストベッド」複数箇所

p3「シミュレーションナ」 → 正「シミュレーション」

p4「努めで」 → 正:「努めて」

p13「ベリスコープ」 → 正:「ペリスコープ」複数箇所

p13「されたのは、は」 → 正:「されたのは、」(第2版にも誤字が残っています)

p16「モノシリック」 → 正:「モノリシック」複数箇所(第2版で間違って修正し、全部”モノシリック”になってしまいました…)

p22「動揺に」 → 正:「同様に」




誤字だらけですね…2版にまで残った、あるいは増やしてしまったものもあります……。

電子書籍版につきましては、書籍版がある程度捌けてからやろうと思いますので、今しばらくお待ち下さい。

2014年8月6日水曜日

【告知だ】コミックマーケット86 1日目に出展しますだよ【予定な】

どうも、dragonerです。2年前の夏に出したっきり、放置プレイしていた10式戦車本を8月15日のコミケで出します。

なんとかギリで入稿でき、印刷所との調整も大丈夫だったので、輸送等でトラブルが無い限りは出ますよー。というわけで表紙やサンプルはこちら。



10式戦車の本と言いつつ、実は3分の2くらいは10式戦車のテストタイプである将来車両装置や、研究で求められた「将来戦車」についてです。そいつらで研究されていた以外の部分が10式戦車にあった場合、10式戦車にて言及しています。



10式戦車本というより、防衛省やメーカーが「将来戦車」をどう考えていて、それが10式戦車でどう実現して、どこが実現しなかったか、という本です。最終比較表を載せたかったのですが、デカすぎたのでいずれWeb上でなんとかします。


特に10式戦車の戦車ネットワーク、情報共有機能について、市販のどの本よりも詳細に書いたとは自負しております。その他、ボツになった技術等、これでしか読めんものも数多くありまふ。

2年前はペラいコピー誌だったのに対して、今回は40ページ超のオフセット本です。300部刷ってますが、売れ残りやしないかと戦々恐々してます。

なお、お問い合わせを頂いている書店委託ですが、当日の売れ行きをみて検討します。なお、売れ行きに関わらず、イニシャルコストがかからない電子版は出す予定です。



【出展詳細】

イベント:コミックマーケット86
日時:2014年8月15日(金)
場所:東京ビッグサイト 西く 32a
サークル:ドラゴニア

頒布価格:700enn

コミケWebカタログ内サークルページ:https://webcatalog-free.circle.ms/Circle/11312362/


なお、私も寄稿させて頂いた、サークル熊猫屋様の艦これ合同小説アンソロジー既刊の「戦争は艦娘の顔をしていない・改」。そして、夏コミ新刊の「艦娘のいちばん長い日」を委託頒布しています。こちらもお買い求め頂ければ嬉しいです。



2013年12月30日月曜日

ブログ100万PV御礼と10式戦車同人誌無料公開

先日、ツイッターの方もフォロワー1万人を超えたばかりでしたが、こちらのブログの方も100万PVを達成しました。やったねたえちゃん!

2013年中に1万フォロワー、100万PVとキリの良い数字を達成できたのも、飽きずにご覧頂いた皆様のお陰です。この1年、本当にありがとうございました。

さて、現在開催中の冬コミに出展する予定だったものの、申請ミスにより準備会からリジェクトを喰らったためサークル出展出来ず、完成させるさせるとこの1年言っていたばかりだった「10式戦車へのプレリュード」が未刊のまま転がっているのもアレな状況なので、次回の夏にはケリをつけたいと思います。

未刊のお詫びと、100万PVの御礼も兼ねて、「10式戦車へのプレリュード(準備号)」を無料公開致します。2012年の夏コミに出した同人誌で、10式戦車とその前段階で研究が行われた将来戦闘車両についての解説本(未完成)です。

当初出す予定だった魔法少女合同誌が間に合わず、慌てて1人でデッチ上げた個人誌で、初めての同人誌ということもあり、至らぬ点も多々ある上、解説も明確に間違っている点・今は判明した疑問点もございます。2014年の夏コミには加筆・修正・再構成を行い、きっちりオフセットで10式戦車本(+α)として仕上げたいと思います。


無料ダウンロードはこちらから(PDF)



無料公開ですが、DLsiteでの有料販売も継続しているので、読んで面白かった投げ銭程度はしてやるか、という奇特な方がいらっしゃいましたら、下の画像からDLsiteで購入して頂ければ嬉しく思います。

