最初は写真と簡単な説明だけ載せていましたが、動画も追加しました。
一番注目を集めていた「まるい未来型飛行物体」。飛行時の写真なのでブレてます。映像作成中。
一昨年、昨年に続き登場した偵察ポッド。今回は昨年よりもやや小型軽量化し、耐衝撃性も強化されました。また、専用コントローラーもできました。
多機能RFレーダーの素子と送受信モジュールです。
生物剤検知装置です。1台で分析を行い、15分以内に判別する能力を備えています。
自衛隊謹製IED(嘘)
新島での先進SAM発射試験の様子。
護衛艦「さざなみ」ジブチ入港:防衛省統合幕僚監部サイトより引用 |
ジブチ大統領を表敬訪問する派遣海賊対処水上任務部隊指揮官:統合幕僚監部サイトより引用 |
(遭難船舶等の救助)
第14条 船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない。
転覆船を曳航する不審船:朝雲新聞サイトより引用 |
26日21時45分頃、黄海で警備中の韓国海軍哨戒艦が爆発・浸水。現在救助中とのこと。(58人救助の報あり)
爆発したのはボーハン級コルベット PCC-772 天安(チュナン、ROK Chonan)と見られる。乗員数104名。
「射撃音が15分継続した」との報があるが、これは北にいた不審船に対しての韓国側哨戒艇(沈没艦の僚艦?)による発砲によるものと報道あり。
李大統領は緊急安保長官会議を招集。
韓国SBSによると59名救助。
爆発は船体後方。スクリュー付近より浸水とのこと。
現場は軍事境界線(NLL)からは離れた地域とのこと。
ボーハン級コルベットについては、http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/106.html 参考のこと。
気象庁サイトによると、現場付近のこの時期の平均海水温は10度以下。一刻も早い救助が望まれる。
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/kaikyo/jun/sst_jp.html
なお、海上保安庁サイトによると、5度以上10度以下の海水の場合、防護が施されていない人間は1時間以内に救助されても生存率は50%とのこと。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/08kanku/hamada/02_oshirase/uminohitokutimemo.htm
続報が入らないので、一旦打ち切り 01:50
「チュナン」じゃなくて「チョナン」と読む方が正しい?
「軍事境界線より離れた地域」(NTV)との報道があったけど、WSJのサイトで確認すると沈没した近くの島は漁船操業の北限を越えて、NLLに近い。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704100604575145683306658178.html?mod=wsj_share_twitter
NLLから10キロちょいくらいを「離れた」と見るか、「近く」と捉えるかは微妙なところ。
こんどこそ一旦打ち切り。 02:15
再開 13:55
「天安」の近くにいた韓国側哨戒艦による発砲は水鳥の群れを誤認したためによるものとのこと。
なお、救助されたのは58名でSBSの59名は誤報の模様。残る46人は捜索中。
1.「護衛任務の具体化」
2.「人・物の補強」
- 護衛要領の作成
- 特別警戒配備
3.「ガイドライン作成」
- 人事課との調整
- 装備の補強
- 隊員への教育
- 国土交通省・日本船主協会との調整
新規装備以上の装備についての検証から行われます。数キロ先に大音響を伝えるLRADや防弾板等の能力を実際に使ったり、射撃を行うことで使用に耐えるものか検証します。次に個々の装備の訓練を実施し、最後に実際の場面を想定した総合的な訓練を行う、といった段階を踏んだ検証・訓練を行ったとのことです。訓練に当たっては想定状況がありますが、考えられる最悪の想定を3つ設定し訓練が行われました。余談ですが、この「最悪の想定」は五島一佐が夜な夜な見る悪夢を参考にして設定されたとのことでした。
1.防弾板:各所に配置。
2.LRAD :艦は片舷に1基ずつ、計2基装備。
哨戒ヘリにも小型のものを1基装備。
3.特別機動船(RHIB):各艦2隻ずつ装備。
追加装備
4.インマルサット(衛星通信装置):通信の増大等に備え追加。
