2015年12月21日月曜日

新聞の軽減税率適用はどれだけ報じられたか

2017年4月に10%に上がる消費税率について、8%のまま据え置かれる軽減税率の導入が決まったことは、ご存じの方も多いと思います。

その軽減税率の適用対象となる物品については、外食を除く食料品、そして一定の条件を満たした新聞を対象にすると報じられています。食料品の適用対象を巡っては、与党内で生鮮食料品までとか、いや加工食品を含めるべきだといった論争があった事は報じられています。それに対し、新聞への軽減税率適用は、突然湧き出てきた感がありました。

そう感じたのは私だけでもないようで、新聞への軽減税率適用については、元毎日新聞記者の佐々木俊尚氏が「新聞がまったく報じない」とTwitterに書き込んでいました。そこに朝日新聞の現役記者が「「まったく報じない」とデマを言われるのはちょっと…」と反論する一コマもありました。(やりとりは下記togetterまとめで)

togetter:新聞の軽減税率対象に佐々木俊尚さん「新聞がまったく報じない」→朝日新聞記者「デマを言われるのはちょっと…」

このまとめで佐々木氏は朝日新聞記事のデータベース検索結果を示し、新聞への軽減税率適用を巡る記事は希少だとしています。しかしながら、現役記者の方の反論の通り、過去に小さくとも報じられているのもまた事実で、新聞への軽減税率適用の記事が食料品のそれと、どれだけ報じ方に違いがあったのか、具体的な数量比較が無いので分かりません。

そこで今回は、2015年の新聞記事の中から、どのくらい新聞の軽減税率適用が報じられたかを数字で見てみたいと思います。佐々木氏が行ったようにデータベース検索を利用し、2015年の1月1日から12月17日までの間、朝日新聞と読売新聞の2紙で軽減税率について、食品や新聞といった対象が、どれだけ報じられていたかを調べてみました。

検索ワードは「軽減税率」、「軽減税率 食品」、「軽減税率 新聞」としましたが、「軽減税率 新聞」の検索結果には「◯◯新聞が行った軽減税率についての世論調査~」といった、新聞への軽減税率適用と関係ない記事が多数見られたため、そのような記事は除外しています。すると、下記のような検索結果となりました。



 「軽減税率」:朝日279、読売437
 「軽減税率」+「食品」:朝日88、読売231
 「軽減税率」+「新聞」:朝日39(除外12)、読売70(除外18)


朝日新聞、読売新聞の軽減税率関連記事数比較

結果からすると、軽減税率に関する記事の中でも、新聞を扱ったものは食品と比べて少ないのは間違い無さそうです。

新聞業界からすれば、「新聞の軽減税率も報じている」とポジショントークを主張するのは当然とは思いますが、食品と新聞の2つしか適用対象がないにも関わらず、食品と扱いに大きな差があるのを見てしまうと、そう言われてもなあ……という気分になります。

新聞や出版物への軽減税率を導入している国は、世界でも少なくありません。ただ、莫大な発行部数を誇る大新聞社が強い日本の新聞業界に、経営体力の弱い少部数の地域新聞社が主流の欧米の事例を当てはめるのもどうかと思いますし、重要な政策ほど「国民的議論を」と主張する新聞が、国民的議論も無しに自分たちが軽減税率対象となるのは当然という態度なのも素直に納得は出来ません。

2%の差に過ぎませんが、新聞業界にとって、高くつく2%になりそうな気がするのは思い過ごしでしょうか。

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