10式戦車へのプレリュード(準備号)

なお、ツイッターでも複数回告知致しましたが、今冬コミでのサークル参加は無しの一方、艦隊これくしょん合同誌の企画に、昨年の夏コミでご一緒した糸畑氏からお声がけ頂き、戦後の艦娘インタビューの体裁を取った小説同人誌「戦争は艦娘の顔をしていない」に拙稿を載せさせて頂きました。

この本は、ソ連軍女性兵士の二次大戦後インタビュー「戦争は女の顔をしていない」を艦これキャラで行ったパロディネタがツイッターで盛り上がり、そのネタをさらに広げて、小説同人誌の形でまとめたものです。(その当時のtogetterはこちら)


構成・編集を担当頂いた徳岡氏が『「紙に印刷した小説本」でなくてはできないことをやってみました。』とツイートされたように、バラバラの雑誌で掲載されていたインタビューを集めて収録したという趣向になっており、少数発行のコピー誌ながらも凝ったものになっております。

色々と罪深い本ですが、お陰様で本日持ち込み分はすぐ完売。14時20分に再販した増刷分50部も3分前後で完売となったようです。お手に取られていない方も多いかと存じますが、サークル「宇古木亭」主宰のa_park氏が、今後参加する艦これイベントで委託として再販するそうですので、読んでみたいという方はお手数ですが、そちらで入手をお願い致します。


最後になりますが、2014年も引き続きよろしくお願い申し上げます。



【関連】

10式戦車へのプレリュード(準備号)


2013年7月2日火曜日

10式戦車のタッチパネルは何方式なんだろうね、というおはなし

iPhoneの登場以降、すっかり携帯電話はタッチパネル式が主流になってしまいました。日本で発売になってから、まだ5年も経ってないのに凄い変化です。

携帯がタッチパネルになってからというもの、 情報取得の効率が飛躍的に高まったと体感している方も多いのではないでしょうか。大画面で直感的な操作が行えるタッチパネルは、大量の視覚情報を処理するのに向いたインターフェースなのです。

軍事の世界では、iPhoneの普及よりもずっと早くからタッチパネルが普及していました。高機能化・複雑化する兵器に対して、物理的なスイッチの煩雑さを回避し、操作や情報取得をシンプルにするための手段として、タッチパネルが採用されました。

アナログ計器・物理スイッチが多いF-15コックピット(Wikipediaより

タッチパネルに多くの機能が統合されたF-35のコックピット(Wikipediaより


特に航空機は、表示計器の液晶ディスプレイ化、グラスコックピット化が進んでおり、最新戦闘機のF-35でもタッチパネルが重要な操作インターフェースになっています。




陸上においても、最新の10式戦車では情報の迅速な伝達、共有のためにタッチパネルが使われており、車長、砲手用モニタ等がそれにあたります。電子地図で場所、進路を示したり、射撃目標を指示することがタッチパネルで可能です。

ところで、10式で採用されたタッチパネル操作は、当然のことながらいきなり採用されたものではなく、10式の開発が始まる前からの研究で実証済みの技術でした。

10式戦車の開発がスタートするのは2002年ですが、その前の1998年から2000年にかけて、将来車両装置の研究試作が行われており、そこでタッチパネルを利用した戦車の操作の実証試験が行われていました。


将来車両装置(2010年度防衛省技術研究本部パンフレットより)


将来車両装置の研究では、将来戦闘車両評価用テストベッド(ややこしいですが、「将来車両装置」とは別の研究です)での研究成果を踏まえ、将来の戦闘車両開発のための技術資料を得るための実証と評価が行われました。

具体的には、遠隔操作式の視察照準装置、動力装置についての実証評価が行われ、視察照準装置の一部としてタッチパネルが採用されております。
ここでタッチパネルが採用された理由としては、画面上の点を確実に指示できるインターフェースであることが、視察照準に重要なポイントだった事が挙げられます。

ところで、現在のスマートフォンで利用されているタッチパネルは、静電容量式が主流です。少し前は指の圧力を感知する感圧式のスマートフォンもありましたが、今は静電容量式が多くを占めます。
静電容量式は、軽く触れるだけで動き、分解能も高いので細やかな操作が出来るのが特徴です。
では、戦車に使われるタッチパネルはどのようなものが使われているのでしょうか。