5.哨戒ヘリ:砂塵・高熱対策の為、第一次派遣部隊のみ各艦2機。
通常は1機。
6.12.7mm機関銃:片舷1丁ずつ追加。
【2009年2月20日に行われた海上保安庁との合同訓練。右側が海上保安官】(引用:朝雲新聞サイトより) |
2009年3月2日~3日にかけて行われた、海賊対処に係る図上演習の様子(引用:統合幕僚監部サイトより) |
安全回廊 |
海賊が襲撃に使うスキフの特徴(筆者作成) |
船団護衛内容(筆者作成) |
■「悩ましい」選択
先日、「リアリズムと防衛を学ぶ」のzyesuta氏がF-4後継機(F-X)問題について、twitterで以下のような呟きをされておりました。
ユーロファイターはライセンス生産OK、日本仕様への改造OK、ブラックボックスなしという、もうどうにでもして、という条件です。防衛産業を維持し、いずれ戦闘機の自主開発を目指すならこの上ないチョイスと思われます。
5:43 PM Feb 23rd via NatsuLiphone
しかしながら、今次 F-X(F-4後継)に選ばれた機種は、次なるF-XX(一部のF-15後継)も恐らく同系列であてられ防空の主力を担う機体になります。そう考えると、性能に優れる米国機をとらないでいいのか、という点に悩ましいものがあるんだと思います。
5:49 PM Feb 23rd via NatsuLiphone
このzyesuta氏の「悩ましいものがある」という指摘はまさにその通りだと思います。
現在、揉めに揉めているF-Xですが、F-22採用の可能性がほぼ無くなったことにより、更に混迷の度合いを増しております。有力候補として米国のF-35がありますが、現在も開発中の上、ライセンス生産を認められることはまず無い為、仮にF-35が採用された場合、F-2支援戦闘機の生産が終了する2011年度以降は日本国内で戦闘機生産が中断することとなります。日本航空宇宙工業会では国内での戦闘機生産の中断により生産技術基盤の喪失により「海外依存による自主・自律性の喪失、コストの増大、可動率の低下が懸念される。」としており、これは歴然たる事実でしょう。
【ユーロファイタータイフーン:ユーロファイター公式サイトより】
【ロッキードマーチン F-35:ロッキードマーチン公式サイトより】
しかしながら、国内での生産やローカライズが大幅に認められると思われるユーロファイタータイフーンは日本での採用実績が無い欧州機であり、これを採用した場合はzyesuta氏の懸念する点で問題が有ります。かと言って、ライセンス生産可能な米国機のF-15FX系列は一線級の能力こそありますが基本設計が古く、戦力としての陳腐化が早々に訪れると思われます。現状、どっちに転んでも誰もが満足する結果は得られず、大きな不満が残る選択肢しか残されておりません。
では何故このような「悩ましい」事態に陥ってしまったのでしょうか。
■最善は決まっていた。では次善は?
結論から言ってしまえば、この問題を招いたそもそもの原因はF-22ありきの姿勢による決定の先延ばしにあったのではないかと思われます。
本来、F-Xの選定は2007年度中に完了している予定でありましたが、2007年7月に米下院歳出委員会がF-22の輸出禁止継続を決定した為、日本側がF-22についての情報照会ができなくなり、F-22の輸出禁止解除を待つ為にF-X決定は2008年度中に延期されましたが、輸出禁止は2008年でも継続され、結局2008年12月に防衛省はF-22をF-X候補機より外すことになりました。2009年度が終わりに近づいている現在でもF-X決定は行われておりません。F-22の輸出禁止解除を狙った先延ばしは奏効せず、F-2が生産終了する2011年度までの限られた時間をいたずらに浪費するだけに終わってしまいました。
【ロッキードマーチン F-22:ロッキードマーチン公式サイトより】
このF-X選定に関し、防衛省(空自)はF-22をベストと考えていた節は各種の報道から見受けられますが、次善の検討が本気で行われていたかどうかには疑問が残ります。F-22が候補機から外されてから1年以上経った現在でも未定であることや、2009年にもなって「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」が開かれる等の混乱が目に付くからです。推測の域を出ませんが高性能なF-22に囚われるあまり、脅威の分析とその対応法の検討に不足があったのではないのでしょうか。先日、F-35がF-Xに決定したとの報道の後に防衛大臣が否定するという一幕がありましたが、その際も何故F-35なのかという理由の報道は見当たりませんでした。果たして、F-X決定の際に納得の行く選定理由は提示されるのでしょうか。今後とも要チェックです。
■最適の装備を探し出すシミュレーター
さて、F-Xの話が長くなりましたが、本日の本題は別になります。本稿はF-Xのような将来の装備に最適な物はなにかを探る為のシミュレーターの紹介です。
F-Xの選定にこそ間に合いませんでしたたが、現在、対象となる脅威・状況から最適の装備をシミュレートする装置の研究が防衛省技術研究本部の先進技術推進センターで行われています。"SIMulation for TOtal effects on defense systems"、略称"SIMTO"と呼ばれるシミュレーターです。
以前、「平成20年 防衛省技術研究本部研究発表会 特別セッション「新戦車」要旨」の記事でも少し触れましたが、技術研究本部では新戦車の開発に車両コンセプトシミュレーターを使用しております。車両コンセプトシミュレーターとは、エンジンや駆動系等の複数コンポーネントのシミュレーターと光ファイバーで連接することにより、コンピューター上にて戦車を仮想的に組み上げて試験を行うシミュレーターです。防衛省の資料から、運用構想図を以下に引用致しましたのでご覧下さい。
【「戦闘車両シミュレータの研究 に関する外部評価委員会の概要」より引用】
上図のように、それまで個別であったコンポーネント毎のシミュレーター(システム)の上位に更にシステムを構築することで、車両全体をシミュレートすることができるようになりました。近年、このようなシステムの連接により更に大きなシステムを構築することは、"System of Systems(SoS)"と呼ばれており、研究開発用のシミュレーターに留まらず、軍事における革命(RMA)の中でも重要な要素の一つとなっております。SoSについての解説は改めて行いたいですが、ここで端的に述べると、SoSの目的は複数システムの統合による相乗効果(シナジー)の獲得にあります。一つ注意して頂きたいのは、本来のSoSとはもっと大きな構想になりますが、これについては後述させて頂きます。
話しをSIMTOに戻しましょう。SIMTOは「防衛システムの総合効果シミュレーション」とでも訳せば良いと思うのですが、これは上で説明させて頂いた車両コンセプトシミュレーターの更に上位のシステムと考えて頂ければ良いでしょう。すなわち、車両のみならず、陸海空の防衛システム全体をシミュレーションするシミュレーターになります。説明のために技術研究本部の資料をもとに、下図を作成致しましたのでご覧下さい。
【『「装備品なら何でもシミュレーションします。」(過去も、現在も、未来も)』を基に筆者加筆】
上図は下層に一つのシステム(装備)を構成するプラットフォームや武器、センサーなどのコンポーネントレベル、中層にコンポーネントを一つにまとめて装備にしたシステムレベル、最上層に各装備が配置される(システム統合レベル)という3階層から成りたっております。先程紹介した車両コンセプトシミュレーターはシステムレベルに属するもので、コンポーネントレベルには車両コンセプトシミュレーションを構成する各種シミュレーターが属します。このうち最上層のシステム統合レベルに該当するのがSIMTOになります。(注:後述してますがSIMTOは全層を内包しており、車両コンセプトシミュレーターとは連接されていません。あらかじめご注意ください)
SIMTOは様々な装備やコンポーネントをモデル化し、装備の威力や防護力等の様々なパラメーターを数値化することにより、コンピューター上に仮想の戦場を再現します。モデル化できるものなら陸海空全ての装備がシミュレートでき、実際に研究者に伺ったところでは「過去の装備。例えばゼロ戦も再現可能」とのことでした。装備のみならず、仮想の戦場では気象や地形、透過率、グラウンドクラッタ-等の様々な環境要素までモデリングし、人間による指揮(ドクトリン)もモデル化されております。これら実際の戦場と同じ様な環境を再現し、その中で多数の装備の組み合わせを検証することが出来ます。この検証を元に将来の装備に最適なものはなにかを導き出すのです。
技術研究本部の資料を下に示しますので、どのようにシミュレートし最適な装備を導きだすかを考えてみましょう。