将来車両装置の研究では、下表のように赤外線、超音波、静電容量、抵抗膜の4種類のタッチパネル方式が検討されました。

タッチパネル比較
ここで重視されたのは、耐環境性、傷による誤検知の有無と、手袋着用時の使用についてで、比較の結果、 赤外線方式が採用されることになりました。

赤外線方式は、赤外線のビームが画面前方に出ており、それを指が遮る事で、画面上のどこにタッチしたかを検出するものです。
表示画面そのものに細工をするものではないので、耐環境性や耐久性に優れます。また、分解能は4方式中最も低いものの、どうせ乗員は手袋をして操作しているので、分解能が高くてもあまり意味は無いでしょう。
乗員は外に出ることも多いので、手袋の汚れも十分に考えられるため、誤作動の心配が無い赤外線方式になったのは当然でしょう。

では、今現在の10式のタッチパネルは、何を使っているんでしょうか。

上の比較が作成されたのは10年以上前ですので、今現在は事情が少々異なります。
スマートフォンで主流の静電容量式は、タッチ面がガラスになり、透過性、耐久性も優れたものが登場しました。しかし、それでも手袋使用時の操作が困難なのがネックとなります。(ごく最近、静電容量式でも普通の手袋で操作OKなのが出たそうですが)

将来車両で採用された赤外線方式も進歩し、当時は横軸・縦軸に赤外線ビームを発振する素子がズラリと並んでいたものが、今現在は画面上部左右に赤外線発振機を2個設置するだけで、指が触れた点を三角測量して位置を割り出す方式が開発されています。

ここでは、手袋での使用を考慮して、10式戦車のタッチパネルも、赤外線方式が採用されていると考えるのが妥当な気がします。

戦車乗員員の手袋の指先を導電性の素材に変えれば、静電容量式でも手袋を嵌めたままで操作はできるでしょう。しかし、整備で電機機械を扱う作業もする乗員の手袋に、導電性のある素材を指先に使うとは少々考えにくく、 従来通りの手袋だと考えられます。


もし、10式のタッチパネルの方式を確認したいのでしたら、駐屯地祭などで説明している乗員の手袋をそれとなく確認してみるのも手だと思います。指先だけ別素材が使われていたら、静電容量式の可能性もあるのかもしれません。

スマフォ使いの隊員の私物である可能性も捨てきれないけど。

2013年4月12日金曜日

10式戦車の試作車と量産車の違い、及び装甲カバーの中身について(後編)

補助動力装置

10式戦車は多くの電子機器を搭載しており、そこで消費される電力は相当なものです。90式などの従来型戦車の電気系の電圧は48Vと24Vであったのに対し、10式は96Vと家庭用に近い電圧にまで上がっており、90式と比較しても多くの電力が必要となります。エンジンが休止・故障している際も、電力を供給しなければならないシチュエーションも多くあるでしょう。
その為に、10式戦車はエンジンとは別に、補助動力装置(APU)をオプションとして導入できます。 10式の車体後部左には、補助動力装置用の吸排気口らしきものがあります。


10式戦車試作車 補助動力装置

 この補助動力装置は単気筒ディーゼル発電機で、エンジン休止時にも車内の電子機器に対して単独で電力を供給することが可能です。単気筒のディーゼルですから、発熱・騒音も少ないので車両の秘匿性を高め、エンジンを切っておけるので燃料の節約にもつながります。


10式戦車試作車 補助動力装置上部

この補助動力装置は前述の通りオプションで、装着するかどうかは選択できるようです。上の写真を見ると判りますが、上の蓋を外して容易に取り外しができるようになっております。このため故障時の換装や、将来に補助動力装置の能力向上が必要になった時にも対応できるものと考えられます。


10式戦車量産車 補助動力装置カバー?(写真左)
 エンジン側の排気を吸わないようにするためか、量産車ではカバーが着けられています。小さな点ですが、試作車両には見られなかった点です。

 

側面付加装甲の細部の違い


続いて、側面の付加装甲の違いを見てみましょう。
試作車両 装甲カバー

量産車両 装甲カバー
上の写真を見て分かるように、偽装網取り付け用のフックがある点で共通しているものの、量産車の付加装甲には試作車には無い可動部があります。

10式戦車量産車 砲塔側面付加装甲カバー拡大

拡大すると、蝶番の存在が分かります。つまり、これ、フランス戦車のルクレールと同じように、収納箱の役割があるわけです。
今回、それを裏付ける決定的シーンを映像で捉えましたの。ニコニコ動画、YouTube双方にアップロードしましたので御覧下さい。