【『「装備品なら何でもシミュレーションします。」(過去も、現在も、未来も)』より引用】
まず、対象となる脅威を想定します。この脅威に対し、ステルス機・無人機・無人機+管制の為の大型機という3つの方法が提示されたとすると、その方法による戦闘をシミュレートし、有効性を評価することによって将来の研究開発の方針を決定する。と、このような流れで最適な装備を導き出すことが可能です。これは研究開発方針の決定だけでなく、F-Xの様な外国製装備の導入においても役立てるものと思われます。
■SIMTOの今後と限界
さて、先程SoSについて「もっと大きな構想」と述べました。そう、本来のSoSは非常に遠大かつ野心的な取り組みであり、先程車両コンセプトシミュレーターについてSoSと書きましたが、あくまで概念の説明として述べただけで、実はあれはSoSと呼べるほどのものではありません。SIMTOにしてもまだまだ及ばないところがあります。それは何故か? ここでSoSについて、Web上に大変的確な説明がありましたので、以下に引用致します。
SoS を直訳すると、もちろん「システムのシステム」である。しかし、システムはもともと(サブ)システムから構成されているわけで、たんに「複雑なシステム」を強調するために新語は不要だろう。ここで問題となるシステムとは、自律・分散的に存在するシステム群を、ある目的(プロジェクト)のために統合して用いるときに機能するような、システムの全体のことである。「自律分散システムの協調」というテーマじたいは目新しいものではない。SoS が想定するのは、プロジェクトに必要なすべての要素、つまり組織編成や訓練、計画と実装、運用といった側面をも含む「システム」である。
-「SoS:超システム工学への現実的アプローチ」より引用-
そう、「プロジェクト」に必要な全ての要素を内包してこそSoSとなるのです。このことは技術研究本部の方ももちろん認識されており、SIMTOの将来的な構想を伺ったところ、兵站等の概念を将来的には取り込んでいきたいと表明されました。SIMTOはまだまだ研究段階のシミュレーターなのです。今後の進展に大きな期待を寄せたいところです。
しかしながら、いかなるシステムにも限界があることを認識しておかなければなりません。それはSIMTOのみならずシミュレーターは入力される情報によって、おのずと結果が変わってしまうということです。もし、現在のF-X問題のように、最初から意中の装備があったとしたら? 若しくは脅威について正しい認識と分析をしていなかったら? このように考えられる理由はいくらでもあります。入力する人間側の意向やミスにより、事実と異なる情報を入力されてしまうことは十分に考えられ、システムの完成時にはこの点に十分注意する必要があるのではないでしょうか。かつて、ミッドウェー海戦を想定した兵棋演習で日本有利の条件を設定した上で無理やり勝たせたこと。または、日本初の機械化旅団である独立混成第一旅団が意図的に無茶苦茶な想定条件の演習をさせられた為に解散させられたこと等、シミュレーションの悪用は昔から行われております。純粋に結果を求めるシミュレートが行われることを願っています。
<参考>
防衛省 第1回戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会使用資料 【資料4】戦闘機生産中断による生産技術基盤への影響について
防衛省技術研究本部 防衛技術シンポジウム2009ポスターセッション 『P3-1 「装備品なら何でもシミュレーションします。」(過去も、現在も、未来も)』
- 防衛技術シンポジウム2009でのSIMTOの説明資料の一部です。是非ご覧下さい。
防衛省技術研究本部 外部評価委員会 評価結果の概要 「戦闘車両シミュレータの研究 に関する外部評価委員会の概要」
- 車両コンセプトシミュレータの評価結果概要です。シミュレートの内容が細やかに記載されています。必見。
OR The Object Report「SoS:超システム工学への現実的アプローチ」
- SoSの説明について、日本語のWebで最も詳細な説明と思われます。
大熊 康之「軍事システムエンジニアリング―イージスからネットワーク中心の戦闘まで、いかにシステムコンセプトは創出されたか」
- 元海将補によるSoSやNCW等のコンセプトやそのアプローチを解説した本です。難解な上、現在では入手が難しくプレミアまでついていますが、興味のある方は図書館などで是非ご覧下さい。