図らずしも、カバー説がこれで立証できたと思います。

2013年4月10日水曜日

10式戦車の試作車と量産車の違い、及び装甲カバーの中身について(前編)

さて、先週は10式戦車の装甲についてgdgdと書いてみた訳ですが、たまたま日曜日の駒門駐屯地創立記念行事で、先週書いたことを補強する材料を色々と発見できました。
今回は発見した事と併せて、10式戦車の試作車と量産車の違いについて考え、そして装甲カバーの中はどうなってるのかについて見ていきましょう。



車体前面下部カメラの有無


 試作車と量産車の違いについてですが、実は量産車を近くでマジマジと眺めたのは先日の駒門が初めてでした。総火演は混むし、去年の駒門も雨だったので「10式戦車? もう腐るほど見たからいーや」と早々に帰っていたせいなんですが、じっくり見ると細かい違いがたくさんあって、自分の迂闊さを呪いますね。

では写真で較べてみましょう。まず、車体前面下部にカメラが追加されていました。



【写真1】10式戦車 試作2号車


【写真2】10式戦車 量産6号車

量産6号車の車体前面下部にガラス面があり、内部にカメラが設置されているのが分かります(桜マークの下です)。操縦手用の前方下部確認用カメラと見られ、試作2号車では確認できなかったものですが、これが量産車に追加された仕様なのか、単に試作車の装甲カバーが見えないだけだったのかは不明です。

また、これらの写真から試作車・量産車共に、車体の上に金属製カバーをボルト留めして車体表面を隠している事が分かります。ライトの部分も網がかかってよく見えない徹底ぶりです。90式の車体前面は下の写真の様にスッキリしているのに、10式に至ってはボルトだらけです。



【写真3】90式戦車車体前面



光学系装置の配置


前方下部カメラの他に、正面から目に付く点として、光学系の配置が異なります。
下の量産車の写真で、砲身右の機関銃孔上には特に光学系はありません。


 【写真4】10式戦車(量産車)


 が、試作車両にはかなり大きいレンズが見えます。砲身の軸線に近いところに配置され、向きは固定されているので照準関連の装置と推測されます。





【写真5】10式戦車(試作車)
じゃあ、この無くなったのがどこ行ったかというと、


【写真6】 10式戦車、試作/量産車砲盾部比較

 上の比較写真のように、砲盾部の前面に移動したものと考えられます。

 次回は装甲カバーの違いと、その役割について。多分、解説動画も一緒にやります(・ω・)ノシ

2013年4月5日金曜日

10式戦車の装甲のお話(その2)

その1からの続き。

10式戦車の重量説について


 さて、その1では10式戦車の装甲の種類に触れ、文献によって混同されがちなモジュール装甲と付加装甲が、10式戦車では両者は違う種類の装甲であることに触れました。
では、10式戦車に関する雑誌記事で見られたもう一つの混乱、装甲取り付け時の重量についてはどうでしょうか。
結論から言うと、重量は最大48.1トン以内に収める、というのが正しいです。これは、10式戦車の拡張性対応装置諸元に明記されており付加装甲の装着にあたっては車体質量が48.1トン以下の範囲で行われるとのことです。分かり難い記述ですが、「全付加装甲装着時48.1トン」という表記を使わなかったのは、付加装甲を任務に応じて選択できる自由度の幅が広いためではないかと推測します。
しかし、どのような形態の時に重量が何トンあるのかについては、外見上判断する手段が事実上ありません。その理由について、次節で説明します。



外見から分からない10式戦車の重量


上の写真は、我々がよく知る形の10式戦車です。10式戦車この形態が付加装甲装着時であるとされる記述が雑誌やネットなどでもよく見られます。



しかし、寄ってよく見ると「付加装甲」とされているものは、小さな少数のボルトで留めているだけだと分かります。つまり、外見で分かる「付加装甲らしきモノ」は小さいボルトで留められるくらい重量が軽いのです。
実はこの「付加装甲が装着されている」外見は、あくまで「装甲カバー」を装着したものであって、本当に付加装甲を着けたかどうかは外見から判別できないようになっているのです。 90式戦車も砲塔正面はキャンパス地に覆われ、中の構造がどうなっているかは分かりませんでしたが、10式は砲塔から車体に至るまでカバーで覆われ、本当にその車両が付加装甲を装着しているのか、外見からは分からないのです(上面付加装甲とかは分かるかも)。



この装甲カバーに与えられている役割は、どの装甲を着けているかの秘匿の他に、装甲の取り付け方式の秘匿があります。また、カバーに大量に付いているフックは偽装網取り付け用で、ここに擬装用の網を引っ掛けることになります。取っ掛かりがない74式や90式に比べ、偽装網取り付けに関しては、かなり利便性が高まったのではないかと思われます。
また、カバーが金属製であるのも、なんらかの防護上の意味合いが存在するでしょう。小口径弾や歩兵携行の対戦車火器に関しては、薄い金属板でも効果が望めますし、単純にそれに留まらない機能的意味もあるのかもしれませんが、そこは想像するしかないでしょう。

以上。

2013年4月3日水曜日

10式戦車の装甲のお話(その1)

ブログではご無沙汰しております、dragonerです。

自分がブログを始めたそもそもの理由の一つに、TK-Xこと10式戦車の存在があるんですが、制式化・配備後はスロラーム射撃が可能と分かったくらいしか情報ないね(´・ω・`)と思いつつ、他のミリタリ話にシフトしておりました。でも、ちょっとやる気出して改めて調べてみると、色々と分かってきたことがありましたが、冬コミの際に2013年の夏コミの応募用紙を買い忘れていたので、夏コミに本が出せそうにありません。代わりと言っちゃなんですが、とりあえずブログの方にチラチラとまとめてみたいと思います。


10式戦車の付加装甲

既報の通り、10式戦車は素の状態で重量40トン、付加装甲装着時で44トンという情報が伝わっております。手っ取り早くWikipediaで確認すると、「全備重量は基本40t/通常44t/最大48tとする説や、増加装甲を最大限取り付けると全備重量が48t、公開された試作車両が44tと記述する説がある。」そうで、ここいらの情報に少々混乱が見られます。で、ここいらを調べると、どうもモジュール装甲は対象脅威や箇所別に、結構なバリエーションが存在しているようだ、ということです。

私が調査した中で、いつかの付加装甲の存在が判明しておりますので、表にまとめてみました。



ここで注意すべきポイントについて、それぞれ考えてみましょう。

 付加装甲I型とII型の存在


砲塔及び車体の側面に装着する付加装甲については、上の写真の様な形がお馴染みとなっております。ですが、どうもこのタイプはI型とII型の2種存在しているらしいのです。外観上の違いが存在しているのかまでは不明ですが、同一部位で二重に装甲を付加するとは考えにくいので、恐らくは対象となる脅威に応じて付加されるもののようです。


付加装甲(上面用)、付加装甲(操縦手足元防護)

 続いて、これまで確認されていなかったと考えられる付加装甲の存在です。上面及び操縦手足元防護用の付加装甲が存在し、恐らく上の写真における10式戦車には装着されていないものと見られます。上面装甲はトップアタック兵器、操縦手用は地雷、IED対策の付加装甲と思われます。


モジュール装甲と付加装甲の違い

 また知られていない装甲です。今度は砲塔及び車体への低脅威対応モジュール装甲です。恐らくはRPG等の個人携行型対戦車火器に対応する装甲と見られます。ですが、不思議なことに、先の付加装甲が素の10式戦車にボルトでアドオンする形での拡張機能であるのに対し、低脅威対応モジュールは拡張機能とは見做されておりおません。
この点については、

・低脅威対応モジュールは、任務によって通常のモジュール装甲と入れ替えられる。

或いは、

・低脅威対応モジュールは、爆発反応装甲で、パッシブ型の付加装甲とは別と考えられている。

と推測しましたが、確かなことは現時点で不明です。
ですが、付加装甲とモジュール装甲に別の意味が与えられていることは確かであり、 軍事誌などでしばし混同されている両者の言葉について、10式戦車を語る上では慎重に使い分けをする必要があるかと考えます。10式戦車の場合は、

 モジュール装甲:本来の主装甲であり、脅威に応じ交換可能な設計になっている。
 付加装甲:主装甲にアドオンする装甲であり、脅威に応じ装着可能なもの。

 と考えるのが妥当ではないでしょうか。


その2へ続く